BARREN EARTH「ON LONELY TOWERS」


BARREN EARTH「ON LONELY TOWERS」 (2015)

Travis Smithによるジャケが相変わらず陰鬱極まりない、フィンランドのメランコリック・メタル界の「裏番長」(管理人が勝手に命名)、BARREN EARTHの3rdアルバム。因みに「表番長」は、BARREN EARTHとも関係の深いAMORPHISね。ダブル番長が両方共新譜を出しちまうんだから、今年はすげーやべー。

前作「THE DEVIL'S RESOLVE」(2012)リリース後、Mikko Kotamaki(Vo)がSWALLOW THE SUNの活動との兼ね合いから脱退、新たにJon Aldaraという無名の人物が加入してます。コタマキ君のヴォーカルが好きだった私はその脱退の報を耳にした時に結構ショックだったわけですが、それほど期間を空けずにこうして新作を届けてくれたことは嬉しい限り。前作は年間ベストにも入れた傑作だっただけに、勿論今作も大いに期待してますし。
そこで当然気になってくるのは新ヴォーカルのパフォーマンスなわけで、さて、若きJon選手の腕前(というか喉前)は如何に?

Jon Aldara。
彼がなかなかの逸材です。
歌唱は1人でグロゥルとクリーンのチェンジをこなすということで、前任者コタマキ君と同タイプ。ただ、両者のクリーンVoの印象はかなり異なります。Jonの方は、オペラティックとも言えるような朗々とした歌唱で、クセがある。声質に、というか歌い回しにクセがある感じです。グロゥルとの落差、およびクリーンVo自体の歌唱力・表現力は(コタマキ君と比較して)向上しているでしょうね。
で、このテノールっぷりがまるで本職のオペラ歌手のような板の付き方なので、気品があるというか、高貴なムードが漂っていることもしばしばです。この歌唱を聴いて「コイツ、なに気取ってるんだ?」と思う人もいるかもしれません(私だ/笑)し、ヴォーカル面での「闇の住人」度はかなり落ちている気がします。

反面、楽曲展開はさらに複雑に、曲は長尺になり、70年代HR/プログレッシヴ・ロック/サイケ由来の混沌さが増しています。また、チェロの導入がところどころ目立っていますが、それが暗鬱さに拍車を掛けていることも見逃せません(ヘヴィでドゥーミィな大作④A Shapeless Derelictに顕著)。
「実験的」と言っても良いほどプログレ的なキメが連続する作風ですが、いつも通りメランコリックなメロディの強力さが光るので、それほどハードルが高い作品だとも感じず。というか、そんな風に感じる私が既に毒されているのかもしれませんが。

メランコリー爆発のイントロに続く②Howlが、名刺代わりの1曲。JonのVoワークに、起伏ある展開とアグレッション。新編成の魅力とこのアルバムの作風を、(比較的)コンパクトな尺の中で分かり易く提示している曲ですね。
個人的には、大作が連続するアルバム後半の充実が嬉しく、⑤Set Alightから⑧The Vaultまで、予測不可能なスリリングな展開を楽しむことができます。(※私が買ったのは輸入盤なので、8曲目にSirens Of Oblivionが無いヴァージョン)
とりわけ、静寂パートと暴虐パートを自在にコントロールし、ラストの泣きまくりが凄まじい最長曲⑥On Lonely Towers(12分近い)、器楽的な聴き応えと歌メロの充実が両立した⑦Chaos, The Songs Withinがキラーっす。


Voと楽曲、それぞれの新機軸による、光明(主にVo由来)と暗黒(主に楽曲由来)の鬩ぎ合いが、前2作には無かった不思議な聴感を醸し出しているのが面白いです。Jonのテノールのインパクトが大きく、ちょっと今まで聴いたことない組み合わせの音ですね。また、こういうプログレ色が強くアナログ感覚溢れる方向性だと、多彩な音色を操るKasper Martensonの鍵盤ワークがさらに冴え渡ってますね。正に要。

このバンド、楽曲展開や醸し出す雰囲気、メロディ等は相変わらず私の琴線を触りまくりやがるんですが、Jon君のクリーンVoがあんまり好みじゃなかった。③Frozen Processionsでの歌い方が一番苦手かも…。上手いんですけどね。
ただ、不満点はあれど、この懐の深い、深過ぎるサウンドはやはり傑作認定せざるを得ない。

【お気に入り】
⑥On Lonely Towers
⑦Chaos, The Songs Within
⑤Set Alight
⑧The Vault
②Howl
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