HELLOWEEN「MY GOD-GIVEN RIGHT」

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HELLOWEEN「MY GOD-GIVEN RIGHT」 (2015)

HELLOWEEN、ウルトラ悶絶傑作「STRAIGHT OUT OF HELL」(2013)に続く、15枚目のオリジナル・アルバム。
南瓜史上最高の一体感を有しているように思える現行ラインナップ。そのメンバー5人は勿論、プロデューサーであるCharlie Bauerfeindも含めて、ここ何年も変わらぬ磐石のチーム編成で臨んだこの新譜の出来は、「さすがHELLOWEEN」、である。

HR/HMとしての緊張感やカタルシスはしっかりと存在するものの、それに増して前作以上に自由でポジティヴな空気に包まれています。作風はズバリ、「明るい」です。
同時に、音作りもその作風に合わせたかのように、80~90年代のムードを漂わせていますね。音の輪郭がシャープというよりやや丸みを帯びてマイルド、鋭く尖っていなくってオーガニックで量感がある感じ。苛烈なメタリックさとは距離がある音像だから、“メタルであること”を求めると物足りないかもしれません。

パワーメタルの権化のような捉え方をされるHELLOWEENですが、その実キーパー時代から歌メロはポップスといってもいいものがかなりあります。現編成でも、Andi Deris(Vo)とMicahel Weikath(Gt)の2人が書く曲は特にそう。
そんなポップな質感のあるメロディを南瓜印の押されたサウンドへと纏め上げる手腕については、やはり熟練を感じます。歌メロはそこそこでも、GtワークとKeyを効果的に使った巧みなアレンジ・センスで曲を一段上のレベルに引き上げてますし。ただ逆に、曲のアイデアは素晴らしいのが揃っているけど、それを名曲良曲まで昇華できていないものも散見されるかな。


以下、1曲ずつ。

①Heroes
Sascha作。ガッツンガッツンくるリフを持つ爆発力のあるオープニング・チューン。曲調・メッセージ共にポジティヴで、本作の特徴がはっきりと現れている曲でもある。ブリッジ・パートのポップなKeyフレーズが絶妙なフックになっていることに気づいて、さすがだなぁと。

②Battle's Won
ヴァイキー作の疾走チューン。今の南瓜らしく強力な推進力を以って突き進む曲調ですが、メロディは彼らしい分厚いハーモニーを伴った重層的なもの。心躍るような間奏の充実も実に“らしい”アンセム。

③My God-Given Right
切なさに満ちたヴァースからAndiらしいメロディが炸裂するキラー・チューン。前曲と合わせて、2人のメイン・ソングライターが自分の持ち味を如何なく発揮していますが、そのベクトルは揃っているので統一感がある。そして、今まで数々の名曲を書いてきたにも関わらず、未だにこの新鮮さを出せるのは驚異的と言うほかない。

④Stay Crazy
メロディック・メタルで使われると嬉しくない単語、「クレイジー」が曲名にあるだけで身構えてしまうが、やはりイマイチ。Andiがいかにも書きそうなポップなメタルではありますね。

⑤Lost In America
Andi作。メロディック・メタルで使われると嬉しくない単語、「アメリカ」が曲名にあるだけで身構えてしまうが、こちらは良い。すこぶる良い。躍動感に満ちた曲調と合唱を誘うようなキャッチーなサビに、しっかりとまぶされた哀愁。超良曲です。

⑥Russian Roulé
AndiとSaschaの共作。この曲のリフとテーマ・メロは強力!そして、そのリフの刻みに合わせた歌メロの畳み掛けもなかなか面白く、アルバムの中で良いスパイスになっている……反面、繰り返しパートが多過ぎるのがちょい萎えるんだよなぁ…。勿体ない… ι(´Д`υ)

⑦The Swing Of A Fallen World
Andi作の、気だるげなヘヴィ・チューン。明るめの作風のアルバムの中では異色の存在で、その仕上がりによってはキーとなる曲だったかもしれないですけど、いかんせんメロディが退屈でマイナスに働いているとしか思えん。ただ、急にテンポアップする間奏がカッコイイんですよね。

⑧Like Everybody Else
Sascha作のしっとりとしたバラード。Andiのファルセットを活かした淡いサビメロと、シンフォニックなKeyワークがなかなか良いが、前曲に続いて「気だるい」タイプの曲なので、ここで決定的にダレが生まれている感はある。

⑨Creatures In Heaven
こいつはキラァァァアアアア!!!どっからどう聴いてもヴァイキーの曲だ。ワクワクするようなイントロ、強力なテーマ・メロ、シリアスな歌メロ、ツボを得たテンポチェンジと高い演奏力が疾走感を生み、重ねたコーラスと共に舞い上がるようなサビメロへ。極楽や…。天国ですわ。とどめに、南瓜度120%の間奏が目くるめく感動を与えてくれる、本作最大の収穫。

⑩If God Loves Rock 'n' Roll
メロディック・メタルで使われると嬉しくない単語、「ロックンロール」が曲名にあるだけで身構えてしまうが(しつこい?w)、これも良い。すこぶる良い。R&R調ではなく、Andiらしいコンパクトでキャッチーなメタルに仕上がっています。やタイトル・トラックと同様、本作の作風を決定づけるような曲調ですね。サビはFinal Fortuneの系譜でしょ、コレ。明らかにライブを想定した間奏部もフックになってます。

⑪Living On The Edge
貴重なMarkus曲ですよ、皆さん! 力強い演奏が伝わってくるメタリックな曲調に巧みなメロディ展開と、さすが南瓜という佳曲ですが、急に明るくなって多幸感全開になるサビだけはあんまり好みじゃないの。

⑫Claws
ヴァイキー作。入り組んだGtワークに、総じて疾っているもののキメとテンポチェンジが激しく起伏ありまくるリズム。小爆発を繰り返しながら進行する複雑な曲で、強いて言うとMidnight Sunに似たタイプかな。そこまで凄い曲ではないですけど(笑)。他の(強力過ぎる)ヴァイキー曲2つに比べると、ちと弱いかな。

⑬You, Still Of War
本編ラスト、SaschaとAndiの共作による、シリアスな反戦チューン。緩急自由自在、前曲よりさらに複雑な展開をする大作です。彼らの曲作りの巧さが元のメロディを数段魅力的に響かせている好例で、これがかなりの聴き応え。滑らかに疾るサビメロの祈りにも似た切なさ、胸を焦がす間奏の勇壮さが堪らん。

⑭I Wish I Were There
Andi作のボーナス・トラック。サビの単純なフレーズを繰り返しまくるので食傷気味になるんですわコレ。

⑮Wicked Game
Sascha作のボーナス・トラック。まぁ、そこそこw

⑯Free World
Markus作のボーナス・トラック。これは良いね!細かい刻みで疾走する曲で、メロディは明るめだけど哀愁たっぷり。デビュー時からずっと「自由」をテーマに曲書いてるのに、未だに飽きてないんだなコイツラってゆーところもナイス(笑)


明るめの曲調は得てして苦手な管理人ですが、南瓜は別。なので、本作の方向性についても特段マイナスには感じませんし、もっとメタリックに仕上げてくれなきゃイヤということもないのですが、この曲数の多さはいかんともしがたいですね。もうちょっと刈り込めたかな、と思います。特にボーナス・トラックは不要ですなぁ。Markusが書いたは良いけど。まぁ、「ボーナス」ゆえに四の五の言うのは反則かもしれないですけどね。
ただ、本編だけに限ってもそれはそうで、アルバム中盤にダレは感じます。⑦⑧の流れが決定的でしょうね。収録曲の多さやアルバム全体の長さについては、Andiもインタビューで「メンバーではなく、レコード会社の意向と時代の趨勢」的な発言をしていましたので、次はグッと自分の意見を押し通していただいて(笑)、コンパクトなアルバム作りをしてもらいたいところです。

HELLOWEENらしさに溢れる良作がまた一枚カタログに加わったという点では嬉しく、「前作の鉄壁っぷりよもう一度」を期待するともどかしい、そんな一枚。
冒頭にも掲げたように、「さすがHELLOWEEN」な一枚ですけどね。他のバンドなら傑作、南瓜なら良作。

【お気に入り】
⑨Creatures In Heaven
③My God-Given Right
⑩If God Loves Rock 'n' Roll
②Battle's Won
⑤Lost In America
⑬You, Still Of War


ほら、絞ってもこんなに良い曲いっぱいあるんだよ。アルバム全体のムードや曲順で損してるのかな?
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