イチヂク「メス」

イチヂク_メス
イチヂク「メス」 (2013)

普段、海外HR/HMバンドの情報は主に巡回しているサイトやブログで、国内HR/HMバンドに関しては大抵Twitterで流れて来る情報でチェックしています。じゃあ、HR/HM以外はというと、まぁ私の場合チャンネルは少なくなるわけでして、対バン・ライブで観て気になったものや、Twitterフォロワーさんの口コミに頼ることになるわけです。インディーズともなると、なおさら。それに私、あんまりYouTubeで音源を試聴しないしなぁ…。
で、このCDもそんなフォロワーさんの呟きを読んで知ったやつ。「病んでる」だとか「プログレ」だとかいう単語に引っ掛かったものでして…。

イチヂクというバンドの1stフルアルバム、「メス」です。
無花果の果肉に雌…、いや、メスをぶっ刺したジャケ。卑猥ですね。オソロシイですね。
女性Voのスリーピース・バンド(このアルバム制作時はメンバー4人かな)で、HPを見ると「プログレッシブ病みバンド」と称しているらしいです。コワイ!w

音楽性が近いのは椎名林檎でしょうかね。菊池梢(Vo&Gt)の声質や歌い方に共通点があるし、毒があったりサブカル臭する言葉選びもそんな感じ。あと、出水健一の派手に動き回るBaにめっちゃ亀田誠治っぽさがある。オンナオンナした色気や計算高さのようなものを前面に出すこともある林檎に比べると、こちらの方が素が出ちゃったというか、もっとメロディがポップですかね。うん、こっちの方がずっと私の好みだわ。
(ま、林檎自体、初期の数枚しか聴いてないんだけど…)

「プログレッシブ病みバンド」の“プログレッシブ”たる部分は、先述した存在感抜群のBaもそうですけど、確かな演奏力を感じさせるところに現れているかな(Gtやコーラスにはゲスト・ミュージシャンを迎えてはいますが)。
イチヂクの前身バンドであるきくこってのがあります。ありました。多分、菊池が中心人物だったんでしょうけど、その「絶対領域」(2011)というアルバムを聴く限り、本作よりもうちょっとストレートで無骨なバンド・サウンドに感じます。ただ、その時点で既にBaは暴れに暴れてるので、シンガー・ソングライターが書いた曲をバンド演奏したようにも聞こえましたね。(ところできくこのBaのデミって、イチヂクのBaの出水健一と同じ人だよなきっと)
で、そのきくこの音よりさらに多様化しているのよね、イチヂクの音楽性は。メロディはよりポップでフックあるものになり、ロックだけに留まらないアレンジ・センスの導入。ガッツンガッツンくるロック・チューンがある一方、間の取り方や鍵盤の煌びやかな響きにセンスを感じる曲がアルバム後半に多かったりして、幅広い作風です。でもアルバム一枚聴くと、どこか統一感がある。

次に、“病み”の部分ね。いや~、歌詞、病んでますわ(笑)
題材にしたテーマの重さ・暗さ(言葉の暴力、自殺願望…etc)、語り手(作詞した菊池とイコール的なものを感じる)の根暗っぷりとかまってちゃん具合…、目を背けたいけどちょっと見てみたい、そんな猟奇的な感じもありますね。あ、江戸川乱歩っぽい雰囲気もあるかも。
この世界観は悪趣味一歩手前……、いやいや、手前じゃないか、ギリギリアウトか?(笑) 特に、どこか長閑さを感じる演奏に育児放棄・DVを扱った語りが乗る⑤未必の故意のグロテスクさは完全にアウトだな。


全10曲、なかなか粒揃いだと思いますが、特に印象に残った曲を以下に箇条書きに。

③偽りの愛
切なく駆けるメロディと爆発するバンド・サウンドが印象的。
④バイバイ
LUNA SEATRUE BLUEを思わせるようなイントロと曲調。リード・ベースと表現したい、グイグイと曲を先導するBaが物凄くイイ。
⑥私の名前は蛸じゃない
ジャジ-な曲調に乗せてコミュニケーション不全を歌った曲。懐の深さを感じさせる絶妙なノリ&お洒落感、そして歌詞とのギャップにヤられる。
⑦舐めたい
(多分)彼氏との2回目のデートで、喫茶店に来た女の子。ケーキのフィルムについたクリームを舐めとりたい彼女の気持ちを歌った曲(笑)。それが、切々と歌い上げるお洒落なバラードになっているんだから、もう堪らんです(笑)。クリームを敢えて「それ」と表現しているところも上手い。ラスト、遂にそれを舐めることが出来たのか、彼女の歓喜を表すかのように、演奏は一気に躍動感を増して終わる。
⑩ホームセンター
自殺願望を歌ったバラード。美しいメロディ、それを活かすツボを得たバンド演奏とピアノのアレンジ。良曲。


ヘンなバンドの面白い作品。
とても気に入りました。

【お気に入り】
④バイバイ
⑩ホームセンター
⑦舐めたい
③偽りの愛
⑥私の名前は蛸じゃない
スポンサーサイト



COMMENT 0