佐々木譲『地層捜査』

佐々木譲_地層捜査
佐々木譲『地層捜査』 (文春文庫)

佐々木譲の警察小説、『地層捜査』を読みました。
特命捜査対策室シリーズの第1作という位置付けかな。

無能なキャリアに歯向かって謹慎となった若き刑事・水戸部は迷宮入り事件を担当する「特命捜査対策室」に配属された。15年前の四谷荒木町の殺しを再捜査せよ。専従捜査員は水戸部ただ一人。退職刑事を相棒に、水戸部は町の底に埋もれた秘密と嘘に肉薄してゆく。静かな余韻を響かせる警察小説シリーズ第一作。

作者の警察モノというと道警シリーズが有名ですけど、あれはどうもピンとこず。
その道警シリーズに比べると本作の方が地味ですが、とても面白かったです。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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「J・A・シーザー リサイタル 荒野より」

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「J・A・シーザー リサイタル 荒野より」 (2017)

2016年5月3&4日に新宿FACEで開催された『J・A・シーザー リサイタル 2016 「荒野より」』から、37曲をピックアップして収録した2枚組ライブCD。

私は2日間のうち初日のみ参加しました(レポは→コチラ
出演者についてはライブレポを参照してくださいませ。

演奏陣やメイン・ヴォーカル担当の歌い手さん以外にも、コーラス担当の人や演技や舞踏をする劇団員が多数参加しているという、ロック・コンサートであり同時に演劇でもあるようなステージでした。今まで体験したことのない、不思議で強烈な体験。
ヴィジュアルが肝となるライブでもありましたが、こうして音だけのパッケージになっていても十分楽しめます。むしろ映像作品ではない分、視覚に惑わされることなく、より音に集中できるかもしれません。


当日の演目は全6部構成に分かれており、ハードロック/プログレッシヴ・ロック/童謡/昭和歌謡/演劇…etc…と、様々な面を内包していました。ウチのブログ的にビビビッとクるのはやはりHR/プログレ的な要素の濃い楽曲群で、それは大雑把に言うと、ディスク1の序盤と後半、ディスク2の後半、ということになります。

ディスク1序盤+ディスク2後半には、70年代HR~プログレ的演奏の上に合唱をフィーチャーした曲が多く、何の音を思い出すかといえば、レポにも書いたようにTHERION。そして、フランスのMAGMA。ただし、コバイア星人を例に挙げましたが、MAGMAがその目線を上へ上へと向けて、宇宙へと旅だって行ったのとは逆に、こちらは地下へ地下へ、アンダーグラウンドな方向へと潜っていったような、そんな感触があります。ミステリアスという共通項はあっても、暗く重く、ひたすら肉感的。魂だけになれず、血の肉と骨の存在に付き纏われるような、そんな生々しさ。人の声のパワーにも圧倒されます。最終曲の荒野よりは圧巻です。

ディスク1の後半には、J・A・シーザー本人が歌う曲が連続します。朗々としたその声質の良さも大きな聴きどころですが、オルガンがガンガン鳴り響くRAINBOW的バンド演奏がめちゃくちゃ美味しいですね。スピーディーなパートではメロパワ的な攻撃性があるし、プログレメタルっぽい緊張感も有する。
これはアルバム全編に渡って言えることかもしれませんけど、とにかくAsianCrackBANDによる演奏の妙味が味わえるライブ作品です。駆け巡る泣っき泣きのGtワークが堪らん。各楽器の分離もクリアで、録音状態も良いし。


我が国でしか成立しないような異形の美。
それを聴覚経由で堪能できる、素晴らしいライブ盤です。
ヘヴィで強烈だわ。


ディスク:1
01. オープニング
02. アストラガルス地球双六
03. シュラ-肉体星座αψζ星雲-
04. ハテナのビタミン Part B
05. 人間果実
06. 家族あわせ
07. 空っぽの父の椅子
08. 財産目録
09. 花嫁讃歌
10. らまいまだ
11. 世界で一番遠い土地
12. 子守地獄≪詩≫
13. 母迷宮
14. 鎌倉外人歩抄
15. 越後つついし親知らず
16. 煙草極楽浄土
17. 成吉思汗
18. 巴里寒身
19. マザーランド
20. ソドムの杉天牛

ディスク:2
01. サムタイム・サラジェーン
02. テアトロ・ボウ
03. ノリ・ゴマ・シオ讃歌
04. 迷い子のリボン
05. 私窩子
06. ほたる心中
07. 子守頭巾
08. 人形使い
09. ブララ・アプルゥ・モロッコ・イスラエル
10. ペルシア女の純情経
11. 空飛ぶ絨毯=足無き片輪のアラジン
12. シルクロード
13. 眼球の異邦人
14. 人動説の時を待つ≪詩≫
15. 阿呆船
16. テーブルの上の荒野≪詩≫
17. 荒野より


神家正成『深山の桜』

神家正成_深山の桜
神家正成『深山の桜』 (宝島社文庫)

『このミス』大賞受賞作、神家正成の『深山の桜』を読みました。

日本から約一万二千キロ、アフリカ大陸。国際連合南スーダン派遣団の第五次派遣施設隊内では盗難が相次いでいた。定年間近の自衛官・亀尾准陸尉と部下の杉村陸士長が調査に乗り出すが、さらに不可解な事件が連続して発生する。果たして相次ぐ事件は何を意味するのか。日本から特別派遣されてきたオネエの警務官・植木一等陸尉も調査に加わり、事件の謎に挑む。『このミス』大賞優秀賞受賞作!

『このミステリーがすごい!』のランキングは参考にしているけど、宝島社等が主催している『このミス』大賞の受賞作はあんまり読んでないのよね。何作か読んでみたけど合わなかったので。まぁコンテスト全体からイメージされるものより、1作1作別物として評価されるべきところでしょうけども、どうも雑な作品が多い印象なのよ。
ただ本作は、自衛隊、それも海外派遣された陸上自衛隊という、珍しい題材と舞台設定による物語だったので、興味を引かれました。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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『 ハピコレ!! vol.87 ~木下ひなこ生誕SP!!~ 』 六本木morph-tokyo (2017/5/25)

『ハピコレ!!』とはライブハウス六本木morph-tokyoが主催するイベントなんでしょうか。凸凹凸凹-ルリロリ-のVo&Gt、木下ひなこの生誕祭ライブ・イベントに行ってきました。誕生日当日。CROSS VEINのJULIAたぁんと同日だね。
KAMEN RIDER GIRLS(仮面ライダーGIRLS)とは2回目の対バン。
凸凹凸凹-ルリロリ-観るのも2回目。
前回レポは→コチラ。


と、ライブを観る前に、せっかく近くにあるからということで、国立新美術館に『ミュシャ展』を観に行ってきました。

mucha_20170525.jpg

事前に調べたら、観るのに2時間くらいかかるなんていう声があったので、閉場時間である18時とライブ開始時間から逆算して16時ちょい前くらいに到着。平日でも混んでいるとの話でひるんでいたんですが、入場30分待ちとの案内でした。結果的には20分くらいで入れましたけどね。

ただ、並んでいる時間を含めても1時間くらいで観終っちゃった。展示点数がばかみたいに多いわけではないし、アール・ヌーヴォーと呼ばれるポスター調の作品にはそれほどそそられないし(嫌いじゃないけれど)、作品を間近でじっくりと観ることもしなかったし(←人が多くて、それをやるにはずっと同じところで粘って待機してないとムリ)。
美術館とか博物館は好き(動物園とか水族館も好き)なんですけど、人ごみがやたら苦手で、混んでいると気が散ってしょうがない性格なので、最近はあんまり足を運ばなくなっています。あと、行ってもそそくさとすぐ出てきちゃう。ほんとは時間を気にせず絵の前でボーーーーーーーッとしていたいんですけどね。

そんな管理人ですけど、初めてチェコ国外で全20作が公開されるという《スラヴ叙事詩》だけは観ておきたいな、と。実際に、他の作品はザッとすっ飛ばしても、スラヴ叙事詩のフロアだけは再度戻って観ました。
これがものすごい。大きさも美しさも迫力も緻密さも。原色をほとんど使わなくてもこんなに色鮮やかになるんだなという思いと、原色を使わないからこそこんなに自然で美しく調和した世界を描けるんだなという思いが、ごちゃまぜになって息が止まるぜよ。あとね、青~緑系の色の深みにビビった。
アール・ヌーヴォー物(?)はモチーフの輪郭がはっきりと描かれており、ミュシャってそういうイメージが強かったんですけど、(スラヴ叙事詩のような)そうじゃない作品の方が美しく感じて、私は好きでした。「原故郷のスラヴ民族」「ルヤーナ島でのスヴァントヴィート祭」「ニコラ・シュビッチ・ズリンスキーによるシゲットの対トルコ防衛」「聖アトス山」「スラヴ民族の賛歌」がとりわけ素晴らしかったな。


ライブの感想だか美術展の感想だかよく分からなくなってきたので、本編(?)へ。
六本木morph-tokyoに来るのは多分2012年以来です。ステージが高くて(←昇降式)観やすいし、設備も照明もモダンで綺麗だし、良いハコ。簡易的だけど一応分煙されている点も◎。

初めから凸凹凸凹-ルリロリ-用の機材がステージ上にセッティングされており、バンド編成ではないグループはその前のスペースでパフォーマンスしていました。このハコはステージもそこそこの広さ(奥行き)があるので、そういうことが可能なんですな。Milkey Miltonというグループが1組だけバンド形態(Vo&Key&Gtのトリオ)でしたが、この日はアコースティック・セットということで、これも手前スペースでの距離近めの演奏でした。このバンドのキーボードはかなり上手かったですね。
イベントのスタート時からフロアで観てましたけど、目当ての2ユニットの出番はタイムテーブルの終盤。


KAMEN RIDER GIRLS(仮面ライダーGIRLS)
1週間前に観たばかりではありますが(笑)。
衣装は、最新の銀河英雄伝説的可変型の担当カラー版。つまり、井坂仁美=緑、秋田知里=赤、鷲見友美ジェナ=青、黒田絢子=紫のヒラヒラ付きでございます。すき。

オープニングSEからのStormy Storyという流れがどうにも違和感ありますね。SEが1回止まって、またそこから再開されて曲に入ってゆくような構成になっているから。「え!?今の同期の不具合?」って毎回思う(笑)。ただ、振り付け(by黒田)的にScarlet Savageの後継のような位置付けの曲なので、今後も登場する場面は多そう。
セトリは先週と似たもんだろうと思っていたら、1曲多く、かつ半分は入れ替わっていたのでなかなかお得だったかな、と。やはりというべきか当然というべきか、対バンする相手によって数曲を入れ替える構成なんですね。Movin'onLet's Try Togetherという、観客参加型の曲が入っていたところがアイドル系イベントっぽい。久しぶりに聴いたような気がするUNLIMITED DRIVEはカッチョイイこと極まりなかったです。

歌唱とダンスは安心して観ていられるだけのものを毎回提供してくれますけど、四人の動きをもっとバシッとキメてほしい気持ちはあるかな。メンバーの人数が少なくなるほど、そこらへんの粗は目立ってくるし。逆に、要所々々の手の動きや挙げる高さ、タイミング、身体の向き等々が揃ってくると、パフォーマンス全体が締まるし、相対的に“緩め”のパートで垣間見えるメンバーの仲の良さの発露が、より微笑ましく感じられてくると思うんですよね。両方とも、GIRLSの魅力。

ライブに参加すると毎回楽しいんだけれど、音源化されていない曲も溜まってきたし、そろそろ次の作品を期待したいところですね。フルアルバムじゃなくてもいいので。

<セットリスト>
1.Stormy Story
2.Time of Victory
3.UNLIMITED DRIVE
4.Movin'on
5.Let's Try Together
6.E-X-A (Exciting × Attitude)


凸凹凸凹-ルリロリ-
トリロリ。
まずは声高に言っておかなければならないでしょう。
本日の主役、木下ひなこ嬢がネ申が給うた髪型、ポニーテールである!
むをおおおおおおおおお!
衣装はミリタリー風のもの。ひなこの担当カラーである(らしい)「緑」に合わせたのかしらん。

前回観た時に驚かされた、バンドとダンスとの「二刀流」のパフォーマンスですが、この日も両方。というか、あらかじめ「バンド」もしくは「ダンス」と謳っていなければ、通常はダンス→バンドとチェンジするステージをやっているんでしょうかね。

前回も感じたことですけど、楽しい雰囲気を生むのが上手いバンドだなー、と。「自分が楽しい場にいるんだな」と思わせる手腕と言い換えてもよい。楽曲の中に折り込まれた魅せ場や掛け合いのパート、フロントの木下ひなこのステージングに依るところが大きいですけれど、始めっからアンコールのラストまで、ファンに楽しんでもらおう/一緒に楽しもうという意識がはっきりと現れているステージをするんだなぁと感心します。楽曲の魅力に加えて、ライブの場でしか味わえないプラスアルファの楽しさを乗っけてくる。
あと、ひなこがその場その場で煽りや喋る内容を変えたりしていて、アドリヴに強い人だというのもステージに引き込まれる要因ですね。逆に有南(Gt)は弱そうだけどw
渚奈子(Dr&Vo)と佐藤美咲(Ba&Vo)によって支えられたバンド演奏は、しっかりしていますが、ギター・パートはもうちょっと頑張ってほしいかな。特にソロ。

生誕祭なんていう特別なステージは、いわば演者とファンとの(良い意味での)騙し合いみたいなものです。つまり、サプライズ合戦。しかもファン有志の方々は、事前にひなこ以外のメンバーとも相談してのサプライズ決行ですからね。
こんなに盛り沢山の仕掛けをぶっ込んでくるんだ!?と驚かされたんですけど、一つ一つ挙げてゆくと、

 ①緑のサイリュームで揃える
 ②パッピー・バースデー唱和とケーキ・サプライズ
 ③ファンからの花束(緑の薔薇!)やらなんやらのプレゼント
 ④アンコールにお手製の小型フラッグを掲げる
 ⑤横断幕ババーンっ!

 (あと他にあったっけか?)

ワンマンじゃない短めの持ち時間でこれ全部! ファンの人達の献身は凄いな、と。
私は当日その場で有志の方々が一生懸命動いているのを見て(参加するところは参加して)いただけですけど、その段取りや準備、片付けに至るまで、しっかり考えられていたし、かつ、ひとりよがりじゃなくて他の出演者目当ての人達もないがしろにしない姿勢は素晴らしいと感じました。
とりわけ驚いたのは、①の手際。あらかじめ1曲目の途中で一斉に点灯することを口頭とボードで案内してましたけど、いざ本番のその指示があまりに鮮やかでビビりました。仕事できるッ!って思いました(笑)
ボードを掲げるタイミング。
「サイリウム点灯!」という間違えようもないシンプルな内容。
分かり易い字体。
完璧やんけw
一瞬で緑色に変わったフロアを見て、ルリロリストかっけぇ! って、鳥肌立った(笑)

<セットリスト>
1.Everybody Go!!!
2.Beautiful Stars
3.恋のスパイダー ※ダンス → バンド
4.NEXTAGE
***** パッピー・バースデー・サプライズ *****
5.Ø距離ダイバー ※ダンス → バンド
6.ルリロリマジック

ENCORE
7.Sunny Ride


途中何回も泣いていた木下ひなこさん、お誕生日おめでとうございます。
23歳になったんですって。


ヤなことそっとミュート「BUBBLE」

ヤなことそっとミュート_bubble
ヤなことそっとミュート「BUBBLE」 (2017)

「ヤナミュー」こと、ヤなことそっとミュート
4人組アイドル・ユニットの1stアルバムです。

新しい音楽を知る機会はTwitterから、っていうパターンがほんとうに多くなっているのがMy音楽生活ですが、このユニットもそう。最初は「変わった名前だな」くらいの認識だけで、管理人はあまり気軽にYouTubeを試聴/視聴する人間でもないため、しばらくはそのまま放置していました。ただオフィシャルHPの冷たくアーティステッィクな雰囲気は、他のアイドルとは一風異なっており、強く印象に残りました。

その後も何回か名前を見掛けてはいたんですが、決定的だったのはTLに流れてきた③LilyのMVを何故だか知らんがチラッと観てしまったこと。 →コチラ
その美しさと切なさにガツンとくらいました。
そんな折りにちょうどよいタイミングでライブを観ることになったのが、4月のParty Rockets GTの主催イベントだったんですよね。レポは→コチラ。


さて、本作。
HPを見て感じていた期待は、ここでも裏切られることはありません。
見よ、このジャケのアートワークを。この美意識。このストイックさ。とてもアイドルのCD、それもデビュー作の“顔”だとは思えんぜよ。真っ黒いからベッタベタと指紋の跡が目立つんだぜ。

音楽性は、グランジ/オルタナティヴを通過したロック、エモコア、ポストハードコアといったあたりでしょうか。そこに、儚くメランコリックな歌メロを乗せたスタイル。ゴリゴリした演奏を突如静寂パートに突き落とすことで、その落差を強調する手法が常套です。Gtの轟音で覆い尽くすパートにはシュゲイザーっぽいところもありますかね。
「パソコンで作られた音楽」といった、デジタルな感覚はほとんどありません。音像はロック・バンドのそれ。実際に演奏部分は、ロック/パンク/エモ系のバンドがそのまま担当している曲もあるようです。

(アイドルじゃなくて)バンドでやればいい音じゃんと言われれば、まぁ確かにバックの演奏はその通り。アイドルちっくなVoを乗っける必要は無いかもしれません。ただし、歌メロのラインとコーラス・ワ-クが多重であることの必然性を強く感じさせるので、やっぱこの組み合わせじゃなきゃ!ってなるんですよね。


冒頭3曲の強力さに驚かされます。
ヤナミューの音楽性を示す名刺になるであろう①morningと、VoワークとGtワークが交錯する②カナデルハの2曲。それがキラーチューン③Lilyに続くという贅沢さ。
の美しさの正体ってのは何なのかと突き詰めてみると、これは余計なものを削ぎ落としていった結果の「引きの美学」なんじゃないかと思うわけです。派手じゃないけど、聴く度にジワジワ染み入ってくる叙情。1番の後、2番の歌い出しに入る前のリフの刻みだけで切なくなる。ラスサビでフェイク気味に歌うところは、まだまだ表現力不足で板についていないんですけど、それすら微かな瑕疵にしかならんから問題無し。この曲、ヘビロテしないマンである管理人が何回も繰り返し聴いているという、珍しい現象が発生しております。

最初に数曲聴いた時に感じたことですけどね、この感覚はfra-foaですわ。
fra-foaの1stを軽やかにさせて、尖ってるところをちょっと丸めて、寂寞感を減じて、もっと現代的に寄せたサウンド。気怠さをやや控えめにして、浮遊感は強めに。
熱いんだけど冷めてる。不愛想なわけじゃないんだけど、どこか超然としたところがあるというか、距離を感じるサウンド。「媚び」を感じさせない音。これはライブの時と同じですね。もしかしたら、ライブの感覚に引っ張られているのかも。畠山凌雅が書く歌詞の役割も大きいでしょう。
ノリが良くってスピード感を感じさせる曲もあるんだけど、まるでアッパーに感じません。むしろ気怠くて儚くて切ない。そこに面白さがあります。⑥Just Breatheとか⑦orangeとか⑩sputnik noteとかね。

ドゥームかドローンかよと言いたくなるヘヴィな冒頭から美しく切ないバラードへと変貌する⑫ホロスコープ(泣きのGtが◎)や、展開を積み重ねていくにつれて緊張感と切なさを増してゆく⑬No Knownあたりの曲に至っては、これは随分とマニアックな音だなーという驚きもあります。

バンド演奏に比して、Voだけを目立させる音作りにしていないことも特徴でしょう。轟音の中にわざと埋もれさせるようなVoワークを使ったりしますし。でもそんなバンド・サウンドから時折光が覗くようにVoが突き抜けて来るのにドキッとさせられるのよね。そういう時のVoって、多くは(メンバーの)なでしこの声なんだけど。彼女の声にある芯の強さはとても良いと思う。他のメンバーの声との対比という意味でも。
現時点では歌唱力や表現力に物足りなさがあります。ですが、それが壊れモノを扱うような危うい魅力を感じさせるのも確か。キュートさや元気の良さを前面に押し出していないところも好みです。むしろ正反対だしな。


作り手の拘りが透けて見える作品というのは面白いですね。
組み合わせの妙が、美しい調和を保っている力作。
いいよこれ。

【お気に入り】
③Lily
②カナデルハ
①morning
⑦orange
⑬No Known
⑫ホロスコープ MVは→コチラ。
⑩sputnik note
⑥Just Breathe