Junkers「Chrono Circle」


Junkers「Chrono Circle」 (2014)

「Crossover pops」バンド・Lilith AbiのVo、薫が在籍する別バンド・Junkers(ユンカース)の1stアルバム(というか、現時点での唯一作)。
audioleafのページ → コチラ。
ライブ映像を編集したバンド紹介映像 → コチラ(12:00~がJunkersです)。

もう完全に活動を休止したバンドだと思っていたところ、昨年の10月に再始動ライブを行って俺氏感激(その時のレポは→コチラ)、そしててっきりそれが単発ライブかと思いきや新曲を作るまでに至ってるという。世の中何が起こるか分からんぜよ。

この記事も、タイトルと曲目、あとはちょっとしたメモ程度の感想だけ打ち込んで→下書き保存して→そのまんま放置してあったデータを手直ししたものになります。Amazon等の通販で流通しているわけじゃないし、(言い方はアレですが)“先”の無いバンドの、手に入れることの出来ない作品について、記事をアップすることの妥当性を測りかねていたので、眠らせてあったんですよね。ただ、今後はライブ会場で購入することもできるようですし、それならアップしておこうかな、と。どれくらいの枚数が残っているのかは知らんですけど。※因みに数枚なら何故か私から購入することもできます(笑)


audioleafのページでは「EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)」となっていますが、EDMというよりは「エレクトロニカをベースにしたポップス」という感じの音。「踊らせる」というより「聴かせる」。
というかですね、中心人物である柴崎裕斉(Key)が自ら認めているように、コレ、TM NETWORKの女性ヴォーカル版とも言えそうな音楽性なんですね。ジャケからしてTMの「humansystem」(1987)ちっくですし、おまけに小室哲哉の飼い犬の名前から取って「ユンカース」というバンド名にしちゃうほどのフリークですしね。

一口にTM/小室哲哉といっても、色々な音楽的側面があります。TKってミーハーな人だと思ってますし(笑)、その結果TMの音楽性は、時期によっての紆余曲折はあれど、基本的には雑食の極みと化していますし。
アスファルトタイヤを切りつけながらの疾走感や、耳を突き破るビートフォース&地上をゆらすリズミックエナジーな早口言葉、カモンレッツデァ~ンス!!なバブリーさは控えめですね。いや、控えめってゆーか、そんな要素はほぼ無いか(笑)。TMの持つ、穏やかでロマンティックな面や、重く翳りのある面、フュージョンっぽい都会的な空気にスポットを当てたようなサウンド。そして、“歌”が前面に押し出されたつくり。

ほぼ全曲をKeyの柴崎が手掛けています。歌詞は柴崎が書いたり薫が書いたり。
曲のあちらこちらで小室哲哉のこと大好きなんだなーっていうのが伝わってくるメロディ使いとアレンジが見受けられますし(Saxを入れるタイミングなんて正に)、最もヘヴィな⑤Sleep Disorderでは途中からRHYTHM RED BEAT BLACKに移行しちゃうんじゃないかと思いましたが(笑)、個人的にはそんなTMっぽさがあんまり気にならないっていうのが実情ですね。TM NETWORK的なバックに乗るのが男性Voじゃなくて女性Voってだけでだいぶ感触は異なりますし、切れ味の良さとタイム感で勝負する宇都宮隆に対し、キュートさからねちっこさまで巧みに操る薫という、歌い手としてのタイプの違いが大きいので。

強く印象に残るのは、メロディの良さとヴォーカルの自由自在さですね。
煌びやかなオカズから重たいループまで、多彩なシンセ・サウンドが楽曲を形作り、そこにギターが効果音的に彩りを添える。そんな、ある意味冷たく淡々としたサウンド・スケープの中に、肉感的なグルーヴをぶっ込むのが薫のヴォーカル。
先に「エレクトロニカをベースにしたポップス」とは書いたものの、彼女が歌うとポップスでも実はあんまりポップには聞こえないという(笑)。なんというか、“軽く”ないんですよね。瞬発力はあるんだけど、濃密というか情念が強いというか。無視できない声。
ヴォーカルが自由自在ってのはLilith Abiとも共通だったりしますけど、Voが各楽器と一体となって融け込み、時に器楽的な役割も果たすリリスより、Junkersは歌を中心に据えている作風なので、薫の歌をよりガッツリと楽しむことができます。そして、感触や役割は(リリスと)違うんだけど、芯の部分では同じ。彼女の個性は強いから。無視できない声だから。

敢えて言うと、ひねくれたポップ感を持つ⑧Screen of the Dayが一番リリスっぽさを感じた曲ですかね。クイッて上がる歌メロ・ラインがそんな感じ。これ、歌うのめっちゃ難しいと思います。リリスっぽいとはいえ、この曲、作詞作曲共に柴崎作なんですけどね。
EDMときいてパッと思い浮かぶ、反復が生み出すノリやスピード感に最も近いのが⑨Escape Journeyかな。それでも単純な4つ打ちではないんですけどね。割とリズムからトリッキーに揺さぶってきてるのに、スピード感が維持できているというのが不思議。歌詞やタイトルも含めて、本作の中では比較的“軽やか”な部類でしょう。

キャッチーさが光る②Touch the World④Endless Eight、薫作詞作曲の情念ドロドロ・チューン⑦Riverあたりも気に入ってますが、群を抜いて好きなのがバラードの⑥World's End。薫の声、歌唱力・表現力の凄みを存分に味わえる曲で、この子守唄のような母性は一体なんなんだ、と。“動”のベストワークがリリスのthetaならば、“静”のベストワークはコレ、みたいなイメージですかね。ラスサビのあまりの切なさとピーンと張った緊張感には気が狂いそうになる(笑)。柴崎はよくぞこれだけ彼女の魅力を引き出す曲を書いてくれたな、と。ハグしてやりたいよ。それが嫌なら(笑)、酒奢ってやりたい。 ←
もう一つのバラードである⑩Snow Prisonも好きですけどね。


収録曲の個性を上手く散らして、バランスのとれたアルバムに仕上がっています。曲順やアレンジも丁寧に練ってあると思う。
同じ音源をあまり繰り返して聴くことのない私からしたら、異例なほど何度も楽しんでいる作品です。その度に自分にとって大事なアルバムだなー、って感じる。2014年中に聴いてたら、年間ベスト記事で選んでたな。アルバム、楽曲、共に。

【お気に入り】
⑥World's End
⑤Sleep Disorder
⑨Escape Journey
②Touch the World
④Endless Eight
⑦River
⑩Snow Prison

ほとんど全部お気に入りなんやぁ!

あとこのCD、Dragon Guardianや“桜牙”、様々な同人作品等々で歌っているヴォーカリスト・みーやが、3曲でコーラスに参加しているという。どうやら昔柴崎とバンド組んでいたようで。
これ豆知識な。


※2017/3/26追記
アルバムの曲順は、「春・夏・秋・冬」四季の曲を、春から順番に並べたものだそうな。
こういう仕掛けが、作品をより愛すべき存在に押し上げるのよね。いいね。
 ②Touch the World → 冷たい雪とけ春はすぐそこに
 ③Courser → 春風に乗り
 ④Endless Eight → 8月の暑い朝
 ⑤Sleep Disorder → 真夏の夜
 ⑨Escape Journey → 冷たい風 痛く コートの前を閉める
 ⑩Snow Prison → 雪が積もる咲き誇る 桜の花 見せて欲しいよ
あぁーやべーこういうのめっちゃ好きー。


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