DRAGONFORCE「THE POWER WITHIN」


DRAGONFORCE「THE POWER WITHIN」 (2012)

ちょっぱや・メロディック・ハイパー・エクストリーム・メタル・バンド、DRAGONFORCEの5thアルバム。『ドラフォの日本盤ボーナスは最強』説に則って国内盤を買いました。その曲が「忍者刀の力」っつーんだから逡巡の余地すらないでしょ。
さて今回のアルバムですが、色々な変化がありますね。何と言っても最大の変化は、Vadim Pruzhanov(Key)の髪の毛の量が圧倒的に少なくなった事。…ではなく、ZP Theart(Vo)が脱退して、新たにオーディションを経てまっさらな新人のMarc Hudsonを迎えたという点でしょう。Marcは飛びぬけた個性こそ無いものの、この手のスピード・メタルを歌うのに適したハイトーン・ヴォイスの持ち主です。また、若干の音楽性の変化も見られ、端的に言うと「コンパクト」ってとこでしょうか。

この「Vo交代」「コンパクト」という2つの要素によって“新生DRAGONFORCEの誕生が否が応にも感じられます。この変化については賛否両論あるようですが、私は断然、【賛】ですね。前々作「INHUMAN RAMPAGE」で極北まで辿り着いてしまった彼らの方向性は続く「ULTRA BEATDOWN」でも変わることなく、私は前作にややマンネリ感を抱いていました。ミドル・テンポ・パートの導入という新要素があったとしてもその思いは払拭できず。出来は決して悪くなかったんだけど…。曲が長くなる原因のピロピロ・ギター・ソロが本作では短くなり、同時に曲調も(Marcのヴォーカルに合わせて?)一気に幅広くなりました。

そんなこんなで出来上がってきた音の印象は、疾走メロハーです。

これはMarcの声質による部分が大きいですが、今回DRAGONFORCEが得たものは「しなやかさ」「スマートさ」「爽やかさ」「バランス感覚」という実に似合わない(笑)要素です。反対に失った、もしくは減退したものは上記要素とは真逆の「ハチャメチャさ」「馬鹿っぽさ」「暑苦しさ」「とにかく疾走主義」ってとこでしょうか。例えばTimo Kotipeltoの“めいっぱいギリギリヴォーカル”がSTRATOVARIUSに悲壮感を付与するように、前任のZPのヴォーカルはDRAGONFORCEに「精一杯感」を与えていたと思います。それが無くなるのは少し寂しいし、それじゃあドラフォじゃねーよ、というご意見もあろうかと思いますが、私は純粋に1枚のアルバムとして本作を気に入りました。手放しで大絶賛ってほどではないんですけど、ね。

収録曲は、驚くほど爽やかな哀メロの⑥Seasonsからドラフォ最速ナンバー②Fallen Worldまで(彼らにしては)非常に幅広いです。従来路線ナンバーの中ではクサメロにクサメロを重ねる④Give Me The Night(ソロ・パートも短いながら激烈!)がダントツでお気に入りです。ただ、「サビだと思っていたらさらに大サビがあって吃驚!」的なメロディ展開を持つ疾走曲が少ない印象ですね、今回。
目まぐるしく展開する⑤Wings Of Libertyと突き抜けたポップさを持つ⑨Last Man Standsがアルバムの中で良いアクセントになっています。

音をあまり詰め込まなくなったことにより、今回ベースの音が明瞭に聞こえるのも良いですね。逆にキーボードの活躍する場面が少なくなってるのはちょっと気になりますね。おまけにVadimが曲書いてないじゃん!彼の作る曲って大好きなのに。私のなかではVadimってGAMMA RAYにおけるHenjo Richiter(Gt)みたいな感じで、提供曲数は少ないんだけどキラー・チューン書いてきます、というイメージなんですよね。もっとVadimを重用してよ、イケメンHerman!

リーダー・トラック③Cry ThunderのPV → コチラ

【お気に入り】
⑥Seasons
この曲が一番のお気に入りって、それでドラフォとしていいんだろうか…
④Give Me The Night
⑨Last Man Stands
⑪Power Of The Ninja Sword
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COMMENT 4

kazz_asai  2012, 04. 30 [Mon] 22:18

ようやくこのアルバムを買いました。
私が彼らの1stを聴いたときに感じたこと…それは「2倍速のGAMMA RAY」。即ち、あくまでも従来のメロディック・パワーメタルの進化形として捉えていました。デスメタルやブラックメタルに非ずしてここまで突っ走れることに単純に驚いたものです。
しかし4th「ULTRA BEATDOWN」は、出るたびに圧倒されてきた彼らの作品に対して初めて疑問を抱くことになりました。これまでも感じられてきた陽性の曲調がさらに前面に出て、HMとしての威厳が損なわれているように感じたことがその主たる理由でした。管理人様が言われる通りの、ライヴではデス声まで出してしまうZPのVoが醸し出す切迫感は、明らかにこの作品には合っていないと思いました。
またミディアム・テンポ・パートの挿入も、たとえば1st収録「Deciples of Babylon」におけるアコースティックパートのような、曲のドラマ性を高めるものとは思えず、高揚感を妨げるネガティヴな存在でしかありませんでした。
枕が長くなりましたが結論から言えばこの新作、件の私が感じた不満はすべて払拭されるものでした。今回の曲は4thのように変に奇をてらったような感を受けず、これが新Voの声質とあいまって実に円滑に流れていきます。ミドルパートもあるものの、それが有意義な存在として機能しています。
昔、渋谷陽一氏がMONTROSEの1stを「胃にもたれることのないハード・ロック」と評していたひそみにならって、僭越ながら「胃にもたれることのないDRAGONFORCE」と呼びたいと思います。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2012, 04. 30 [Mon] 23:59

kazz_asaiさん、

私の記事の数倍的確な分析が素晴らしいです。いや、本当に。

彼らは日本においてはメロスピ/メロパワ文脈で語られていたと思いますが、海外ではエクストリーム系のバンドと一緒と捉えられるそうですね。メロスピ/メロパワ系の定着度が高い日本ゆえ、彼らの特徴を正しく把握できたのかもしれません。BURRN!のインタビューを見ると本人達にも「メロパワ系である」という意識があるようなので。

前作「ULTRA BEATDOWN」はどうも中途半端に感じますね。とってつけた感があって。
本作をして「胃にもたれることのないDRAGONFORCE」とは正に至言ですが、もたれたい人には物足りなく感じるのかもしれません。
私は概ね満足です。「もっとクサいサビを!」「Vadimの曲を!」ってのがちょい不満点ですね。

さて、あとは過去曲がどうライブで再現されるか、ですね。ハーマンは自分達の強みをちゃんと把握しているように思えるので心配ないように感じてますが。

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METALZA  2012, 11. 18 [Sun] 07:36

こんにちは。
このアルバム「Cry Thunder」を聴いてツボに入りまして、買おう買おうとずっと思っているのですが、未だに買えていないです。

私も同じく新Vo.は【賛】です。

正直、この記事を読むまでこのアルバムのこと忘れていたのですが、また買いたくなってしまいました笑

うーん。
お金が・・・笑

では、失礼します。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2012, 11. 18 [Sun] 12:47

METALZAさん、

新Voのマー君はライブでも良かったですね。ドラフォは非常に上手く生まれ変わることが出来たようです。

アルバムにはCry Thunder以上の曲が揃っていると思うので、機会があったらチェックしてみてください。多分、損しない……はずです(笑)

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