B'z「EPIC DAY」


B'z「EPIC DAY」 (2015)

19枚目のオリジナル・フルアルバム。
計4種類での発売形態をとっており、これはB'zとしては初めての試み。ここ2作はDVDが付いた初回盤があったものの、ずっとCDのみの形態でしたからね。私は、2012年大阪城ホールでのライブ映像が収録されたDVDの付いた、「ロングボックス仕様」のものを買いました。
ロングボックスなので、上に掲げたアートワークとは違うジャケです。もっと縦長で、街並み部分が狭く、空の部分が広い写真。で、ロングボックスにせよ通常盤にせよ、このジャケのアートワークがB'z史上、最高。超好みだ。素ン晴らしい。
現代日本を象徴する場所と言えそうな渋谷のスクランブル交差点。109とQフロントを一緒に収めたそのアングルが最高だし、モノクロ基調の街並みの中、空にふんわり浮かぶ風船だけ鮮やかな赤って配色もイイ。『シンドラーのリスト』的なビビッドさですわね。

先行シングル「有頂天」でも似たようなことを書きましたが、これまたオリジナル・アルバムとしては久っっしぶりのリリースです。
最近のB'zにしては少なめの、全10曲を収録。それが5曲ずつ、『SIDE A』『SIDE B』に分かれて表記されています。今回、発売形態としてLP盤が存在することとも関係していますが、この構成が大きな特徴です。SIDE AとSIDE Bの間、つまり5曲目と6曲目の曲間がやや長めに取られている。

基本的なメンバー(=参加してる顔ぶれの意味ね)は、松本&稲葉のほか、Barry Sparks(Ba)とShane Gaalaas(Dr)の4人。“いつもの”4人。曲によってはそれにプラスして、Keyが入ったり、ホーン・セクションが入ったり、ストリングスが入ったり…。

全体の印象は、「ハードロック」ですね。
バラードもそれなりの曲数収められていて、硬軟のバランスは取られているんだけど、それでもHR。余裕のある、大人のHR。…なんだけど、同時に繊細な小技は効いてて痒いとこに手が届くし、ヘンに落ち着いた作風でもない。
先行シングル2曲の印象はアルバムの色を反映させていた、と言えそうな内容で、これまたリズム隊の貢献が素晴らしいです。ここ20年ほどのB'zの作品の音質はどれもめっちゃ良いですが、本作のクリアさってのはまた格別で、Baに関しては一番はっきりと聞こえるんじゃないですかね。Barryのプレイをずっと追いかけてるだけでも十分面白いですよ、これ。

で、本作は松本のギター・プレイが充実してます。これこそ、本当に久っっっっっっっっっっしぶりなんじゃなかろうかってほどに。
松本孝弘って人は勿論ギタリストであり、同時にプロデューサーでもあるわけですが、私の評価としては、ギタリストや作曲家/メロディ・メイカーである以上に、まずプロデューサーとしての才能を声高に叫びたいところなんですね。彼のバランス感覚や調整能力(センス)が無かったら、ここまでB'zは大きくなることも、継続することもなかったんじゃないかと思います。そのバランス感覚っていうのは、彼の作曲術にも密接に関係してくることではありますけど。
そんな風に、ぶっちゃけてしまうと私にとってギタリストとしての評価は二の次三の次なのですが(汗)、勿論そのプレイを軽視しているわけではありませんし、好きなギタリストであることには間違いありません。初期はほんとソロ弾きまくりでギタリストの良質なエゴが剥き出しでしたし、2000年前後くらいからでしょうか、リフ志向になってからもバッキングの凄みは増しましたし、ソロも時折「オオッ」って引っ掛かってくるものがありました。ただ全体としては、曲を活かすようなコンパクトなGtプレイが増えて、近年(っていってもここ10年以上か?)はやはりプロデューサー目線での作曲およびGtになっていた気がします。
それが本作ときたらどうでしょう!?(笑) 延々とソロを弾くようなことはありませんが、フレーズ、トーン共にギタリスト垂涎モノのプレイがかなり収録されているんではないでしょうか。若々しく躍動感に満ちてもいる。ここは嬉しいポイントですね。

楽曲面に目を転じると、キラー・チューンの無い、でもそこそこ充実したアルバム、という感想ですかね。個人的な嗜好に照らすと、珍しく「これだッ!」という曲が無い。そういうのって、もしかしたら「MONSTER」以来かな?いや、「MONSTER」と本作だけかな? でも「MONSTER」には、最高につまんないヴァージョンながら衝動という名曲はあったから、この(私にとっての)事態はキャリア通じて初めてのことかもしれません。
物足りなさはあれど、でもそれなりに満足感もある。演奏が充実しているからでしょうね。

聴き易い曲が揃っていると思いますが、歌詞に関しても最近のB'zに準拠した、日常生活に寄り添うような身近なものが多い印象。誰もが抱える日常の“逆境”に抗い、より良い“世界”を追い求めてあがく様をそっと支持するような、そんな歌詞。
まぁ、音楽に非日常性を求める傾向のある自分にとっては、もっと個々のキャラクター(=登場人物)に落とし込んだような詞の方が好みだし、この等身大感はちと物足りないという気持ちはありますけどね。


<SIDE A>
①Las Vegas
ホーン・セクションが入った、明るめのアッパー・チューン。哀愁よりはアメリカ~ンなタフさと屈託の無さが前に出てる感じ。ホーンと「ラス、ベガース!」のコーラスをバックにしたエンドGtソロも冴えていますね。
歌詞は一見、B'z最強のチャラチャラ・ソングことBOYS IN TOWNを想起させるような“デッカくなってやるゼ”感もありますが、「居心地の良い既知の場所より、可能性の眠る未知の場所へ」というテーマは最近の彼らにはお馴染みのものでしょう。

②有頂天
先行シングル。そっちの記事を参照してちょ。
最初、シングル曲にしては地味に感じたけど、こうしてアルバムの中で聴いてみると、これは華やかな部類の曲だ(笑)。良曲。

③Exit To The Sun
ストリングスの入ったバラード。包み込むような大仰なオケじゃなくて、こんじんまりとした感じが本作の作風にマッチしていて、寄り添うような日常感みたいなのを醸し出してる。「微笑んでくれる人がひとりいるなら もうそれでいいじゃないかって うなずかなきゃいけないね」と歌う詞も等身大。
2番以降の盛り上げ方が巧みで、特にラストに繰り返す「I will find a way~」部分の力強さと決意に満ちた響きは◎。

④NO EXCUSE
Baの存在感抜群な、本作随一のHR曲。「サビの躍動感は流石だなぁ」「ホーンとかKeyとか使わないで、バンドだけでこの弾む感じを出してるのは凄いなぁ」という感想ですが、このタイプの曲って、歌詞も含めてピンとこない部類なんですわ、私(笑)

⑤アマリニモ
小野塚晃(DIMENSION)の鍵盤ワークが光る、お洒落なポップ・チューン。でも基礎部分はしっかりHRしてて、Gtソロも短いながらなかなかの主張。

<SIDE B>
⑥EPIC DAY
DEEP PURPLEの名曲、Burnのカヴァー。
え!?違うの??
…ってくらいこの曲のメイン・リフの紫の炎っぷりは笑う。いや、燃える。パクりだなんだ言ってるのがバカバカしくなりますわね。最高ですわ、コレ。
で、パープルと言えばこの人。Jon Lordと言えばこの人。そう、増田ちゃんのオルガンですよ!HRなオルガンを操らせたら日本で(世界で?)増田隆宣の右に出る人はいないわけで(断言)、この曲ではもう主役級の活躍ですよ。ブリッジの入り口でオルガンがファーって被ってきたら、堪え切れず笑っちゃった(笑)。原曲(原曲って言うな!w)の間奏も凄いけど、この曲の間奏の充実は特筆すべきで、最近のB'zにしてはあるまじき弾きまくりっぷりが良いですね。GtもKeyも。本作の最も輝く瞬間がここにある、的な。
今までのB'zの曲で増田ちゃんが一番目立つところっていったらZEROのイントロですけど、これからはコレでしょう、と(笑)。
つーか、「鼻にもかけられない 学生時代からずっとそう」「ヘラヘラするのはNO」…って俺のことをあてつけるな! ←

⑦Classmate
歌詞ヤヴァイ。「好きだけれどどのくらい好きなのかわからなくて」とか「君は本当に困った顔でごめんねと謝った」とか、その巧みな情景描写が甘酸っぱ過ぎて、ヤヴァイ。
歌詞は甘く、そしてメロは淡い、バラードです。この曲だけリズム隊が山木秀夫(Dr)&美久月千晴(Ba)というベテランで、それもさりありなんと頷く出来。つまりHR色が最も薄い。

⑧Black Coffee
この曲が一番好きかも。繊細なメロディ運びとダイナミズムに溢れた演奏の両面を備えているから。ごくごく自然体でありながら哀愁に溢れたサビメロが絶品ですね。アコギとエレキの使い分け、Gtソロのトーンにも痺れる。

⑨君を気にしない日など
稲葉先生のファルセットのセクシーさ全開のバラード。オケ入り。歌詞ヤヴァイ、パートⅡですね。「出会った頃に戻りたいなんて ちっとも思わない このまま先へ一緒に進んでおくれ」なんて、女性ファンにとっちゃキラー・フレーズですよ(笑)。多分。
かつ、メロディが淡いパートⅡでもあって、曲の雰囲気は抜群に良いものの、ちょっと歌メロがオケに負けてる感はあるかな。

⑩Man Of The Match
リフ物のHRを浮遊感のあるパートでサンドイッチした構成の曲。と同じく、好きなタイプの曲ではないですね。哀愁不足だから。
…と油断していると、間奏がいきなりジャジーで大人なソロになってて驚かされたり。


演奏面は近作の中でも充実していると思いますが、歌メロの哀愁がちと足りないかな、という感想。その点で、絶賛は出来ない内容ですね。
ただ、このアルバム構成は良いです。表と裏を意識的に分けることで、CDで一気に聴いていても気持ちの切り替えが為されて飽きないし。そして、この10曲という尺がいいね。通して聴き終わるとちょっと物足りない感じで、また1曲目に戻って聴いてしまうのが今の気分だ(ファッション誌風言い回し)。

【お気に入り】
⑧Black Coffee
⑥EPIC DAY
②有頂天

【お気に入りの歌詞】
「人は寂しさを喰らい生きてゆく」(⑤)
「出会った頃に戻りたいなんて ちっとも思わない このまま先へ一緒に進んでおくれ」(⑨)



初回限定盤の特典DVDについては追記でい。
    ↓

初回限定ロングボックス仕様に付いてくるDVDは、全米ツアー後に開催された日本追加公演のうち、ファイナルの大阪城ホール公演をフル収録したもの。初DVD化となる映像だそうな。
アメリカのツアーは配信限定でリリースされた5曲入りの「B'z」(1stアルバムとは異なる)に伴うものであり、この“EXTRA”公演もそれに準拠します。ですので、それに収録されているLove Bomb(愛のバクダン)、Ultra SoulSplashInto Free -Dangan-(さまよえる蒼い弾丸)、Juiceの5曲に関しては英語詞。因みに私はダウンロード物に関しては購入していないため、それらヴァージョンは今回初めて聴きます。
あとは、Homeと、元々英詞のBrighter Dayもそうね。

正直、英詞曲は違和感あるっちゃあ、ありますね。Love BombJuiceは割と合っているような気もしますし、Into Free -Dangan-はそれなりの出来ですが、Ultra Soulは酷い。笑っちゃうくらい、酷い(笑)。Shane Gaalaasのラップ調のVoをフィーチャーしたSplashは、良くも悪くも全く別の曲のように聞こえます。

まぁそんなことは些細な点で、一映像作品としての出来は素晴らしく高いですね。
音とプレイは、多少は調整してるのかもしれませんが、当然のようにクリア。かつ、カメラワークも臨場感を上手く出しつつ、演奏やステージングの細かな部分まで逃さず収録。完璧やんけ。
ステージ後方まで客席にぐるりと囲まれる舞台設計で、見通しはとても良いですし、ファンの声援が360度の方向からステージに、そして画面の前のこちらまで飛んでくるよう。

バンドのテンションの高さが、一体感を生む演奏と歌唱が、大阪城ホールを“コンサートホール”ではなく“ライブハウス”に変貌させる。そこが世界最大のライブハウスと化す様が、実に感動的。スクリーンが無いせいでそう感じる、っていうのもあるかもしれません。
鉄壁のフロントマンがいて、凄腕演奏陣がいて、優秀なスタッフがいて、名曲群が山ほどあって、ライブで化ける曲があって、それを可能にするミュージシャン・シップがあって…。
そりゃ、無敵でしょうよ。

見ながらウルウルきたよ。何度も。
レア曲をちょこちょtこ挟んでくるセット、全編がハイライトみたいなもんです。いや、どんな曲をやっても凄ぇって言わせるチカラがあるってことでしょうか?
今のB'zは、「バンド」として最強。
彼らの映像作品を見るといつも思う。B'zを好きで良かったと。ハードロックが好きで良かったと。

「B'z LIVE-GYM 2012 -Into Free- EXTRA」
01. Love Bomb
02. GO FOR IT, BABY -キオクの山脈-
03. Ultra Soul
04. Splash
05. Brighter Day
06. Easy Come, Easy Go!
07. MOTEL
08. もう一度キスしたかった
09. 愛しい人よGood Night...
10. ZERO
11. ミエナイチカラ ~INVISIBLE ONE~
12. ねがい
13. Into Free -Dangan-
14. Juice
15. IT'S SHOWTIME!!
16. 衝動
ENCORE
17. Home
18. HEAT
19. BLOWIN'
ENCORE2
20. HEAT (MVシューティング)
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