大沢在昌『鮫島の貌 -新宿鮫短編集-』

大沢在昌_鮫島の貌
大沢在昌『鮫島の貌 -新宿鮫短編集-』 (光文社文庫)

大沢在昌の新宿鮫シリーズの短編集、『鮫島の貌』を読みました。

新宿署に異動直後、上司となる桃井と鮫島との出会い。飛び降り自殺を図ろうとした少年と関わる晶。鮫島の宿敵・仙田、鑑識官の藪…。シリーズに登場する個性的な人物たちの意外なエピソードから、人気コミックの主人公である両津勘吉や冴羽獠との共演まで。孤高の刑事・鮫島の知られざる一面が垣間見える短編が勢揃い。「新宿鮫」にしかない魅力が凝縮された全10作品。

新宿鮫は、長編でも短編でも面白い。キャラ造形がしっかりしてるからだろうな。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓

短い文章の中でも、長編の場合と変わらずしっかりとドラマを成立させ、かつ読者にさり気なく背景の知識を提供して興味を引く。そんな作者の手腕は冴えています。主人公・鮫島目線の話あり、第三者目線から描いたエピソードあり、どれも飽きさせません。
中でも、新宿署に異動になった鮫島が桃井と出会ったばかりの頃の話「区立花園公園」、ミステリ色の強い「雷鳴」、鮫島のキャラ立ちが凄まじい「再会」、『狼花』の後日譚を描いた「霊園の男」は出色の出来。
最後に収められた「霊園の男」、この詩情は素晴らしく、めちゃめちゃ感慨深いですね。シリーズを最初っから読み直さないといけない、そう思わせる力がある一編だと思います。というか、ほんとに読みなおそ。

本作を手に入れる前から心配だったのは、『シティーハンター』の冴羽獠と“こち亀”の両津勘吉が登場する話があるという点でした。こういうコラボというか、外界からの異分子的なモノって嫌いなんですよね、私。確立された世界観を壊しかねないから。その「世界」を愛していればいるほど、そう思います。
ということで、おっかなびっくり読んでみたのですが、悪くなかったですね。それは二編とも晶を登場させることによってある種の“軽さ”を感じさせ、爽やかな空気を生み出しているからでしょうか。まぁ短編ならではの味で、決して長編には登場させてくれるな、と思いますが。

私はやはりこのシリーズが、そして、このシリーズの登場人物達が大好きですね。充実作。
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COMMENT 2

フレ  2015, 06. 03 [Wed] 21:49

いいねぇ〜

狼花までしか読んでないな…。
その後読んだらこれ読もうっと。
…ってか最初からまた読むのかも(笑)。

毒猿最強。

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ヒゲ・スカイウォーカー  2015, 06. 05 [Fri] 00:22

フレさん、

シリーズ全体を愛読する人ならば楽しめる本だと思います。
確かに『毒猿』が最強ですね。それに、シリーズの重みが積み重なった『狼花』『絆回廊』、そして1作目が続く感じですね、個人的には。まぁほとんど全部好きですけど(笑)
どっちかというと晶の要素が少ない方が好きw

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