筋肉少女帯、人間椅子@渋谷公会堂

『筋肉少女帯人間椅子』 渋谷公会堂 (2015/6/7)

筋肉少女帯人間椅子のカップリング公演に行ってきました。
陰陽座はずっとファン・クラブに入り続けているくらい好きなんですが、彼らに影響を与えている2大国内バンドであろう筋肉少女帯人間椅子に関しては、ずっとライブ未体験でした。椅子に関しては『Ozzfest JAPAN 2013』で観ることができましたが、筋少は今回が初めて。ライブDVDは持ってましたけどね。あと双方、キャリアが長いゆえ、音源を全て網羅するまでには至っていません。

会場である渋谷公会堂は、当然のようにソールド・アウト。私も発売日にチケット買ったのに、2階の後ろの方の席でしたからね。リハが長引いたのか段取りが悪いのか、定刻になっても客入れが終わらず。若干時間を押してのスタートとなりました。因みにステージ上には、2機のドラムセット、および筋少で使うKey回りの機材が既に設置済みです。


人間椅子
まずは、椅子から。
すんごい盛り上がり。曲のテンポの速い/遅いに関係無く、客席からの反応はすこぶる良好です。Ozzfest以降のバンドの勢いや右肩上がりのライブ動員について、うすぼんやりと把握してはいましたが、目の前でそれを見せられると改めて驚きますね。黄色い声(=つまり女性ファンの声援)がやけに多いことにも、ビックリ。
だって、ステージから放たれている音って、70年代ブリティッシュHRとそれに近似のメタルですよ? ここ渋公にいるみんながみんな、NWOBHMのバンド群を丹念に追いかけて、ちょっとプログレやサイケも齧ってみて、日頃からドゥーム・メタルに親しんでCANDLEMASSは神!、みたいな音楽生活を送っているのか? ゼッタイ、否、でしょう(笑)。私だってそこまで熱心じゃないし。
この光景は、彼らと同じ類の音楽全般が受け入れられているってことでは勿論なくて、人間椅子というバンド自体の人気がスンゲー!ってことなんでしょうけど、でも不思議な光景だなぁー。曲に一緒に歌えるパートが多いわけでもないんですけどね。

…と言いつつ、私はこういう音は好物なので、とても楽しめました。シャープというよりファットと表現したいバンド・サウンドは、トリオ編成とは思えないほど分厚い。それぞれの楽器のトーン/チューニングのせいもあるんでしょうけど、これはアンサンブルの巧さゆえでしょうなぁ。輪郭がそれほど鋭くなく、かつ生々しく迫力のある音なので、リフとリズムが雷鳴のような響き方でした。でも無駄に喧しくはなく、適度に、野蛮。
メンバーそれぞれの貢献がハッキリと分かる音像が素晴らしいですね。特に、和嶋慎治(Vo&Gt)のアイデア豊富で技巧的にも多彩なプレイは絶品。小気味良いリフ回しもさることながら、間奏になると意外なほど流麗なGtソロが飛び出してくる様子にドキッとします。あと、ピョンピョン飛び跳ねながら弾く姿が可愛い(笑)。
そうそう、椅子メンバーはワイヤレス機器を使わないのか、スタッフがシールド捌きにちょっと大変そうでしたね。

ヴォーカル面では、ちょっと和嶋のVoが聞き取りにくかったかな。逆に鈴木研一(Vo&Ba)の低音ヴォイスはかなり通ってきた。これは私が観た場所に依るものかもしれません。蜘蛛の糸ではナカジマノブ(Dr&Vo)が歌いましたが、声デカいね(笑)。「俺のことォ、兄貴って呼んでくれェ!」というMCが良いです。自然派生的に兄貴と呼ばれる下山武徳(SABER TIGER)、「兄貴と呼ばせてやろう」のKAMIJOに続く、第三の兄貴キャラだ(笑)。
ナカジマだけでなく三者三様のキャラ立ちや喋り方、バンドから発せられる和やかなムードも◎。

しっかし、このバンド、曲作りが巧いなぁ。メロディ・メイカーとしての才能に恵まれているというよりは、飽きさせない曲展開を生み出すコツを会得しているって感じでしょうか。じっくり聴かせる曲でもところどころに耳を引くフックが満載で、ちょっとした旅をしているような気分になるし、上で「70年代ブリティッシュHRうんぬん…」とは書きつつも歌詞や歌メロには日本情緒が溢れていたりと、真にオリジナルな音を出していますし。
また、この日は、リズムの持つ魔力を感じたライブでもありました。ノリの良いキャッチーなリフが本能的なところにダイレクトに響いてきて身体が動いちゃうし、その繰り返しが聴き手を魅了する様子がよく分かる。知らない曲や記憶がおぼろげな曲も多かったのですが、自然と引き込まれちゃうんですよね。

まだまだ中盤だろと思っていたら、あっという間に針の山で終了。この曲、目の前で演奏されていたとしても、どうもMETALLICABreadfanの歌詞で脳内変換されてしまうわね(笑)。
う~~ん、短い!
また観たいですね。

<セットリスト>
1.新調きゅらきゅきゅ節
2.地獄への招待状
3.少年グリグリメガネを拾う (筋肉少女帯カヴァー)
4.なまはげ
5.死神の饗宴
6.相剋の家
7.蜘蛛の糸
8.人面瘡
9.針の山


筋肉少女帯
続いて、筋少。
全部で7曲を披露。なぜ椅子より曲数が少ないのか? 大槻ケンヂ(Vo)の喋りが長いからですな(笑)。でもそれでいい。それがいい。初めてのライブで「あの曲が無い。これをやらなかった」って言うのもアレですし。

そういえばサポート・メンバーのことは全く頭に無い状態で当日を迎えたわけですが、Keyが設置してあるのを見てニヤリ(Key抜きの筋少のライブがあるのかどうか知らないが)。そして白いパンツ姿の三柴理(Key)が、颯爽と登場して弾き始めるのを確認して心の中でガッツポーズ。サンフランシスコで流麗極まりない鍵盤捌きがいきなり飛び出してきて悶絶。そんなライブ冒頭の流れで、いきなり筋少ワールドに引き込まれました。

メンバーの見た目バラバラっぷりは、筋少の楽曲のカラフルさや坩堝感と不思議とマッチしており、その統一感の無さがかえって良い感じ。特に、大槻と橘高文彦(Gt)は目を引きますね。挙動不審気味に捲し立て唯一無二の語り口で引き込む大槻、80年代のギター・ヒーロー像そのまんまの動きを見せる橘高。それぞれ黒と白の、丈の長い衣装が目立つし、単純に背が高いってのもあります。

バンドの出音は、椅子に比べるとかなり現代的でソリっドですね。内田雄一郎(Ba)と、サポートの長谷川浩二(Dr)のリズム隊がとにかく上手い。派手じゃないんだけど堅実に巧い。そして確実にバンド・サウンドの根幹になっているのが分かる。プロは上手くて当たり前、というあんまり当たり前じゃなくなっていることを再確認させてくれる、そんなプレイ。
また、ライブ前に考えていた、大槻のヴォーカルが(バンド・サウンドの中で)埋もれるんじゃないか、あんまり聞き取れないんじゃないか、という懸念は杞憂でした。演奏陣の音作りや音域の住み分けが上手いのか、はたまた大槻自身の声質や実力のせいか、かなりVoが抜けてきてビックリ。「そんなにガナるように歌ったらすぐに声枯れちゃうじゃん!」と心配になるそのまんまの声で、ライブ終盤まで行っちゃうんだから恐ろしいというか不思議というか。つくづくヘンなヴォーカリストだ。
Gtソロは橘高に任せて、ニコニコ楽しそうに動き回る本城聡章(Gt)も堅実。反対に、華麗にフラッシーな橘高は、三柴のところに行ってKeyとのユニゾンをキメたり、ピックを客席に投げまくったり、ステージ前面に出て来てインギー伯爵ばりのFIRE & ICEポーズで弾いたりと、目立つこと目立つこと。ただ橘高、巧いんだけどもうちょっと一音一音ハッキリ弾ききってくれると嬉しいんだけどなぁー。

でね、とにかく、エディこと三柴理の演奏ですよ、凄まじいのは。なんなんでしょうね、この人だとすぐに分かる音色は。特に、めちゃめちゃ気品があって、同時にすぐに壊れちゃうような脆さとギリギリの狂気を感じさせる、美しいピアノの音。
彼が弾くセクションだけ一気にレベルがグッと持ち上がる感じですよ。人間椅子のカヴァー・ダイナマイトをプレイした時や、かつて陰陽座のステージにゲスト出演した時も感じましたが、彼独自の色を添加し、同時に原曲のオリジナリティを壊さず一気に曲を化けさせるという離れ業をやってのけるんだよなぁ。つーか、なんでこれほどの人が筋少と一緒にやってるんだろうな?(笑) つくづく面白い。

アチコチに一緒に歌うキャッチーかつヘンテコなフレーズ満載、掛け合いや手拍子も楽しい、ファン参加型のショウ。お客さんを楽しませることに秀でており、それに注力したアーティストのパフォーマンスは、とても気持ちが良いものですね。玉石混交というか、その何でもアリなところ、雑多な要素の組み合わせが面白いライブでした。三柴理が弾くなら(彼が弾かないステージもあるのか?)、何回でも観たいなー。
というか、陰陽座とのツーマンやってくれ。阿部雅宏さんには悪いが、2ステージともエディKeyで。

<セットリスト>
1.サンフランシスコ
2.ダイナマイト (人間椅子カヴァー)
3.日本印度化計画
4.混ぜるな危険 (新曲)
5.労働讃歌
6.踊るダメ人間
7.イワンのばか


筋肉少女帯人間椅子セッション
第三部として、双方のメンバー入れ替え&入り混じってのセッション・タイムです。
コラボしたシングル、地獄のアロハだけプレイするもんだと思っていたのですが、これがめっちゃ長かった。楽しかったんだけど、正直ダレたかなぁ…。この第三部がこの日のスペシャル・ショウの醍醐味たる部分だったのかもしれませんが、長々とやったことによってその特別感は薄れたし、それなら個々のバンドの持ち時間を増やしてほしかったというのが正直なところですね。まぁ「メンバー自身のお楽しみ」って要素もあるんだと思いますが。Iron ManDetroit Rock Cityをプレイしている時なんてめっちゃ楽しそうでしたし。

件の地獄のアロハですが、明るめのリフとツインGtのハモりは筋少っぽく、曲展開は椅子っぽく、歌メロはそれほど私好みじゃないという(笑)、実にこの2バンドのコラボらしさ溢れる曲。通常版とHeavenly Versionと、2ヴァージョンが披露されましたが、正直どこが違うのか分からん(笑)。後者にはソロ回しがあるところが違うのか? この曲、イントロではちょっとだけウクレレが使われるんですけど、橘高が使うウクレレはしっかりVシェイプなんですよね。

一番レア度が高かったのは、大槻のソロ・プロジェクトであるUNDERGROUND SEARCHLIE君は千手観音だったでしょうか。みうらじゅんが作詞、和嶋と鈴木が作曲をしたこの曲が、筋少と椅子の初めての“繋がり”だったそうです。

セッション後半では全メンバーがステージに顔を揃え、総勢9名、ダブルDr・ダブルBa・トリプルGt・ツインVoにKeyという豪華編成になりました。ここで大槻が「いち、にぃ、さん、しぃ、……きゅう。9人。…って野球かよ!」とか言い始め、アストロ球団がどうとかいうくだりに突入するやいなや、橘高が
「君達、ロックの話をしろよ!」
キタ━━━━(*゚∀゚*)━━━━!!
一発目の筋少ライブなのに伝説の名言「君達、ロックの話をしろよ」のくだりを聞くことができて私は幸せです(笑)。

全体的にはグダグダしつつもお客さんもその緩~い雰囲気を楽しみ、かつお互いのバンドへの敬意が伝わってくるセッション。それを合わせて、トータル3時間半のライブでした。ずっとエンタメで食ってきたベテラン・バンドの凄みをたっぷり堪能させてもらったステージでしたね。さすがですわ。感服。

<セットリスト>
1.Iron Man (BLACK SABBATHカヴァー)
2.日本の米
3.君は千手観音 (UNDERGROUND SEARCHLIEカヴァー)
4.内田&鈴木によるGene Simmonsごっこ
5.Detroit Rock City (KISSカヴァー)
6.地獄のアロハ [通常Ver.]
7.りんごの泪
8.釈迦
ENCORE
9地獄のアロハ [Heavenly Version]

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