SERENITY IN MURDER「THE HIGHEST OF DYSTOPIA」


SERENITY IN MURDER「THE HIGHEST OF DYSTOPIA」 (2015)

ツインGt+Keyの6人編成、国産シンフォニック・デスメタル・バンド、待望の2ndアルバム。待ちましたわ。なんせデビュー作を出したのが2011年ですからね。最近の若手バンドにしてはかなり長いスパンだと思います。
前作同様、METAL SAFARIのHiroによるSTUDIO PRISONERで仕上げられています。ここで手掛けられた作品は聴き易い音作りのものが多いですね。

ジャケのイメージもパッと見はそんなに変わらず、中身の音楽性も変わらず。Baが交代していますが、このバンドの場合、中心人物であるFreddy(Gt)が曲を書いてEmi(Vo)が歌えば、そう大きくは変化しないのかもしれません。
ザクザク&ゴツゴツした無骨さよりは、しなやかな疾走感が前面に出たメロディック・デスメタル・スタイル。その上に大々的にフィーチャーされたシンセが被さることで、SERENITY IN MURDERのサウンドが完成する。その方向性は本作でも同様。
ただ、スタイルは変わらずとも、自らの美点は順調に伸ばしてきました。スマートで高品質な傑作ですね。嬉しい進化。

ピアノ、シンセ、オケ等々、Key周りの装飾は多彩で、アイデアも豊富。やはりこのバンド、Keyの使い方のセンスが抜群ですね。その気品のあるKeyワークのおかげか、メロディはクサいんだけどダサくないという奇跡的なバランスを保っております(笑)。かつ、ツインGtが牽引するバンドサウンドはブラックメタルとは感触が異なっている為、この【シンフォ+メロデス】という双方の組み合わせは、(その配分も含めて)ありそうで他にはなかなか無いんじゃないかと思わせる存在。曲中で、「暴虐」と「高貴」が綱引きを繰り返してますわ。
収録曲はどれも強力なメロディを持っており、このバンドのKey使いの巧みさを体現した⑥Nocturnal Damned、Gtの刻みが印象的なキラー・チューン⑧Await Me Your Oath(この曲のリフはクール過ぎる!)の2曲は特に素晴らしい出来だと思います。
メロディとKeyアレンジのセンス、これがこのバンドの大きな武器であることは間違いありませんが、EmiのVo、これがまた凄い。今や女性のデスヴォイス使いは国内/海外問わず珍しくないですが、彼女の“漢っぷり”は図抜けていますね。憤怒の中に悲哀を滲ませる、素晴らしいヴォーカリストだ。


必殺のファスト・チューンの充実と共に、ピアノとオケの響きが印象的なパワーバラード(風)⑩The Highest Of Dystopiaのような曲も収録した意欲作ですが、諸手を挙げて歓迎できない部分もあって、それが「尺」の問題。コンパクトな楽曲が次々と襲い掛かってくる様は快感を覚えるほどですが、一部楽曲のランニング・タイムが短過ぎるんですよね。この曲いいなぁと思って聴いてても、感動が醸造される間もなく次の曲に行ってしまうので、肩透かしを食らう感じ。弱点というよりは、「勿体無いな」と感じますね。
特に④Hurt Of Virtueでは「これ名曲じゃね!?」って思わせた挙句スッと躱されて、不人気漫画の連載中断の如くササッとフェイドアウトして次の曲へ…。う~ん、目の前にちゃぶ台があったらひっくり返すレベルですよ、この肩透かし感は。「あきらめたらそこで試合終了ですよ?」と言ってやりたい。諦めたわけじゃないけど。
⑨Under The Spellのフェイドアウトも乱暴なんですよねぇ…、というか、これ「尺」の問題というより、曲のクライマックスの設定とまとめ方の問題か?

そんな点が気になりだすと止まらないわけですが、全体的には、期待に応える見事な作品だと思います。国産エクストリーム・メタル勢の隆盛が目立ちますが、その中でもトップ・バンドの一角かと。ウチのブログの好み的には、THOUSAND EYESVeiled in Scarletと並んで三強って感じ。

【お気に入り】
⑧Await Me Your Oath
⑥Nocturnal Damned
⑦Malefic Religion In Our Abyss

図らずもアルバムの中でも長めの3曲。それでも全て5分以内に収まっていますが。
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