誉田哲也『ブルーマーダー』

誉田哲也_ブルーマーダー
誉田哲也『ブルーマーダー』 (光文社文庫)

誉田哲也の警察小説、姫川玲子シリーズの6作目『ブルーマーダー』を読みました。
なんかジャケの統一感が若干失われているのが残念なんですけど。斜めってるタイトルと構図が、同シリーズ他作品と比べるとチャラい。

池袋の繁華街。雑居ビルの空き室で、全身二十カ所近くを骨折した暴力団組長の死体が見つかった。さらに半グレ集団のOBと不良中国人が同じ手口で殺害される。池袋署の形事・姫川玲子は、裏社会を恐怖で支配する怪物の存在に気づく―。圧倒的な戦闘力で夜の街を震撼させる連続殺人鬼の正体とその目的とは?超弩級のスリルと興奮!大ヒットシリーズ第六弾。

総決算!…的な内容かと。
面白いわ。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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BLUE MURDERといえば、John Sykes的なあのバンドを思い出しますが、これが本当に元ネタなんだそうな。犯人グループの3人をこのトリオ・バンドになぞらえたそうですが、誰が誰よ?う~~~~ん、まぁいいや。

自身にとって面白い小説を読んだとして、普通はあらすじとかトリックとかを後々まで覚えてるもんなんでしょうかね? 私はほとんど忘れてますね。例えば、「この本、トリックで驚かされた覚えがあるなぁ」とは記憶していても、肝心のそのトリックは覚えていなかったり。筋やミステリ的な面よりも、登場人物の造型や印象的なシーンをイメージ(=映像)として覚えてることが多いです。
このシリーズも大好きなんですが、過去作についてあんまり記憶にないんですよね。姫川班のメンバーを挙げろ、とか言われても無理っす。キャラ萌えというより、(このシリ-ズの)作品から立ち上ってくる雰囲気が好きなのかもしれません。

でも菊田のことは覚えてた。
この作品、シリーズ物の中の位置付けとして考えると、「姫川と菊田の関係に決着をつけた話」という表現ができると思います。ゆえに、ターニング・ポイントとなりうるポジションの作品かと。
スピンオフ的な5作目『感染遊戯』を挟んではいるものの、ストーリー上は前作にあたる4作目『インビジブルレイン』のラストで、姫川班が解体されたことも一つの分岐点ではありましたが、本作での爽やかさを伴う結末の方が何倍も良いですね。クライマックスである、立てこもり現場に踏み込んでゆく姫川の姿と、そこで交わされる会話には涙腺が緩んだし…。
それにしても、菊田が結婚したことを(姫川に)報告してないの、おかしいよな。警官同士の結婚なんだから余計に。

そんなシリーズ全体を通した視点からも興味深い本作ですが、“事件”としての求心力も抜群。ブルーマーダーの正体であるマサのキャラ設定が秀逸だからですね。あっという間に物語後半まで行ってしまいましたわ。姫川班(というか、姫川と菊田)の絆を描く一方で、犯人側の“チ-ム”にも似たような構図を感じさせるところが素晴らしい。
逃亡の末にマサが捕縛されてしまう過程と描写があっさりし過ぎていますが…。

しっかし、ガンテツこと勝俣の登場の仕方がクール過ぎて、鳥肌。
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