SKID ROW「SLAVE TO THE GRIND」


SKID ROW「SLAVE TO THE GRIND」 (1991)

アメリカ・ニュージャージー出身のHRバンド、2ndアルバム。全米初登場1位を獲得した作品だそうな。
デビューにあたってJon Bon Joviの後押しがあったとか、そのデビューが80年代だったからかLAメタル勢と一緒くたになって語られたり、Sebastian Bach(Vo)の端正な容姿もあってアイドル的人気を博したらしいとか…etc…そんな諸々のエピソードやらなんやらで形成されたバンドのイメージがあったりするわけですが、

この「SLAVE TO THE GRIND」は、“メタル”でっせ。

18 And LifeYouth Gone WildI Remember Youといったヒット曲が収録され、キャッチーでありながら骨太なHRを聴かせた1st(1989)。そこからさらに硬派に、かつヘヴィで暗い作風になっているのが本作。プロデュースとミックスを手掛けたMichael Wagenerの音作りのセンスも光り、パンキッシュなのにやたら重心が低いです。
この感触は、“ハードなロック”というより“ヘヴィなメタル”だ。
1stも良いんだけど、私は断然、本作を推しますね。

曲調としてはやたらファンキーだったり、チャラい歌メロや次作「SUBHUMAN RACE」(1995)にも通じるモダンな要素が散見されるんですが、それらを全て吹っ飛ばすようなヴォーカルの凄み。これにとどめを刺す感じね。
①Monkey Businessの冒頭、けたたましく鳴り響くSebastian Bachのシャウトにまずビビる。メロディがどうだとかいう以前に、フィジカル面での強靭さが聴き手の意識を強引に持って行っちゃうこの感じ、聴き方としては歌モノ・ロックというよりはハードコア系のそれに近いかもしれません。

歌が上手いとか下手とか、ハイトーンが出るとか出ないとかそういう見方が瑣末な事に思えるほど(まぁ、歌うまいしハイトーンも出まくるんだけど)、バズ(=Sebastianの愛称)のヴォーカルは感情過多だ。良い意味で。
ハイトーン一つとっても綺麗なだけのハイトーンじゃなくて、もう絶唱という感じの「叫び」だし、感情が乗りまくりングなんで楽器の一部のようには感じられない。ことHR/HMという、演奏陣にもスポットが当たりやすい音楽ジャンルにおいて、これほどヴァーカリストの魅力や特性が、作品の評価を決定付けてしまう例も珍しいような気がしますね。まぁ、バズの存在感が大き過ぎて、実は、Dave“The Snake”Sabo(Gt)とRachel Bolan(Ba)、どっちがギターでどっちがベースか、曖昧だったりするんですけど(笑)。他の2人?ゴメン、分からんw というか、ツインGtのバンドって意識、なかったかも。

まぁこんな風にバズマンセーできるのも、超強力な楽曲が収録されているからなんですけどね。楽曲の平均点では1stの方が上のような気もしますが、4つの(個人的)キラー・チューンの存在が有無を言わせず本作を傑作認定させます。
タイトル・トラック②Slave To The Grindは、もっとパンキッシュな印象が先行してもよさそうなスピード・チューンなのに、感触はゴリゴリ。バズの噛み付くような歌唱もさりながら、演奏が重いから。キャッチーなのに軟弱さは皆無。
で、個人的にはSKID ROWといえばバラードだし、バズの魅力が最も光り輝くと考えるのもバラード。3曲収められたバラード、④Quicksand Jesus⑨In A Darkened Room⑫Wasted Time、どれも劇的なメロディと絶唱が映える名曲です。彼らのレパートリーの中の代表曲というより、90年代アメリカン・メタルにおける大きな収穫と言い切ってしまいたい。どれも能天気さが一切無い、号泣モノのメロディが味わえるところが超絶私好みですね。曲のラストでクライマックスに達するVoの感情表現も、抑え気味で優しげなヴァースでの歌唱が生む“落差”があればこそ。
3曲共甲乙つけがたいのですが、私はが一番かな。歌詞がクセぇから(笑)

アルバム唯一と言ってもよいほどの軽快な曲、⑩Riot Actも◎。

【お気に入り】
④Quicksand Jesus
⑫Wasted Time
⑨In A Darkened Room
②Slave To The Grind
⑩Riot Act
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COMMENT 4

DD  2015, 08. 22 [Sat] 19:56

 絶賛迷走中の彼らですが、これは評価していい作品ですね(高い声出りゃ誰でもいいってもんではないでしょう、それなら本体と別れたGeoff だっているし)。

 これはbonus track含めて、同じ曲が1曲もないという点でもその作品の良さを示してますね。(早い曲にしても、剛球のごとくの2と、決して軽くならない6、ノリ1発勝負の9と見事に分かれてるし)
 
 もうBazを戻さないと(かつしっかり謝るのも必須)、同じ様な上昇気流に乗れないでしょうね。(Baz抜きliveをいくつか見ると、演奏よくVo.むちゃくちゃで、曲が壊れてました)

 balladがwet感あるのは、BazがBritish/Europeanのバンドのfanであることからでしょう、3作目の後の作品を聴いたことあるのですが、成長したpunk bandのようで、わるい意味で「こうなったか・・」と思わせるものでした。(それ故でしょう、元Dr.でさえも再結成に力を貸そうとしたのに、にべもなかったそう、このままいったら別の意味で消滅?あるでしょうね)

 誰かがskidsのCD聴くならどれと聞かれても、Bazの3作品だけしか勧めないでしょうね、どう考えても。

 お気に入り・・2,4、5,11,12

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山崎パンイチ夫  2015, 08. 23 [Sun] 02:39

私事で恐縮ですが。
このアルバム名を目にする度、コレ収録のバラード曲を当時の彼女に「凄く良いから」と聴かせたものの、SPITZやドリカムを愛する彼女に「大袈裟で装飾的で嘘クサイ」と一蹴され、おれ自身のアイデンティティが崩れかけた苦い思い出が甦ってしまいます。

良いと思うんですけどね~。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2015, 08. 25 [Tue] 02:24

DDさん、

このバンドほど縒りが戻らなそうなバンドも無さそうですが…(苦笑)、飛び道具的なトニー・ハーネル加入でどうなるか?…ってまるで興味はないんですけどねw

作曲面にはタッチしていないであろうバズの資質でそこまで曲の印象が変わるのであれば、これはもう強烈な個性だったのだと改めて感じるところですね。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2015, 08. 25 [Tue] 02:33

山崎パンイチ夫さん、

お、お察しします…w

う~む、これが「嘘クサイ」とHR/HM系のバラードは全滅でしょうね(笑)。シンフォニック系なんてもっと大袈裟ですしね。
じゃあその元カノさんは、例えばSarah Brightmanとかどう感じるのかとか興味が湧いてくるので、是非訊いてみてください(無理w)

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