SYMPHONY X「UNDERWORLD」


SYMPHONY X「UNDERWORLD」 (2015)

「レコーディングスケジュールの都合により」という伝説的事由で『LOUD PARK 14』の出演を蹴った米国産プログレッシヴ・メタル・バンド、待望の9thスタジオ・アルバム。Michael Romeo(Gt)自身がプロデュースを、超売れっ子Jens Bogrenがミックスとマスタリングを手掛けています。
正にこの作品を作るために我々(誰?)は袖にされたわけで、ここは激烈に厳しい態度で接しなければならん。甘えは許さん。

いかにもメタル野郎が大好きそうなテーマ、ダンテの『神曲』、その地獄篇にインスパイアされたという本作。テーマ設定としては、ジョン・ミルトンの『失楽園』を基にした前々作7th「PARADISE LOST」(2007)を想起させますが、作風も似たようなところがあるように思います。7th好きなら本作もイケるのでは?
近年の彼らの音楽性の特徴を万遍なく網羅、しかも小難しくない形で提示してきた作品です。技巧とメロディ、聴き易さと聴き応え、モダンと伝統のバランスが良好で、「SYMPHONY Xとはこういうバンドですよ」という風に(自己)紹介できる、名刺代わりの一枚になってるんじゃないでしょうか。

イントロ~ヴァース~ブリッジでは、RomeoのGtを中心に、バンドが一体となった緊張感あるアンサンブルを聞かせ、一転メロディックに切り替えるサビの裏ではMichael Pinnellaの柔らかなKeyが聴き易さを提供するという黄金パターンが光っています。②Nevermore③Underworld⑤Kiss Of Fire⑧In My Darkest Hour等々。
バンドの顔であるRussell Allen(Vo)の歌唱はその「パターン」に合わせたかのように、ヴァース~ブリッジでは聴き手であるこちらを威すような(笑)ドスの入った歌唱を、サビになると伸びやかで時に優しげな歌唱を披露するという、大雑把に言うと「ツンデレ歌唱」(笑)。「てめぇがやったんだろッ!?」「まぁまぁ…、カツ丼でも食ってくか?」という、コワモテ刑事とカツ丼刑事を瞬時に切り替える、一人二役歌唱とも言えるかも(言えないよ)。
いずれにせよ、デスVoじゃないのにこれだけドスの入った声が出せ、かつメロディックに歌い上げることができる歌唱力・表現力を備えた歌い手は貴重。改めて、Russell、素晴らしいヴォーカリストだと思いましたし、そう感じさせるに足る歌モノとしての魅力に溢れた作品でもあります。
また、長尺曲ではPinnellaのKeyがより効果的にドラマ性を高めていることにも注目ですね。

初期の頃の欧州風味溢れる様式美路線を振り返って比べてみると、随分とハイブリッドなアメリカのバンドっぽさが(急激にではなく徐々に)増してきたように思います。リフは忙しくベロンベロンいってるけど歌メロにどこか軽快な感触のある⑨Run With Whe Devilなんて、それが分かり易い曲。
反対に、④Without Youのようなベッタベタにクさい(褒めてる)エモーショナルな歌モノバラードも収録されて、かつ違和感なく同居させているところにバンドの成熟を感じたりするわけです。

長尺曲をしっかりした構成で聴かせてくれるバンドってのは私の大好物なタイプですが、彼らもまたしかり。9分半に近い激しいアップダウンを巧みな演奏力・表現力で乗り切る⑦To Hell And Back、物語のクライマックス部分であろう7分半のバラード⑩Swan Song、共に素晴らしい出来栄えです。後者の、ピアノの端正な響きと、激泣きGtプレイヤーとしても超一流であることを証明したRomeoのソロが特に堪らんですね。
終曲⑪Legendも割と長め(6分半)ですが、これでもかとテクニカルに畳み掛けるスピード感と、明るく希望に満ちたようなメロディで締めくくる秀曲。


緻密に構築された楽曲をメロディックに聴かせる傑作です。「ラウパ事件」の腹いせに思いっきりコキ下ろしてやろうかと思いましたが、それはちょっと無理でした(笑)。良いもん、コレ。
どうでもよいですけど、真っ黒いジャケのブックレットって指紋が目立ちますよね。

【お気に入り】
⑩Swan Song
③Underworld
④Without You
⑦To Hell And Back
⑪Legend
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