ulma sound junction@巣鴨獅子王

『A particle of lights』 巣鴨獅子王 (2015/4/30)

ひっっさしぶりに、石垣島出身のプログレッシヴ・ヘヴィロック・バンド、ulma sound junctionのライブを観に行ってきました。このバンド、割と頻繁にライブをやっているんですが、たいてい対バン数の多いイベントへの出演なんですよね。そうなると持ち時間は短いし、このバンドはただでさえ曲が長いから(笑)曲数少ないだろうし、オイラおっさんだから長時間のスタンディングはキッツいし…、と尻込みすること数多。あと、毛色の違う(というか私のあまり聴かないタイプの)バンドとの共演が多かったってのもある。ただ、この日はスリーマンのイベントで各40分ステージということで、ちょっと長めに観ることができそうだったので、前日に「行こうか」と決断。
会場は、巣鴨のLive House 獅子王。初めて行くハコです。最近はライブハウスっぽくない(漢字の)名前の所もチラホラ見掛けますが、ここもそう。獅子王とulma sound junction、どっちがハコの名前なのかバンド名なのか分かんねーよ、みたいな(笑)

ulma sound junction
トリ。フロア最後方の真ん中で観ました。
「今日の持ち時間は40分ありますが、我々の場合1曲増えるだけですが(多分、30分の時より、の意)」
「長めに40分いただいてますから、4曲できるぜー!」

田村ヒサオ(Ba&Vo)によるこのMCがバンドの特徴(というか、特異性か)の一部をよく表していますね。そう、曲がかなり長いんだ。でも聴いてるとまったく長く感じない。
この文句、長尺曲をやるバンドに対する褒め言葉としてはごくありがちなものですが、このバンドの場合は各楽器のソロ回し的なパートが多いわけじゃないし、SEやアンビエントなパートを挿入して曲の拡張を殊更図っているわけでもない。反復&急上昇&急降下を繰り返す展開に身を委ねているうちに、いつの間にか曲の描き出す風景がさっきまでとは異なっていることに気づく。 そんな感じ。そんな曲の長さ。
めちゃくちゃ高度な技巧も、甘美なメロデイも、全てバンド・アンサンブルの中の一部として機能しているのよね。ごく自然、かつフックを備えて。
現時点での最新アルバム「idealogy」(2014)がリリースされてからは初めて観ることになる、この日のライブ。
そりゃもう感激しましたね。同作の収録曲を初めて聴いたからってのもありますし、前回観た時に感じたバンドの凄みを再確認したからでもあります。

ほぼ定刻21:10、山里ヨシタカ(Gt)と田村が、どうやって出してるのか皆目見当もつかない浮遊感のある音でメロディらしきものを奏で始めると、暗めの照明効果もあり、密教染みた独特の世界観に一気に引き込まれる。聴き手であるこちらも自然と背筋がスッと伸びる。そんな緊張感。
一通りムードを高めた後、おもむろにRotten Appleのリフに突入した瞬間、ゾクッときた。
キラーチューン、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

私がハコに着いた時、メンバーもお客さんと一緒にフロアに居て、対バンが演奏するのを観ていたんですが、その様子はほんと普通の若者。フロントの田村はそれほど大きくない、小柄と言ってもいいくらいの身体つきなんですが、でも一旦ステージに上がるとまったく雰囲気は異なるんですよね。その存在感、オーラが半端ない。身体が一回り大きく見えるってのは誇張じゃないですね。そんな田村を中心に、後方に加勢本タモツ(Dr)、上手側に山里(Gt)、下手側に福里シュン(Gt)という配置。
バンドの醸し出す空気はストイックでありながらも、他を圧し近寄りがたくするものではない。それは福里がニコニコ(時にニヤニヤw)笑いながら弾いているからでもあり、田村が手拍子を促したり、ソロをとる奏者にさりげなく注意を向けたりする、そんな自然な仕草やバンドのパフォーマンスが内に向いていないから。メンバーも余裕たっぷりに演奏しているというよりは懸命に演奏している。そして、そんな自分自身とバンドとその場の空気を楽しんでいる感じでしょうか。
別にコール&レスポンスが発生するわけじゃないし、リズムにノって身体を動かすには変拍子が多過ぎてハードル高いんですが(笑)、ファンとの一体感が自然と生まれている光景は無愛想なものでは決してなかったですね。それでも、熱心なファンと思しき方々は緩急激しい曲調にうま~く合わせて(ノって)いて凄いな、と。

ギタリスト2人は大雑把に言うと、ソロ&トリッキーなプレイ担当の山里(長身髪結び)、リフ&リズム担当の福里(短髪)って割り振りでしょうか。名字が似てるから、見た目で見分ける(笑)。田村が、時に大きな動きで、時に静かに決然とした仕草で耳目を集めがちではありますが、Gt2本の役割分担や特色の違いを追っているだけでも相当面白いものがあります。
ただ先述のように、タッピングも、スラップもこれ見よがしにそれだけ目立たせるわけじゃなくて、ごく自然に曲中に織り込まれているから、楽器個々のプレイに着目しないで曲世界にズブズブと没入するという楽しみ方ができます。因みに、福里はコーラスも担当。

バンド随一の即効性を持つRotten Appleにいきなり翻弄されるワタクシ。CD音源をステージ再現しているというよりは、少しのラフさと大いなる勢いを以って楽曲がガンガン繰り出されてくるという印象かな。「ラフ」と言っても相当テクニカルですから、仮にミスってたりしてもそんなの私には分かんないでしょう。聴きながら何度もゾクゾクして、「うわぁーッ」って声にならない呻き声(=感嘆)を漏らしてましたよ。
続いて、「LAND a SCAPE」(2010)の中でも最も美旋律が映える曲だと思っている、elem-5/6/7をプレイ。
うぉ、なんなんだこの「こうなるといいなぁ」と漠然と望んでいたそのまんまのセトリは!(嬉)

比較的メロディアスな歌メロを持つ楽曲が多かったセットの中で、3曲目に演奏されたmemorise unclearのプログレメタル度はとりわけ高く、圧倒されました。変幻自在。でも小難しさは一切なく、ダイレクトに身体に響いてくる。この曲のDrパートなんて、ずっとDrソロを披露してるんじゃないのかってくらいの目まぐるしさと見応え/聴き応えでスゲー。
本編ラストは、一大叙事詩のようなVilla「トロピカルにいきましょう」というMCの通り、穏やかな南国の景色を感じさせる始まり方をする曲ですが、ウルマ全部入りってくらい様々な風景を見せてくれる曲でもあり、思い浮かぶのは自然(=ネイチャーの意味ね)の驚異と猛威を感じるような過酷で美しい旅。
圧巻のラスト。

さっきから演奏と曲構成のことばかり書いているような気もしますけど、田村の“歌”に聞き惚れている時間ってのはかなりの割合です。私が(主に)ヴォーカルを追って聴く人間だからでもあり、それ以上に彼の歌い手としての魅力がズバ抜けているからでもあります。
あの5弦ベースを複雑に操る演奏とヴォーカルをどうやって両立させているかは永遠の謎ですが(笑)、クリーン/グロゥル/シャウト、どれをとっても見事だし、私のツボだ。

トリだったのでアンコールがありました。「では短い曲を」ということで、メロディアスで優しいA New Worldをプレイして締め。ラストのGtソロの泣きっぷりは素晴らしかった。

「idealogy」の楽曲はライブで映えますね。取っ付き易さと聴き応えの両方を兼ね備えていて。以前よりプログレメタル的な分かり易さ(というと語弊があるかもしれませんが)が増してきたようにも感じました。単なる雰囲気モノに陥ることなく、重々しさを保ちながらも派手なパッセージとエモーショナルな歌メロで引き付ける。楽曲の中に元々存在していたメリハリを、よりはっきりと感じさせられるようになったのか、はたまた私が3回目にしてようやく彼らが発するライブの空気に慣れてきたのか…?ま、後者ですかね。

久しぶりにひょっこり来たのに、(自分にとって)こんな完璧なセトリでいいのかってくらいの充実でした。初めての観るバンドのライブじゃないのに、衝撃を受けたという感じでしょうか、幾度も「スゲぇの観てる」って思いが去来し、ウルウルしそうになっちまいました。
ulmaに関しては観る回数増やさんといかんな、と。いや、「いかん」というより、また観たい。

同じ日にライブをやっていたOPETHの音楽が、EX THEATER ROPPONGIというデカい会場でできるほど受け入れられる(どれくらい客入ったのか知りませんが)のならば、彼らももっと知られていいはず。そういえばOPETHもLOUD PARKで初来日した時は持ち時間40分で4曲だけみたいなショウをやっていました。
そうそう、ulma、ラウパに出て欲しいんですよね。もし仮に出たら、絶対観客の度胆を抜くはず。HR/HM好きな人にこそ引っ掛かってくる音でもあると思いますし。

<セットリスト>
1.Rotten Apple
2.elem-5/6/7
3.memorise unclear
4.Villa
ENCORE
5.A New World

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