パスピエ「娑婆ラバ」

パスピエ_娑婆ラバ
パスピエ「娑婆ラバ」 (2015)

J-POPフィールドで活動するアーティストの中では、ここ数年で私が最もビビビッとキたバンド、パスピエ(彼らの音楽がJ-POPだと言いたい文脈ではない。まぁJ-POPだけど/笑)。1年に1枚コンスタントにアルバムを出しているので、「待望」という言葉は似つかわしくないですが、大いに期待していた3rdアルバム。
2014年のライブ映像を収録したDVDと、「パスピエ謹製ふろしき」のついた初回完全限定生産盤を購入したんですが、これがやたら豪華な仕様と複雑な装丁なので扱い方に戸惑うという(笑)。特にブックレット部分の凝り方は、今までに例を見ないほどの出来です。スゲーや。見にくいけどw

そのサウンドの表現しづらさ(それは管理人の守備範囲の狭さと呼応してる)を以って、彼らの出している音を「プログレッシヴ・ポップ」などと表現していましたが、その「プログレ」部分はさらに後退している印象ですね。これはポップス。極上の、凝ったアレンジに支えられたポップス。
でも聴いてると、もしかしたら、プログレ部分は後退しているんじゃなくて、パッと聞きには分からないくらいに潜ませているだけなんじゃないかと思い始めたり…。中心人物である成田ハネダ(Key)のマニアックな感性(プログレ的要素に限らず)が、あまりにも楽曲の雰囲気に自然に溶け込んでアレンジされているから、こちらが気づかないだけなんじゃないかと。

「ポップス」の印象が強まったきたのに合わせて、1st→2nd→この3rdと段々インパクトは減じてきてますが、出来が悪いわけじゃない。当然のように。
素直なメロディ展開の曲が多くなりましたかね。ごくごくふつーのバラードで、むしろその普通っぷりが逆に新鮮なくらいの⑦花なんて、その最たる曲でしょうね。

最初に1周聴いた時は、あまりに耳馴染みが良くて、スゥーと右から左へと音が通り抜けていくような感覚に陥ったんですが、複数回聴くとその度に絶妙に仕掛けられたフックに気づくことになります。それら、一般的には聴き易さとは相反する雑多な要素をセンス良くまとめて、複雑なんだけどそうとは感じさせずにポップにまとめる、その手腕が光っていますね。
まぁ、「普通になった」とはいえ、唯一無二のヘンテコ・キュート・ヴォイス&作詞センスを持つ大胡田なつき(Vo)が歌うだけで、“普通のバンド”ではなくなるわけですけど。

朝日が昇るようなダイナミックな曲調がオープニングに相応しい①手加減の無い未来で幕を開けると、シングル②裏の裏で一気に煌びやかに弾け(Baの存在感が凄い!)、いかにもパスピエらしい“切なポップ”③アンサー(コレは1st&2ndの雰囲気に近い良曲)で最初のハイライトに達する。

1曲1曲を改めて見てゆくと、初めにスルッと聞けてしまったのが不思議なくらいで、④蜘蛛の糸⑧ハレとケ⑩ギブとテイクみたいな変わり種というか、変化球的な曲がチラホラある。また、ジャケ等にも現れている点ですが、古式というか、いわゆる日本的な情緒を感じさせるメロディが顔を出すのも本作の特徴でしょうかね。
演奏陣の技巧面はそれほど前には出てこず、メロディを活かすことに注力している感じ。

序盤に、中盤に⑥贅沢ないいわけ(配信限定)、終盤に⑪トキノワと、3つのシングルを要所々々に配置したことが、アルバム構成上のポイントになってるような気がします。これらの“らしい”楽曲で聴き手のハートをグッと掴み、変化球でバラエティの豊かさを提供、そして、実験性と“らしさ”が危ういバランスで融合を果たしている⑤術中ハック⑨つくり囃子が聴き応えをもたらす。
要するに、この考え抜かれた曲順がアルバム全体に自然な起伏を生んでいるんでしょう。


未だバンドとしての新鮮味を失っていない、完成度の高いアルバムだと思います。
相変わらず歌詞のアチラコチラに大胡田らしい言葉遊びや独特の言い回しが散見されて楽しくなってきますが、歌メロとガッチリ噛み合ったキラー・フレーズ(?)は1st&2ndの方があったかな。その点で、お気に入り度はやや下方修正(当社比)。

【お気に入り】
⑪トキノワ MVは → コチラ。
③アンサー
⑤術中ハック
②裏の裏 MVは → コチラ。
⑨つくり囃子 MVは → コチラ。 こんな怪しいMVがかつてあっただろうか?笑
⑥贅沢ないいわけ


つ・い・き
  ↓


初回限定盤のDVDでございますぴえ。
ワンマン・ツアーのファイナル、Zepp DiverCity Tokyoでのライブを抜粋したものです。先日観たライブの感動が甦りますわん。

シンバルと低音部の残響音がやたらうるさい録音がちょっと耳障りですが、乱舞するレーザーと共に一気に掴みにくるキャッチーなMATATABISTEPからグググッと引き込まれまくる。アヴァンギャルドな展開をみせるトーキョーシティ・アンダーグラウンド、瑞々しい音が弾ける七色の少年という冒頭の3曲を聴く/見るだけでも、このバンドの幅広さ・多彩な色付けの才能が迸り出てますわ。

演奏陣の手元をアップで映しているカメラ・ワークが嬉しいですね。大胡田なつき(Vo)が退場してのセッションタイムが特に凄いです。
なんでいきなりジャズロックになってるの!?(笑)
三澤勝洸(Gt)はカッティングの人かと思ったら、めちゃくちゃ正確な速弾きをバシバシキメてくるし、やおたくやのDrソロなんて異常極まりないですよこりゃ。このバンド、上手い巧いと思ってはいましたが、ここまでとはね(ここで見ることができる音楽的な幅広さも含めて)。鱗 from 目、でしたよ。

大胡田の威勢の良い煽りと一本足打法的振り付けが見れるチャイナタウン、トリッキーなGtテクが映えるはいからさんパスピエのレパートリーの中では異例なほど歌い上げるメロディを持つ贅沢ないいわけ、圧巻の本編ラストS.S、アンコールに相応しいシネマ(着ているスタジャン姿が可愛い)まで、バンドの実力と彼らのライブの空気を掴むにはちょうど良いヴォリュームと選曲の良い内容の映像ですね。特に、技巧的な面が良く伝わってくる、迫力のある映像が◎。

先日のライブでも思いましたが、大胡田の「またCDでもライブでも必ずお会いしましょう」って言い回し、好きだな。

「パスピエTOUR 2014 “幕の内ISM” at ZEPP DiverCity」
01.-opening-
02.MATATABISTEP
03.トーキョーシティ・アンダーグラウンド
04.七色の少年
05.-session-
06.チャイナタウン
07.はいからさん
08.贅沢ないいわけ
09.S.S
10.シネマ

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