THOUSAND EYES「ENDLESS NIGHTMARE」


THOUSAND EYES「ENDLESS NIGHTMARE」 (2015)

国産メロディック・デスメタル・バンドの2ndアルバム。
これは凄いね。
ものすごい。

デビュー作「BLOODY EMPIRE」(2013)の記事や、その年の年間ベスト記事で、

「メロデス史上に残る数々の名盤を葬り去る慟哭の一撃」

みたいな、大仰極まりない文章で表現したんですが、

この2nd、そんな前作すらも過去へと葬り去る悶絶モノの傑作ですわ。


1stから方向性はまったく変わらず。
メロデスの慟哭、
スラッシュの硬質感、
ハードコア的咆哮の熱情、
そして、伝統的なHR/HMが有するドラマ性。

中心人物であるKOUTA(Gt)の作る楽曲を、強靭なリズム隊と、流麗なツインリードGtと、グロゥルじゃなくてシャウト・スタイルのDOUGENのヴォーカルによって具現化するバンド。KOUTA以外が書いた曲も数曲ありますが、それも作風をまったくブレさせてはいません。
傑作だったデビュー作、そこからさらに激的に磨きを掛けてきた作品ですね。

多くは書くことが無いんです。繰り返しますが、方向性は前作とまったく一緒だから。こういうタイプの作品が一番感想を書くのに困るんですよね(笑)
このバンドのことが知りたけりゃ前作の記事を読みやがれ!
前作が好きなら本作も“買い”だから黙って聴きやがれソイヤーッ!

…みたいな(笑)

強いて違いを上げると、ドラマーがJUHKIから、Unlucky Morpheus(あんきも)やUndead Corporation(あんこう)等で活躍するFu-minにチェンジしていることでしょうか。
彼のプレイ、非常に安定してますね。まったくブレない。JUHKIも激ウマでしたが、Fu-minの方がもっと現代的で冷徹な感じがしますね。ソリッドかつ端正でありながら、それでいて重い。凄いわ。
この手のエクストリーム・メタルを扱わせたら右に出るもののいない、STUDIO PRISONERで仕上げられたクリアでファットなサウンドも、その印象を強めているかもしれません。
しかし、このバンドで同人音楽界隈での活動経歴がないのって、もしかしてAKIRA(Ba)くらいか? まぁどうでもいいことですけど。


1stを聴いた時点では、次作(=今作)で少しは(音楽的な)幅を広げてくるかと思っていました。でも蓋を開けてみれば、見事なまでにそのまんまでしたね(笑)。
つまり、ファスト!ファスト!ファスト!
疾走チューンがほとんどを占める収録曲。ただ、その「ファスト具合」が曲やパート毎に違うこと、そして一つ一つのリフとその繋ぎ方が練りに練られていること、それゆえに一本調子になっていないのは前作同様。いや、1曲1曲のキャラ立ちの良さは前作以上ですね。
AMORPHISの記事でも同じようなこと書きましたけど、似たようなタイプの曲を揃えたとしても、セクション毎に慟哭/激烈の演出の仕方や個々の楽器のフィーチャー度合いがちょっとずつ違っているから飽きないんでしょうね。曲作りが巧いバンドってのはそういうもんかもしれん。

もう一点、曲順が良いですね。これは明らかに前作以上。
アルバム全体の流れを考えると、まずは、アタマから4曲畳み掛けた後に現れる⑤Dead Sorrow Of Me。この曲のちょうどよい隙間感とGtが“歌いまくる”気持ち良さ、これが素晴らしいフックになっています。
そこから、(ライナーノーツの通り)確かに銀の翼で飛んじゃうような(笑)AKIRA作の⑥The Last Day Of Sufferingを経て、インスト⑦Suicide Machineへの流れ。この中盤の並びが起伏を生み、「同タイプの曲ばっかりでもう飽き飽き」的な感情を寄せ付けない。アルバム後半にはさらに、Keyのムード演出が秀逸な⑩Dark Slayer's Requiemを配置して新鮮さを保持してますから、こりゃさすがだな、と。

聴いていると、迸るような激情を感じる(これは主にヴォーカル由来)と共に、演奏に関しては非常に統制されているな、と思います。KOUTAとTORU(Gt)のソロ、およびツインGtの絡みなんかは、それこそ泣きまくり&嗚咽しまくりフレーズの宝箱状態なんですが、そんなGtソロを聴きながら、サビ裏のリックを聴きながら、興奮しつつも同時に「巧いなぁ」と感じるんですよね。演奏がじゃなくて(演奏も勿論激ウマだが)、フレーズ作り・メロディ運びが巧い。こうきてほしいと思うところに、予想を超えたレベルでツボを突いてくる、というか。勢い任せに作ったものではなく、きちんと構築された機能美を感じるところに、KOUTAのメロディ・メイカーとしての天賦の才能のほかに、コンポーザーとしての冷静な面が垣間見えるようです。

激烈な演奏とスクリームが続いて、軟弱メタラーとしては「ちょっと疲れたなかな…」なんて思い始めるや否や、超メロディックなGtフレーズが湧き上がってきてビクビクッと覚醒する、というか癒される。そしてまたグッと曲に引き込まれる。その繰り返し。
ただ、焦点の絞られた、かつ激烈な音楽性のため、全体の長さを考えると1曲くらい削った方がいいような気もします。というか、より私の好みにはなる。楽曲粒揃いのため、この曲イラネとは言いにくいんですが、強いて挙げるとすると⑧Reflection Of The Flareかな。コレが一番硬派な曲だし、「リフレッ、ション!」って何回も言い過ぎ!って感じるからだと思いますけど。

キラー・チューンだらけ、それこそ未曾有の連続殺人鬼状態の本作ですが、ラスボスはラストに出てくるからラスボスなわけでして、アコギによる激泣きインスト小曲⑪Conquered Sunに導かれて登場する、バンドの表題曲ともいうべき⑫One Thousand Eyes is ラスボス、でございます。
シュレッド!シュレッド!のキビキビとした曲調で、ブリッジからサビに掛けてメロディックになれど決して攻撃力と疾走感を減じることのないキラーチューンですが、この曲を特別なものにしているのが、(曲名もそうなんだけど、)最後のエンド・ギター・セクション。私はこれをギター・バトルとは呼びたくないんですよ。「ギター・バトル」とは器楽的な、プレイヤー目線の言い回しであったり、(ライブにおける)広義のロック的なスポンテニアスさを感じさせる表現のように思えるんだけど、このエンドソロから感じるニュアンスとはそれとはちと違う。湧き上がり堰を越えて噴出した慟哭が、二匹の龍の如く互いに絡み合って、競うように遥か彼方の天空に駆け上がってゆく。そんなイメージなんですよね。2本のGtの相乗効果っす。バーンザスカイっす。


前述したように、2作目ではもう少し幅を広げてくると思っていました。バラエティ豊かな楽曲を収めて、かつアルバム全体では統一感のある作品が好みな私は、その点だけがちょっとだけ不満だったりします。ただ、それもごく些細な点ですし、この「疾走メロデス曲」という範囲内では最大限に手を変え品を変えて、幅広さを獲得しているとは思いますけどね。
メロデス史上に~ウンヌンとか、北欧で誕生→勃興した同ジャンルの歴史を俯瞰するようなことを言ってはおりますが、ここまで“泣き”に振り切れたギター・メロディやドラマを感じる構築美ってのは、日本人だからこそ出てきたんじゃないかとも感じますね。


超絶傑作。
この路線でもう一枚作ることに疑問を抱くほどの決定版的な作品。
…というか、次作でもまったく同じ作風だったら、いいかげん文句言いそうだな自分w

再度冒頭の言葉を繰り返しましょう。
「メロデス史上に残る数々の名盤を葬り去る慟哭の一撃」であるデビュー作でさえ過去へと葬り去る傑作。

【お気に入り】
具体的に曲名を挙げてもいいが、もしそんなことをしたら余りにも長過ぎて、このエントリは爆発してしまうだろう。
強いてデスラッシュ・メサイアに言わされるとしたら、
⑫One Thousand Eyes
②Bleeding Insanity 「ソイヤー!」
①Endless Nightmare
⑤Dead Sorrow Of Me

あたりの曲でしょうか。

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COMMENT 2

クレイ  2015, 11. 01 [Sun] 22:24

なんでですかねぇ・・・。
あなたの記事は異様に購買意欲をそそられる訳です。

そろそろメロデス系にも入ってみようと思いましたので買って聞いてみたいと思います。


給料日まだかな(´・ω・)

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ヒゲ・スカイウォーカー  2015, 11. 02 [Mon] 19:29

クレイさん、

ありがとうございます。
メロデスといえばメロデスなんですが、他のメロデス勢とはVoだけちょっと感触が違うかもしれません。グロゥルというよりPANTERA系のシャウトという感じでしょうか。

Voに関係なくGtのメロディに耳が行くのであれば、超絶オススメ作です。是非とも。

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