兀突骨「因果応報」

兀突骨_因果応報
兀突骨「因果応報」 (2015)

「川越の残虐王」こと、国産デスメタル/デスラッシュ・バンド、兀突骨(Gotsu-Totsu-Kotsu)の3rdアルバム。トリオ編成のうち、中心人物である高畑治央(Ba&Vo)を除く2人が交代しています。新メンバー、円城寺慶一(Gt)と秋田浩樹(Dr)は、共に20代前半の若き技巧派。

前ラインナップの実力は素晴らしかったし、2nd「影の伝説」(2013)は力作でした。でも、今作はそれをさらに上回っているかも、という出来。個人的には最高作だと思いますね。
前作はブルータルさで押してゆくデスメタルとしては異例なほどの大作主義でしたが、今作はちょっとコンパクトになりました。と言っても、7分台1曲、6分台3曲、5分台4曲、4分台2曲…3分台は無し、という感じですけど。それでも聴いていて受ける感覚は結構違う。
元々、このバンドって曲作りが巧く、リフにしろ曲展開にしろよく練られています。ですので、即効性抜群であると同時に、聴き手を飽きさせない趣向がたっぷりの音楽になっており、ただでさえ聴いている体感時間は短いです。それがさらにダイレクトかつストレートになって、曲の焦点が定まってきた感じがありますね。スピード感に満ちた、エネルギッシュな作品。個々のメンバーに技量が明瞭に分かる、生々しい音作りも良いですね。

キャッチーだよなぁ、兀突骨。こういうジャンルにしては圧倒的に。で、キャッチーでありながらブルータルさを一切失っていないのが素晴らしい。
その両立を可能にしているのが、場面展開の妙とリズムチェンジの巧さですよねぇ。本作の全ての曲を書いているのは高畑ですが、新メンバーの持ち味を念頭に置いたというそのソングライティング、攻め攻めの曲調の中にメンバーそれぞれの見せ場を盛り込んだり、オールドスクールな匂いのするセクションや王道HRっぽいパターンを取り入れたり…。リフにしても、ノリが良いものやヘヴィなものやテクニカルでアカデミックな感触のもの等々、凝ってます。勿論、高畑のスラップを多用するバッキバキなBaプレイは健在。

新メンバー2人の実力は素晴らしいですね。秋田のDrパターンに釣られて身体が勝手にビクビク動いちゃうような時がありますし、MI講師を務めるという円城寺の幅広い素養に支えられた多彩なプレイは正に本作のハイライト。
間奏の充実が凄いですね。Gtソロの流麗さは異常事態ですし(特に⑤天下無双の飛翔するソロ is ヤヴァイ)、往年のギター・ヒーロー的なフラッシーで派手なフレーズも所々に盛り込む手腕。また、間奏にもってゆくまでの展開が巧いから、余計にそこが鮮やかに映えるんですよね。④裏切ノ報イなんて、その最たる曲。
つーか、「円城寺慶一」って名前自体、なんか“今は浪人に身を窶していらっしゃるが実は高貴な血筋の御方なんだ”臭がするし(意味不明/笑)。

高畑の歌唱法の変化も大きいですね。一言で言うと、「歌ってる」。前作までは、全編日本語詞でも何歌ってるか判別がつきませんでしたが(それが問答無用の迫力を生んでいたのも事実)、ボイトレを受けたという高畑の本作での歌唱は所々で歌詞が耳にスッと入って来るパートがアチコチにある。まぁ、それが「殺シテクレー!!」だったり、「地獄ヘ堕チロ!」だったりするんですけど(笑)。⑦覇王伝「第六天魔王!」ってシャウトのところでは、英語で掛け声コーラスやってるようなキャッチーさがありますし。


秋田のDrから始まるインパクトが大きい①狂気ノ戦野から一気に畳み掛ける前半も良いですが、個人的には終盤の充実にヤラれますね。
ステディなリズムでどっしりと進行、途中から一気に加速する展開がドラマティックな⑧破軍星、ノリノリでフックのあるリフを持つ⑨河越夜戦共々、素晴らしい。後者では、ジャジーでお洒落なソロが登場して驚かされるし、そこから短いヴォーカル・セクションを挟んで盛り上げつつトリッキーな飛び道具的なソロへと繋げる流れが◎。
前作同様、エピカルな大作で締めくくる⑩是非ニ及バズがアルバム一のキラー・チューンでしょうか。正に兀突骨全部入りの総力戦。特に2番が終わった3分半からの展開が白眉ですね。徐々に壮大な曲調になりつつ、Voが盛り上げたヒロイックなムードを引き受けるかのように園城寺のソロが駆け抜け、飛翔する。高畑の咆哮をバックに、Gtが歌い、泣いてますわ。惚れ惚れ。


唯一無二の個性を持つバンドが産み落とした傑作。
有り難き幸せ!

【お気に入り】
⑩是非ニ及バズ
⑤天下無双
⑨河越夜戦
⑧破軍星
①狂気ノ戦野

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