パスピエ@渋谷TSUTAYA O-EAST

パスピエ 『アルバム “娑婆ラバ” 発売記念ライブイベント』 渋谷TSUTAYA O-EAST (2015/9/25)

パスピエのライブを観に行ってきました。
3rdアルバム「娑婆ラバ」(9/9リリ-ス)に伴う発売記念ライブイベントだったんですが、新譜に封入されていた先行抽選申し込みの案内を読んで、「ハコもそんなに大きくないし、どうせ当たらんだろ」と思って応募したらまんまと当選してしまったというね。3,500円+ドリンク代。
初ナマ・パスピエです。アルバム初回盤に付いてたDVDもまだ見ていないため、彼らのライブがどんな風なのか、予備知識はありませんでした。この日、他にも行きたいライブは重なっていたのですが、ここはせっかく当選したし観たことないバンドだったし、ということで渋谷へ。

このバンドにとって、大胡田なつき(Vo)が手掛けるアートワークの存在というのは大きいもので、CDやHP等によるバンドのイメージ創出は勿論、マーチャンダイズ全般にまで広がっているわけです。今の時代の音楽ビジネスにおいてグッズの売上というのは非常に重要でしょうから、メンバー本人がそれをデザインして、かつそれがkawaii!!となりゃあ欲しくなってくるわけでして。というわけで、「グッズあまり買わない&並ぶの嫌い」な私がTシャツ買った。オッサンに似合うデザインかどうかは置いといてな(笑)。

そういうヴィジュアル面での拘りは、ステージ上にもしっかりと反映されていました。アルバム「娑婆ラバ」のアートワークがババーンと描かれたバックドロップに加え、花札をモチーフにしたようなパネルがいくつもぶら下げられていたり。こういう仕掛けは嬉しいし、オラワクワクすんぞ。
ステージ上の配置は、後方中央にDr台、下手側からBa→Vo→Key→Gt、ですね。つまり、音楽的な中心人物である、成田ハネダ(Key)と大胡田なつきがステージ中央前方にいる形。


彼らのライブに臨むにあたって、考えていたこと。
肝は、「CDの音がそのまんま出てくるか?」ってことでしょうか。演奏だけじゃなくて、大胡田の歌唱についても。これはCDそのまんまの音を再現することができる演奏力や歌唱力があるかどうかってことじゃなくてですね、あの雰囲気、キラキラと音符が舞うような空気感が出せるのかっていうことです。
パスピエの場合、音源に封じ込められたあの瑞々しい音がそのままの印象で出てきたらそれだけでもう成功というか、心動かされちゃうような気がするのですよ。


若いファン層で埋め尽くされたO-EAST(女性多し、私のようなスーツ系♂は天然記念物のような存在だ)、新譜のヴィジュアル・イメージに沿ったような着物っぽい衣装のメンバーが登場すると、フロアの熱気がさらに上がる。男性陣は上半身だけ着物、大胡田は陰陽座・黒猫に近いような格好ですね。隠してたわけではないものの、MV等でもあんまりはっきりとその姿が写っていなかったメンバー、特に大胡田は口元や髪型の印象しかなかったのですが、ここではっきりとその全容を現す(笑)。大胡田なつき、思ったよりお姉さんじゃない。これはお嬢さんだ。いや、お嬢ちゃんだ!(笑) で、後で判明しますが、彼女、KISSのメンバーのような厚底の靴を履いてました。

一発目、新譜からのつくり囃子のイントロのシンセが鳴り響いた瞬間、ゾクッとキた。
思いっきり鮮烈な音だったので。
で、大胡田が歌い出したらもっとビックリした。
あ!あ!あ!
そのまんまの声だァーーーッ!!

CDで聴いた、あのホワンホワンとしてロリっぽくて(でも舌ったらずじゃない)キュートで中毒性のある、あの声がごく自然に発せられてるゥ!
声量がそれほどあるタイプではないです(足りないわけでもない)。ただ楽器隊との音量バランスが良く、使用音域の住み分けがきっちりなされている為か、とても声が抜けてきますね。その声質で以って一瞬にして独自の世界に引っ張り込み、曲が終わるまでそのまま聴き手の関心を逸らさないというか、現実に引き戻さないというか、そういう魔力があるヴォーカル。曲の、バンドの、世界観を全く損なうことのない歌唱です。
ロングトーンの部分や歌い上げるパートでは声を張り上げるようにして歌ったりもするんですけど、その時にもほとんどフィジカル面や技術面には思いは行かず、他のパートと同様の気品と浮遊感を感じるんだから凄い。その鍛錬が凄いのか、その才能が凄いのか、分かりませんが。

ビビッたのはMCでもそのまんまの声が飛び出してきた時ですよね。
あ!あ!あ!
さっきの、歌ってる時のそのまんまの声で喋ってるゥッ!!

って思いましたもん(笑)
この喋り声を聞いて確信したのは、彼女の声と歌唱法がわざと作っているようなものじゃなくて、ごくごく自然な自分なりのスタイルなんだということですね。一聴、幼い役柄を演じる時の声優さんのようにも聞こえる歌唱ですが、その実全く別物なんじゃないかと。多分、だからこそ私が好きになるんでしょうけど。

「ごく自然」という印象は、そのヴォーカルだけじゃなくて、ステージ上での立ち振る舞いにも現れているように思いました。歌いながら踊りのような振り付けをしたり、間奏ではソロをとる成田や三澤勝洸(Gt)に注意が向くような挙動をするんですけど、それらの動き全てが流れるように自然でスムーズなの。「そう決められてるからやってる」という感覚がまるで無い。決め打ちしてる感じが全然しないのよね。それは大胡田だけじゃなくて、バンド全体がそう。
彼女、決して派手なルックスじゃなく、どちらかというと地味な容姿なんだけど、終始ニコニコと笑顔でそういう所作やほんわかとした喋り方をするもんだから、そこに可愛らしさが宿るんだわな。
しかしこの声での「アリガトウ♡」はキラーだわ(萌)


序盤はとにかく、様々な音色を操る成田の音の魔術師っぷりと大胡田の歌声に驚き、自然発生的に湧き上がるフロアの熱狂に魅了されていたんですけど、途中で自分の中の「驚き」が一つ上のレベルに達するのを感じました。トーキョーシティ・アンダーグラウンドの時。
サビはめちゃくちゃキャッチーなものの、ヴァースに前衛的とも表現できそうなマニアックかつプログレッシヴなパートを配するこの曲。双方の落差で聴かせるタイプの楽曲だと思いますが、バンドサウンドを迎え撃つフロアはどちらのパートでも手拍子叩いたりオイオイやって盛り上がってる。これには驚愕しましたわ。
ふつー、こんな怪しげなパートではこんなにノリノリになりませんよ?(笑) この、難しいことを難しく聴かせない、アヴァンギャルドな音でさえポップに包んでしまう神業をいとも簡単にやってる(ように見える)ところに、バンドの実力とセンスを痛いほど実感したんですよね。なので、ビビッた。

その流れで、演奏に関してちょっと書きます。
イントロで成田のKeyがグッと聴き手の注意を引き付けるのが強みですかね。テンポチェンジや切り返しの場面では各楽器がちょこちょこマニアックでテクニカルなことをやってるなぁとは思いましたが、バンド全体では露崎義邦のベースがグイグイ引っ張ってゆく場面が多く、音源で聴いた時よりもずっとロックな感触が強かったです。三澤はテレキャスをメインに使っていて、それらしい乾いていてかつ枯れた音を出していました。あんまり粘っこいプレイはしないから、軽快な印象が強め。

ステージ上で出している音は全部バンド5人によるものだし、そもそも優れた演奏技術を持っているので、パフォーマンスにおける自由度はめちゃめちゃ高いです。元々パスピエの曲って、イントロ&サビの強力さは勿論あるにせよ、間奏からラスサビへ向けての盛り上げ方が異様に巧い曲が多い(成田の才能ゆえ)ですが、ライブではそこをさらに拡張させて躍動感増し増しでくるからもうすんごいことになってます。キラキラ度も増し増し。

私は歌メロに耳が行きがちな人間なので、大胡田の声を追っている場面が多かったですが、ちょこちょこと楽器隊に注意を向けると、これがめちゃめちゃ面白い。成田がやや猫背気味の俯くような態勢でヘドバンしながら弾きまくっているのに注意を奪われたかと思いきや、その右では三澤が高速フレーズを速弾きしてたり、左っ側では露崎がスラップキメてたりして、実に油断ならん…。やおたくや(Dr)のスネアの一発一発がここで曲に勢いを与えているのか、等と気づいたことも多く、こりゃあ楽器目線でも何度も観たくなるライブであるな、と思いました。
そういえば、メンバーみんな、ワイヤレス機器を使っておらず(大胡田のマイクもそう)、シールドを長々と垂らしてプレイしてましたね。その状態でステージを動くから、スタッフはシールド捌きに忙しそうでした。一時期のIRON MAIDENのGtチームのように、ワイヤレス反対派なのか?(笑)


一貫したバンドのイメージ創出の巧さ、個々のミュージシャンとしての実力の高さ、楽曲を纏め上げる才能等々に加え、驚かされたのはステージ進行の巧さ。前述のように、(多分)全部自力で音を出しており、同期音源にショウのペースを縛られていないので、自由度の高いステージングが可能なんですが、さらにショウ全体に緩急をつけるのがめっぽう巧かったです。
具体的には、MCを入れるタイミングとその尺の長さ、畳み掛ける部分での次曲への繋ぎ方の新鮮さ、でしょうか。裏の裏MATATABISTEPというシングル曲2連発の鮮やか極まりない連続技には痺れました。
この日のオイラ、いちいちビックリしてばかりだが(笑)、まぁしょうがない。初めての体験なんて驚きの連続なんだ。


新譜発売イベントだから「娑婆ラバ」の曲を中心にミニライブ的な感じかと思いきや、最初の「今日はパスピエの全てを見せます」(by 成田)との言葉通り、がっつりワンマン・ライブをやってくれました。
アンコールは衝撃の(私が衝撃を受けた、という意味で)S.S。この時点で1時間半くらいでしたかね。客電も一旦は点きましたが、2度目のアンコールを求める拍手は鳴りやまず、メンバーは再び登場。挨拶だけでもと思って出てきた様子でしたが、フロアの反応を見て、こりゃあもう1曲やらないと帰れないな、という状況になったのは予定外でしょうか。
「ちょっと打ち合わせさせてw」という成田がメンバー個々に耳打ちして、「今日は何曜日ィ!?」「金曜日くらい…フィーバーしちゃいますか!」との煽りから最後の最後に披露されたのはフィーバー。こういう臨機応変の対応ができるところが、様々なフェスへの出演等ライブで鍛えてきたバンドゆえでしょうかね。


何度も感謝の言葉を伝え、礼をして退場するメンバー(特に大胡田の深々とした礼は綺麗だ)を見ながら、あたしゃあ感動してましたよ。ここ最近では最も感銘を受けたライブ。冒頭の方で書いた「期待」を軽く上回ってきました。
音作り、楽曲の再現性、ショウ進行、フロアを含めた空気感の醸成、大胡田なつきのキュートさ(笑)。全てが衝撃的でしたわ。
これが売れなきゃウソだわ、と思いましたね。

<セットリスト>
01.つくり囃子
02.贅沢ないいわけ
03.トロイメライ
04.アンサー
05.蜘蛛の糸
06.トーキョーシティ・アンダーグラウンド
07.△
08.術中ハック
09.裏の裏
10.MATATABISTEP
11.トキノワ
12.シネマ
13.最終列車
14.素顔
ENCORE1
15.S.S
ENCORE2
16.フィーバー


OMIYAGE的な追記
    ↓



この日のイベント、「パスピエ謹製お土産付き」という風に謳ってあったんですが、アンコールの時のMCでその説明がなされました。
その「お土産」は退場時にスタッフから渡されたんですが、その中身は、
 ①大胡田デザインの開運絵馬
 ②この日のセットリストと、成田自身による「娑婆ラバ」のライナーノーツ

でした。

これは記念すべきイベントに参加できた者としては嬉しいですね。
は、クラシック・コンサートのプラグラムのような装丁のもので、彼ら(特に成田)の出自を表すようなものですが、この仕掛けには心動かされましたね。バンドの、特別なものをファンに提供しようという気持ちが形になっているものだし、この日だけのスペシャル感を感じさせまくってくれるし。
こういう思いや行動一つ一つがファンの気持ちを掴んでゆくんだと思うね。音楽がまずありき、だとはいえ。

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写真を上げないウチのブログにしては異例のパシャリ。
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