PARADISE LOST「DRACONIAN TIMES」


PARADISE LOST「DRACONIAN TIMES」 (1995)

ゴシック・メタルのパイオニアとしても名高い、英国出身HR/HMバンドの5thアルバム。
時期によって音楽性が少しずつ異なるこのバンドですが、こと「ゴシック」で言えば本作を最高傑作として挙げる声が多いと思います。

こいつは傑作。
マジ、傑作。


普段、1曲1曲をつまみ食いして(←言い方はアレだが)聴く人だけでなく、アルバム一枚をアタマっからケツまで通して聴くようなタイプの人にとっても、「この曲がいい」「あの曲が好き」という見方や感想がまずあり、その集合体がアルバムであるわけです。だからそういう視点でいうと、「良いアルバム」ってのは「良い曲」が入っているアルバムだろうと。
このアルバムについても例外ではなく、ブリティッシュHRの匂いがプンプンする暗く美しい楽曲達が、それぞれ強烈な魅力を放っています。ただ、それよりも私は、作品全体に宿る神々しさみたいなものに着目したいですね。しかもその「神々しさ」「孤高感」は、年月を積み重ねるに連れて増していますし、初めてこの作品に触れた時点から聴く度に増してきたものです。
また、そのイメージ創出においては、美麗でグロテスク極まりないジャケを含めたアートワーク類の貢献も大きいでしょうね。

アートですわ。
アルバム一枚、その存在が愛おしい。
それはどことなく捉えどころがない楽曲群が醸し出す、不思議な魅力ゆえかもしれないなー、と。

本作の収録曲は、「これはこういうタイプの曲」って言い切っちゃうと何か勿体ないような、その曲の本質をちょっと捉え損なっているような、そんな気がしてくるんですよね。例えば、③The Last Time⑤Once Solemnには、王道ゴシックのイメージからすると意外にも感じるノリの良さがありますが、単に「ノリの良い曲」と言ってしまうには、孕んでいる陰鬱さや繊細さ、明るさや激しさに振り切れない曲調が邪魔をするし。で、そういうところがとことん英国的であるようにも感じたり。
どの曲も細部にそういう万華鏡のような多面性を備えていて、それが曲の奥深さに、延いてはアルバム全体の神々しさへと昇華しているように思えます。近作ほどのヘヴィさが無いことも特徴ですかね。

不思議な魅力ってのは、Nick HolmesのVoもついてもそうで、特別歌唱力に秀でているわけでも声が美しいわけでもないのに、この音楽にはぴったりと合っているし、彼の声こそがGregor MackintoshのリードギターとともにPARADISE LOSTそのものであろうと感じます。楽曲はバラエティに富んでると同時に、アルバム一枚通した統一感があるのも、この2人の出す声と音ゆえかもしれません。

冒頭の①Enchantmentから⑧Yearn For Changeまでは全く隙が無いですね。歌詞・メロディ共に、頭にこびりついて離れないフレーズがあちこちに散りばめられているし、Gregorのギターワークの巧みさは、「ここでこう来るんだ!?」という驚きと歓喜に満ちたもの。

ボーナストラックまで入れると15曲と長い作品だし(でもランニング・タイムは60分満たないくらいなんだよな)、終盤の楽曲は相対的に弱いようにも感じられますが、名盤であることに疑問の余地はありません。

【お気に入り】
④Forever Failure
⑥Shadowkings
⑧Yearn For Change
③The Last Time
⑤Once Solemn
⑦Elusive Cure
②Hallowed Land
①Enchantment

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