Lilith Abi@馬喰町 A BOMBER

Lilith Abi 『1stアルバムremake リリースパーティー』 馬喰町 A BOMBER (2015/2/14)

ジャズ/ロック/プログレ/ポップスを自由に行き来するCrossover popsバンドこと、Lilith Abi(リリス・アバイ)のライブに行ってきました。この日は、1stアルバム「Seeing Pink Elephants」(2012、入手不可!)をリメイク+新曲を収録した「The Return of Pink Elephants」のレコ発的な主催イベント。同作がライブ会場で発売されるのもこの日から。
場所は、馬喰町のA BOMBERという、カフェ的なバー的なライブスペース。こんなオフィス街のど真ん中に、演奏するところがあるとは…。
バー・フロアの片側を占める演奏スペースは一段高くなっており、客席との距離感はあまりないアットホームな空間にも関わらず、しっかりエリア分けされており居心地はとても良い。私、観る側と見せる側が明確に分かれている所の方が好きなの。

イベントは3部に分かれた構成になっていました。第1部と第2部は、Lilith Abiのこじまりょうすけ(Ba)と福原雄太(Dr)に、Vo&Keyを担当する角田紘之を交えたトリオ編成で、第3部はリリスのフル編成でのライブでした。所謂、よくある対バン・イベントのような構成ではない。


- 第1部、2部 -
角田とこじまによる、和やか~でどこか緩いMCを挟みながら進行した1部と2部。

1部はカヴァー曲を7曲演奏しました。幅広く、良い意味で統一感の無い(めちゃくちゃなw)セトリが実に楽しい。
指慣らし的に始めた、1曲目のSpainRETURN TO FOREVER)から既に物凄いことになってるんですけど。演奏の迫力で圧倒するわけでもなく、ことさら技巧を見せつけるわけでもないのにすんごいの。音が弾んでキラキラしてるのよね。ギターレスな編成ですし、角田の軽やかな鍵盤捌きもあって、お洒落なヴァージョンになってましたね。
その角田氏のキャラがとてもイイ。眼鏡&帽子の飄々とした佇まいで、本気なのか冗談なのか判別のつかないMCをこれまた飄々と喋る。NIRVANASmells Like Teen Spiritをプレイする前には「次の曲は、何のことを歌ってるのかどうもよく分からないんですが…よくよく考えると、これは匂いのことを…、制汗剤のことを歌ってるんじゃないかと…」みたいなことを訥々と喋ったりするんだから、もう最高(笑)。その角田氏に対して、こじま氏が妙に生真面目に合いの手を入れるもんだから、もうフリーダムですわ。苦笑とニヤニヤ笑いが入り混じるような、フロアに漂う空気が堪んないすね(笑)
で、本当に堪んないのはパフォーマンス。角田の躍動感に満ち満ちた鍵盤、それをこなしながら歌い上げる歌唱が実に素晴らしかったのです。「エロい歌が歌いたかった」(笑)とか言ってたMUSETime Is Running Outでは、原曲の気だるさがオミットされてる代わりに切なさがグッと増していて、あたしゃあ不覚にも泣きそうになりましたよ。
ユニットとしてのアレンジ・センスの巧みさと、ライブならではの即興性も聴き処で、恋するフォーチュンクッキー(AKB48)がめっちゃお洒落なヴァージョンに生まれ変わっていた(というか、原曲聴いたこと無いんだけどさ/笑)こと、「次の曲、スピードアップして行こうか」というのにすんなり対応するリズム隊も見事でした。

休憩を挟んで、2部は(角田の)オリジナル曲を中心に、1部と同じくらいのボリューム。
ここでも冴え渡るのは、角田の鍵盤捌きと歌唱、それと不可思議なMC(笑)。普段は、ヴォーカル・スクールの講師を務めてもいるそうで、そりゃ歌上手いのも納得なんですが、その声のツヤとマイク・コントロールを含む表現の多彩さは絶品。ほんとにこのサイズのハコで観ていていいのかな、と思えるレベルの驚きですよ。ブラックホワイトという曲ではKey無しでハンドマイク、「リズム隊+Vo」という実力が剥き出しになる編成で1曲やっちゃうんだから恐るべし。
1曲だけゲストでリリスのVo・薫が参加してデュエットしましたが、これも凄いね。コーラスというより、メインの歌メロに横から別ラインのメロディをソッと挿入するような役割でしたが、主役(=角田)を立てながら絶妙に個性を出してくるそのバランス。2人、自然と息が合っているようなところがまた凄くって、溜息出ちゃう…。

1部・2部共に、ラテン音楽っぽい躍動感に包まれた和やかながらスリリングな空気で、とても楽しかった。この音空間、贅沢過ぎるわ。

<第1部セットリスト>
1.Spain (RETURN TO FOREVER)
2.はじめてのチュウ (アニメ『キテレツ大百科』主題歌)
3.恋するフォーチュンクッキー (AKB48)
4.Time Is Running Out (MUSE)
5.Smells Like Teen Spirit (NIRVANA)
6.I Wish (Stevie Wonder)
7.Caravan (ラテンジャズ・スタンダード)

<第2部セットリスト>
1.青い光
2.Pop Of The World
3.Inverse World
4.ブラックホワイト
5.自分を飲酒運転する女
6.メリーランド
7.ちきゅうぎ


- 第3部 -
セットチェンジを経て、いよいよ第3部、Lilith Abi。初めてお金払って観ますよ。今まで私の観た2回は、両方共ジャズ・フェスに参加した無料ステージだったので。
この日はTrumpetでサポートしてる山崎亜里がいない編成でしたね。代わりに(?)飯田瑞樹がSaxとTrumpetを持ち替えつつ演奏していました。で、特別編成として角田紘之もゲスト・コーラスで数曲に参加。

1時間強のセットリストは、1st~3rdどのアルバムからも漏らさず(アンコール1曲含め)全10曲。内訳は、1stから2曲、2ndから2曲、3rdから5曲、カヴァー1曲、でした。1stからの美しい孤独以外は全て3rdの曲から構成されるライブを2度体験した身としては、もう少し1st寄りのセトリを期待してしまうところですが。まぁ、この編成でのバンドと3rdの曲の親和性は高いみたいですけどね。

ライブは、凄いのが当たり前に思えてくる、そんな凄さ。メンバーが共通してるのもありますが、1部2部と通ずる心地良さと聴き応えがありました。
普段よく行く、HR/HM系のライブとはだいぶ異なるわけですが、そこで感じたのは、演奏や歌唱における「自由さと不自由さ」
一概に言えることではないですが、HR/HM(ロックやポップスも含んでもいいけど)で得られるカタルシスってのはある種の様式美的なものがあって、それは「こういうリフが、こういうメロディが、こういう展開がカッコイイ」という暗黙のルールみたいなのがあると思うんです。多かれ少なかれ、そして良かれ悪しかれ、【不自由さ】があると思う。そういう「お約束」を期待してる自分がいるのも事実だし、そういう「不自由」であるがゆえのかっこよさってのに大いに魅かれるんですが。
反面、私があまり馴染みのない音楽、特にジャズなんて実に「自由」に感じるんですよね(ジャム主体のロックもそんな風かも)。その【自由さ】に憧れつつ、時に魅了されつつ、やっぱり「お約束」的なものも恋しかったり…。

【不自由さ】によるカタルシスと息苦しさ、【自由さ】による心地良さととりとめのなさ。
私にとってのLilith Abiの音楽は、【自由さ】と【不自由さ】、その両者の良い部分をいいとこどりで感じることができるものなんじゃないのか?そんな風にも感じました。
所々挿入されるキメやクライマックスのドラマティックな演出からはプログレメタルやロック的なダイナミズムを、歌メロと空気感からはポップス的な耳馴染みの良さを、様々な楽器がアンサンブルを大事にしながらも生き生きと自己主張する様子はジャズやフュージョンを……etc…。曲によって、それら要素の配分は異なるので、好きな曲/それほどでもない曲っていう度合に違いは出てくるんですけど、自分の嗜好や気分とピッタリ合致した時の心地良さは格別。
薫(Vo)の歌唱法・表現の多彩さだけでなく、声質そのものにも大いに魅かれますね。しなやかで奔放、時に驚くほど強靭に。やっぱり彼女、猫っぽいわ。(2部とは反対に)これまた絶妙にサポートする角田のコーラスも効果大、でした。

ライブでのリリスは、音が自由に泳ぎ回ってるなぁ~って印象。美しい孤独の滑らかに疾走するスリル、春の眠りReset my feelingsGOODBYE SUNDAYの弾むポップ・センス、ハイエイタスサマリーの気だるい叙情、Seeing Pink Elephantsのサイケな浮遊感と終盤の怒涛の展開。それぞれ手触り(というか聴感上の違いか)は異なれど、全て、瑞々しくキラキラする音の粒がステージから放たれてくるという点では一緒。実際の曲のテンポとは関係なく、ライブにおいて音源以上のスピード感とキレの良さを感じるのも特徴ですかね。でも、攻撃的じゃない。
本編ラストの光りの雨がほんとに凄かった。自分の内側から「スゲスゲスゲ、スゲェーーッ!」ていう声に出さない静かな熱狂が湧き上がってきて、幸せな放心状態になった。

音源もそうですけど、リリスのライブは、自分の感性をリセット/リフレッシュしてくれる、そんな気がしますね。いつも聴いてる/観ているアーティストとは、共通点はあっても少し毛色が違うから。自分にとってはそんな貴重な場であり、存在になりつつある、そんな風に感じます。


この馬喰町 A BOMBERというハコ自体、居心地の良い空間だったのですが、開演前と終演後に、こじま・薫の両氏がそれぞれのテーブルに丁寧に挨拶に回ったり、喫煙/禁煙のエリア分けやイベントの進行説明を逐一行ったりと、演者側とハコ側が共に良いイベントにしようという意識がそこここから感じられて、とても楽しい夜になりました(チョコ貰ったしな/笑)。
雰囲気の良いイベントなら料理頼んだり、物販で金も使いたくなるしね。まぁ、リリスの場合、物販にはCDしかないんだけど。それもすぐに売り切れちゃうくらいの量(笑)。もっと商売ッ気を出してもいいと思うんだけどなぁ。発売された「The Return of Pink Elephants」もきちんとプレスされたフルアルバムなのに1,500円って、安過ぎる!
つーか、イベント自体、3時間半以上たっぷり観れるこの内容で1,500円+ワンドリンク~って、安過ぎる!

<第3部セットリスト>
1.美しい孤独
2.ハイエイタス
3.春の眠り
4.Reset my feelings
5.Carnival (THE CARDIGANSカヴァー)
6.サマリー
7.Seeing Pink Elephants
8.GOODBYE SUNDAY
9.光りの雨
ENCORE
10.アスファルトの上


こじま・薫の両氏、前回、昨年9月の川口のジャズ・フェスの時に1度挨拶しただけなのに、私のこと覚えててくださって、とても嬉しかったですね。こんな地味フェイスを覚えるのに貴重な脳味噌の記憶領域を使っていただいたとは、誠に申し訳ない気持ちでいっぱいです(笑)
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