MAGMA@渋谷TSUTAYA O-EAST

MAGMA 『THE ENDLESS TOUR IN JAPAN 2015』 渋谷TSUTAYA O-EAST (2015/6/5)

コバイア星行き超特急、発車オーライ、ヨーポッポウ!

…ということで行ってまいりました。フランスのプログレッシヴ・ロック・バンド、MAGMAの来日公演。東京公演は渋谷のTSUTAYA O-EASTで2Daysですが、その2日目です。

O-EASTの1階フロアにパイプ椅子が並べられてます。ソールドアウトしていたのか、ぎっしり。私の席は上手寄りのやや後方。ここのステージは高めなので、後方とはいえ座ってみるとちょっと見上げる感じですね。全体的には見やすいものの、ちょっとした障害物があるとメンバーが隠れる。因みに、私の位置からは譜面台が邪魔してChristian Vander(Dr&Vo)の姿がよく見えませんでした。
各配置は、ステージ後方下手側から「Gt → Dr → Ba」、前方は「Vibraphone → Vo陣 → Key」、となっています。

セットリストは大阪含めて全て同一だったようですが、、まずはそれを挙げておきましょう。

<セットリスト>
1.Köhntarkösz
2.Slag Tanz
3.Mekanïk Destruktïw Kommandöh
ENCORE
4.Zombies

アンコール含めて全4曲。
え~~と、対バン・イベントではないです。ワンマン公演です。ライブの尺が短いわけでもないです。19:30定刻通りに始まって、2時間弱しっかりやってます。途中でトラブルがあって、内容を端折ったわけでもないです。曲間の休憩タイムが長いわけでもないですし、お色直しに時間を取られているわけでもありません(笑)。

つまり、1曲がめっちゃ長いんですね。アンコールのZombiesはそれほど複雑で長くはないものの(それでもライブではだいぶ拡張されて、まるで別の曲と化していましたが)、本編の3曲がめっちゃ長尺。それぞれ30分くらいずつあります。まぁ「3曲」といっても、組曲を演奏しているみたいなもんなので、実際はそれぞれアルバム1枚を丸々プレイしているわけですが。ノンストップで。

凄まじい集中力。
ステージ上にストイックな空気が満ち満ちてはいるものの、メンバー8名はピリピリしているわけではなく、ごくごく自然体のように見受けられるのが異様であり、驚き。やたら厳しい修業を苦に思うことも無くこなしているような、そんな佇まい。

各メンバーの印象を書き出してみるとこんな感じ。

【Christian Vander(Dr&Vo)】
唯一のオリジナル・メンバー。結構荒っぽい叩き方だな、と。でもそれは乱暴ってことじゃなくて、技巧的には如何様にも叩き分けられる人が、感情の迸りに任せて解き放った的な感じ。物凄い。あれで67歳だぜ?(驚)
Dr叩かずマイクを握りしめてVo(というか呪文詠唱?w)をとる場面がありましたが、さすがコバイアン・マスター(笑)、怪し過ぎました。完全別世界に逝っちゃってました。

【Philippe Bussonnet(Ba)】
!!!!!!!
衝撃の巧さ。後述。

【James Mac Gaw(Gt)】
レスポール使い。浮遊感のある繊細なフレーズからハイフレットを多用した泣きのソロまで。身悶えしながら顔で弾いてるねぇ(笑)

【Benoit Alziary(Vibraphone)】
もしかしてヴィブラフォン演奏してるところ初めて観たかな?鉄琴ですね。メタルバンドにいそうなスキンヘッド(というより、ハゲか?)。複数のばちを持ち替え、時に2本ずつ計4本のばちを持ったりして、大袈裟な動きで叩くのがグッドです。そのルックスとデカい所作でありながら、出て来る音は繊細で可愛げがあるのが最高。また、ヴィブラフォン本体の横の部分に弓を擦り付けてViolinのような音出したり、大活躍でしたね。

【Jérémie Ternoy(Key)】
学者風。Christianと目線を交わしながら、複雑なアンサンブルの中で時にバンド全体を引っ張るようなフレーズを担当。

【Herve Aknin(Vo)、Stella Vander(Vo)、Isabelle Feuillebois(Vo)】
男性1名・女性2名のヴァーカル陣。独自の言語・コバイア語を歌うわけでして、何言ってるかさっぱり分かりません。それは歌にも呪文の詠唱にも叫びにも囁きにも似て、正に変幻自在。当然のように歌はめちゃめちゃ上手いんですが、その技量を“普通”には使わないのがヘンテコで、ある意味贅沢。3名ともパーカッションも担当しており、マラカスを延々と振りながら意味不明な言葉をいつ終わるとも知れないように吐露し続ける様子は、何かの儀式のようでした。


John Coltrane(Sax)からめちゃめちゃ影響を受けているバンドゆえ、ジャズが根底にあるはずで、曲進行やライブにおけるクライマックスの演出はジャズらしいものであるはずなんですけど、個人的にはそれほどジャズは感じませんでした。
これはロックだ。
ロックの原初的な衝動がそのまんま音に現れてきちゃったような生々しさと躍動感。野蛮ですよ、この音は。それが暴走する一歩手前で踏み止まっているようなスリル感。MAGMAと比べたらクリムゾンは随分と知的で精緻で整っているなぁー、とも。

神秘性の演出を機械に頼ってないのがスゲーと思いましたね。この場合の「機械」ってのは、楽器の音色、特にKey周りのムード演出のことをぼんやりと念頭に置いている表現ですが、アンビエントや「ポスト○○」と評されるバンド群が出している音との決定的な違いはこの点でしょうか。とても肉感的なバンド・サウンドでした。
各メンバー、楽器を持ち替えないんですよ。一つの楽器で以って、様々なフレーズ・音色を生み出している。音量のコントロールと自分の身体(指先等)から創出された多彩さ。それはヴォーカリストも同様で、メンバー自身の演奏と歌によってこの出音と雰囲気は作り出されているんだなぁ…という点に驚きました。音量も適度で素晴らしかった。

衝撃的だったのは、Philippe Bussonnet(Ba)。猛者揃いのバンドだと思いますが、バンド・サウンドの要となっていたのは彼のプレイではないのかな。そう感じる場面が多かったです。
なんか軍隊風というか、格闘家のミルコ・クロコップを思わせる容貌で、何をしでかすか分からない雰囲気がたっぷり。完全The other sideに逝ってしまわれたご様子で、首をグリングリン回しながらとてつもなく難解なフレーズをビシバシ繰り出してくる様は、どこか別次元から遠隔操作で操られているような雰囲気もありました。時々キメのフレーズに合わせて、ネックをブンッと振り回すような挙動も、めっちゃおっかないんだw
そして驚くべきはその演奏。色々とテクニカルなベーシストは観てきましたが、出音の存在感と多彩さ、右手&左手の連動のスムーズさのレベルがまったく違う感じがしました。ライブ後半はずっとPhilippeを凝視しているような有様でしたし、「いやいや、それじゃイカン!」と視線を引き剥がすように他のメンバーの方を見るという。いやー、今まで観たベーシストで一番凄みを感じたかも…。
あ、上で「メンバー8名はピリピリしているわけではなく、ごくごく自然体」とか書きましたが、Philippeはちょっと別ですね(笑)。

MAGMAのライブ、傍から見れば異様な光景でしょう。何だか分からない言語を延々と詠唱し、執拗な反復と阿鼻叫喚を取り留めも無く行き来する様子は、それこそカオティック。フロアに魔方陣が出現して何か召喚されちゃうんじゃないかと感じるような空気がありましたし。
子供や赤ん坊って、奇声をあげたりするでしょう。
気に入ったことがあると、それを飽きもせずに繰り返すでしょう。
叩くものがあったら、それをめちゃめちゃに叩いてみたくなるでしょう。
速いの好きでしょう。
各メンバー、そんな感じなんですよ。それらが奇跡的に全て噛み合って、アンサンブルとして機能している、そんな音の集合体。塊。


Mekanïk Destruktïw Kommandöhの終盤、圧巻のパフォーマンスには、「人間ってここまでできるんだな」って思ったら涙が出てきました。もはやメンバーは人間じゃなくてコバイア星人なのかもしれないけど。
でも、そういう緊張感漲るクライマックス・パートや上に記した“子供が好き勝手やっている”ような印象も、静かなパートの“助走”や、押し引き心得た“小爆発”の繰り返しの存在があるからこそ輝くのであって、要は緩急のコントロールと楽曲の練り上げが巧いんですね。
ただそれが綿密に計算されたソングライティングに依っているという感覚は全く無いのがスゲー。
ひたすら、肉感的に。
同時に、精神はアチラの世界へ(笑)
自分で何言ってるのか分かりませんが、そんな感じですマグマ。


衝撃的な名演でした。
毎回こんな凄まじいライブを繰り広げてやがるのか、彼らは。

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