AMORPHIS「UNDER THE RED CLOUD」


AMORPHIS「UNDER THE RED CLOUD」 (2015)

傑作を生み出すことしかできなくなったフィンランドのメランコリック・エンペラー、AMORPHISの12thアルバム。驚異的なことながら、本作も当然の如く傑作です。Tomi Joutsen(Vo)を擁する現体制になった「ECLIPSE」(2006)からカウントすると、これで6作連続になるわけで、さすがアモルフィスおれたちにできない事を平然とやってのけるからシビれるしあこがれるわけです。

当然、この「傑作」という評価には管理人(=オイラ)の音楽的嗜好との相性が大きく関わってくるわけですが、ここまで新譜への信頼感を維持できるバンドは彼らを置いて存在しません。振り返ってみると、後期SENTENCEDがそれに最も近い存在だったでしょうか。DARK TRANQUILLITYも私にとっては「超安定株」の一つですが、ダートラのここ2作は個人的には会心の出来じゃなかったからなぁ…。

何が凄いって、AMORPHISの場合、同路線で傑作を重ねてるから凄いわけですよね。
やっていることは驚くほど変わってない。でも、マンネリ感を感じることはあっても(私は感じないが)同じ事を繰り返しているわけでないという、この微妙なニュアンスの違いね。

ちょっとした違いはあれど、本作も前作「CIRCLE」(2013)と同様の路線。70年代HRやプログレ、サイケ、民族音楽等の要素を注入したメランコリックなHR/HMです。
その「ちょっとした違い」を挙げてゆくと、まずプロデュースその他諸々を手掛けているのがPeter Tagtgrenから売れっ子・Jens Bogrenに変わったこと。Jens効果によってどう変わったというより、ちょっと野蛮で粒の粗かった前作の音像から脱却して、よりしなやかなサウンドを手に入れた/回帰した、という感じでしょうか。前作の音作りがあまり好きじゃなかった私は、本作の(音の)方がずっと好みですね。
あとは、Joutsenのグロゥルが多くなっていること。かなりの増量。よってヴォーカル面ではヘヴィになっている印象ですけど、同時に歌メロは過去最高にメロディックになってるようにも感じて、その組み合わせというかバランスの良さには感嘆させられました。

①Under The Red Cloudがいきなりのキラーチューンで、あたしゃあいきなり泣きましたよ。強力極まりないテーマ・メロディが、少しずつ様態を変化させながら繰り返されることによって哀感を積み上げてゆく、という必殺のパターンが炸裂。徐々に速度を増す曲展開と共にいきなりクライマックス状態でもう蕩ける。いきなり。
続く②The Four Wise Onesでテンポアップするのはいつもの手法ながら、このサビでの噛みつくような歌い方は新機軸ではないのか? サイケ色の強い中間セクション~早口Voパート部分との落差も大きく、伝統的なAMORPHISと新たなAMORPHISの同居のようにも感じる曲。これもキラーやん。

王道路線の③Bad Blood,⑥Sacrifice,⑦Dark Pathといった楽曲の合間々々に、パーカッシヴで中近東フレーズが特徴の⑤Death Of A King、エキゾチック&サイケデリックな⑧Enemy At The Gates、フォーキッシュなメロディが曲全体を貫く⑨Tree Of Agesという個性強めな楽曲を配置して揺さぶりをかけることで、一枚のアルバムの中に大きなうねりを生み出しています。その巧さよ。

これだけ(おおまかに言って)同じ路線の曲が続くのにも関わらず飽きがこないのは、曲やパートによって前に押し出す楽器が違ったり、メランコリックの演出手法がちょっとずつ異なっているから。要はアイデア豊富なんですね。本作においても、Esa Holopainen(Gt)、Santeri Kallio(Key)、Tomi Koivusaari(Gt)の3人のソングライターの才能が爆発しておりますわ。

と並ぶ大きな、大きな収穫がで、これはもう「キラーーーーーッ!!」と叫ばざるを得ない。緊張感漂うヴォースに、ピアノをバックにした歌い上げるような起伏のあるサビ、全編を覆う神秘的な空気と、暴虐性とメランコリーが高次元で結婚したような名曲。

大作と言える曲は収録されていない本作ですが、中でも大きな聴き応えを提供してくれるのが、④The Skullと、本編終曲の⑩White Nightです。
Koivusaari作曲の前者は、曲調・感情共に最もアップダウンの激しい曲で、導入部はめっちゃ邪悪、かと思うとサビは一転して優しく哀しげなクリーンVoになり、その後牧歌的なセクションや流れるようなピアノのフレーズを経て流麗でメロディック極まりないGtソロへと続く、目まぐるしい曲。その展開が違和感なく自然な流れの中で為されるからビビるのだ。
後者は、中近東的な気怠い反復フレーズをバックにゲスト女性VoのAleah Stanbridgeがメインラインを歌う曲で、Joutsenのグロゥル/クリーンとともに3種の声がそれぞれ違った風景を描き出し、それらが縦横無尽に行き交う振り幅の広さが大団円に相応しいですね。

ボーナス・トラックも、キラキラしたメロディを孕みながら疾走する⑪Come The Spring、鮮烈なKeyソロを持つ⑫The Windと抜かりなし。つーかこのアルバム、キラーチューンと良曲しか入ってねぇ!(笑)
さすがアモさん。


人脈的な関係性の深いBARREN EARTHもそうですけど、このAMORPHISもアナログ感覚を感じさせてくれるところが好みですね。Gtの音作り等も関係しますが、これはKeyの音色に依るところ大、なんでしょうね。
メランコリック・エンペラー、その玉座はいささかも揺るがず。もしかして最高作じゃね?という思いもよぎる傑作が届けられました。
なんて幸せなんだろう。最高だ。

【お気に入り】
⑦Dark Path
①Under The Red Cloud
④The Skull
②The Four Wise Ones
⑪Come The Spring
③Bad Blood
⑥Sacrifice
⑨Tree Of Ages


※追記に付属のDVDの感想を。
    ↓



で「付属のDVDの感想を」等とぬかしていますが、勘違いでした。『LOUD PARK 13』でのステージをフル収録した映像作品、ではなくオーディオCDですww (当日のレポは → コチラ。
なんでDVDだと勘違いしたかって言うと、同日に発売だったSTRATOVARIUS「ETERNAL」の5000セットト生産限定盤に付いてるのが、(同じく)『LOUD PARK 13』の模様を収めたDVDだったからですね(苦笑)。チクショウ。

ということで、映像は記憶に薄ぼんやりと刻まれたものを脳内再生して、音だけ楽しみました。
これがすこぶる素晴らしい。最高にクリアなサウンドとは言えませんが、当日の記憶を甦らせるには必要十分。Jan RechbergerのDrの軽さもしっかり収められてますし(笑)。目立っているのはSanteri KallioのKeyと、やはりTomi Joutsen(Vo)の歌い分けかな。
当日は自分の好みドンピシャのセトリではありませんでしたが、こうして聴くとそれは贅沢な注文だな、と思いますね。名曲しかやってないじゃん! Silver Brideで前半を締めて、そこから一気に時代を遡り、また現代戻ってくるという流れもメリハリあって◎。
Joutsenが「トーキョー!」とか「ラウッパーク!」とか言うの聞くだけでアガる。


「LIVE AT LOUD PARK 13」
1.Shades Of Gray
2.Narrow Path
3.Sky Is Mine
4.Silver Bride
5.Into Hiding
6.My Kantele
7.Nightbird's Song
8.Hopeless Days
9.House Of Sleep

スポンサーサイト

COMMENT 0