TWILIGHT FORCE「HEROES OF MIGHTY MAGIC」


TWILIGHT FORCE「HEROES OF MIGHTY MAGIC」 (2016)

スウェーデンのシンフォニック・パワーメタル・バンドの2ndアルバム。

デビュー作のジャケもドラゴンでしたがまたまたドラゴンですね。
1stの絵は荒々しいタッチで描かれた渓谷に浮かぶマッチョな戦闘型ドラゴン。火ィ吐いてます。
この2ndは繊細なタッチによるマジックポイント高そうな癒し系ドラゴン。周りを妖精さんが飛んでいます。
このジャケ画のタッチがそのまま2枚の作風の違いに繋がっていまs…、とか書こうとしましたがスミマセン嘘吐きました。1stは買ってあるはずなんですがどこにあるか分かりません。聴いてません。見つかりませんでした。でもどっかにあります。部屋のどっかに積まれているはずです。

1stについてはちょっとアレですけど、本作についてはジャケからの印象は作風に直結すると思いますね。
超大手メタル・レーベルNuclear Blastと契約したことが洗練に繋がったのか、細心の注意を払って作られたであろう楽曲を隅々まで味わうことのできる音作りになっています。ちょい音量は小さめですけど、オケやクワイヤがバンド・サウンドと綺麗に共存しています。アコースティック楽器の響きもいい。ファンタジックかつヒロイックな世界観を創出するという目的に完璧に合致した、壮麗でダイナミックな音に仕上がっているんではないでしょうか。

本作(とこのバンドの有り様)については既に多くの方が言及してます。良い意味で音楽そのもの以外の部分でツッコミどころの多い存在だし、こういうヲタク心&マニア魂を刺激する音楽性や設定についてはネット民は黙っちゃいないでしょうし(笑)。なんせ強い魔法の英雄ですからね。
で、今さら私が付け加えることも無いので、聴いて受け取った感触のみ、以下に簡単に。

音楽性としては明らかにRHAPSODY (OF FIRE)の系譜なんですけど、ムードは少し異なるように思います。ラプソの方はもっと眉間にシワ寄せながら聴くというか、エメラルド・ソードがどうなろうが全体の物語に関しては知ったこっちゃないですけど、今聴いてるこの曲で描かれている場面については真剣に対峙しようといった、どこかシリアスな空気が漂っているように感じます。
対して、同じファンタジックでヒロイックなシンフォニック・メタルでも、黄昏力の方はストーリーなんてさらにどうでもよくて(失礼)、切迫感が無いというか、おとぎ話度数が高いというか。要は底抜けに明るいんですな。能天気と言ってもよい部分がわんさとある。音楽的にはラプソなんだけど、精神性というか、根っこの部分にはHELLOWEENに通じる要素が色濃くあるような気がします。疾走曲が多く収録されている点は(初期)SONATA ARCTICAちっくではありますが、彼らのような切なさをあまり感じさせないところも特徴でしょうか。所謂クサメタルとして括られる音なんでしょうけど、その明るさゆえかカラッとしており、あんまり哀愁は無い。
良く伸びるハイトーンVoの実力は申し分ないし(やや細めだがそれが合っている)、楽器陣の貢献もしかり。出しているのはA級の音なんだけど、同時にB級の精神を引き摺っているバンドであるような、そんな感触も受けます。似たムードを感じさせる存在としてINSANIAなんて名前も浮かんできたりして…。

「南瓜に近い」と感じた理由には、間奏の充実も挙げることができます。2本のGtを中心にして、そこにKeyを絡めて、ソロ・パート/間奏自体が一つの物語であるかのように展開させてゆく。ラプソって間奏でウォォォオオオ!!!ってなったことほとんどないしね。
このバンドの場合、どの曲でも間奏がハイライトになっており、私は歌メロよりもその点に魅かれました。

とはいえ、聴いているとどの曲も同じムードを放っていて、知らないうちにどんどん曲が進んでいて右から左へと流れていってることに気づく…。。。


ハッ!
この「大いに評価できるクオリティだし絶対自分が好きな音のはずなのになんでか知らんが気に入らない」パターン、ダートラの時と同じだ…、、

というわけで、2016年、好きなタイプなのに何故かピンとこなかったシリーズ、パート2です。

【お気に入り】
⑤There And Back Again 大作、ってことは展開多めだし、展開多めってことは間奏が多いからすき。ゲスト参加のFabio様はさすがだし。
⑨To The Stars ドラフォっぽいよね。


「なんでか知らんが気に入らない」とか「何故かピンとこなかった」書いといてなんですが、記事を書いてるうちに理由ははっきりしてしまいました。やっぱりネックなのは明るさなんでしょうね。明るいメロパワって自分の中では南瓜のみ例外的に受け入れることができるジャンルなんだろうか…?? もしかしたらメロパワ者じゃなかったかもしれません自分…、、


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DARK TRANQUILLITY「ATOMA」


DARK TRANQUILLITY「ATOMA」 (2016)

11th。
ジャケの色合い、好き♡

前作「CONSTRUCT」(2013)はフォワーーーーッとした雰囲気に包まれたポストロック/メタル的な方向に舵を切ったダートラいちの問題作だったと思います。そのチャレンジングな姿勢に対して一定の理解を示してはいるし、それが結実している曲もいくつか見出せたものの、個人的には今までで一番ハマらなかった作品です。
私にとってポスト○○と括られる類いのアトモスフェリックな音楽(シューゲイザーも含めてもいいかも)は、常に一定の高評価を献上できるジャンルではなくてですね、自身の体調や気分によってハマる時はハマるし受け付けない時は徹底的にムリという、著しく評価の定まらない音楽なんですね。どんなジャンルにしても、どんなに好きなアーティストの曲にしても、そういうことは多かれ少なかれあるでしょうけど、ことこのジャンルに関してはその傾向が強い。

前作でキーを握っていた人物であるような気もするJens Bogrenは引き続き関わっていますが、本作ではマスタリングのみ。ミックスはDavid Castillo、プロデュースはKey奏者のMartin Brandstrom。作詞作曲のクレジットを見ると、新加入したAnders Iwers(Ba/TIAMAT)を除いて、いつも通り全員が関わっています(作詞は全てMikael Stanne/Vo)。

方向性は前作の延長線上にあります。メロディの質感がそうだし、誰が書いた曲であれBrandstromのKeyワークが支配している点は一緒。ただ、ギター由来のアグレッションや疾走感が戻ってきていますね。以前より残響音多めのGtワークに、ファーッと覆ってくるKeyに、タイトに聴かせるリズム(これは演奏者というよりエンジニアの貢献大)、そして勿論、清濁操るMikaelのエモーショナルな美声。
過去を捨てることなく、そして現在に留まることなく、自らのサウンドをアップデートしてゆく姿勢は素晴らしい。そして結果が伴っているところがまた輪を掛けて素晴らしい。

ダートラ、進化してる。

問題作の後に、そこでの「実験」をしっかり結実させた作品を提示してくるところがさすがです。その意味では「PROJECTOR」(1999)の後の「HAVEN」(2000)のようにも感じます。音楽性のことじゃなくて、位置付けが。それと私は「CONSTRUCT」とは違って「PROJECTOR」を相当高く評価していますし。

めちゃくちゃ丁寧に作られていますね。音のレイヤーが綺麗で気持ち良い。メロディそのものが練られているし、各楽器のアンサンブルがバランス良く伝わってきます。
ただ、すげー高品質な作品だってことはアタマでは分かっているんだけど、どうも感動しません。Mikael様が歌ってるのにも関わらず。メロディをいちフレーズずつ取り出して捉えるとどれもが私好みのものであるはずなのに。緩急・動静、バラエティに富んでるアルバムのはずなのに、どの曲も同じに聞こえる。というか、聴き終えて浮かんでくる感情がどれも一緒と言った方がいいかしら。
何でや?
分からん。

私が買ったCDは2枚組の輸入盤で、ディスク2にはMikaelが終始クリーンVoで歌う2曲が収められています。①The Absolute②Time Out Of Place、共にしっとりとしたバラードで、フォワーーーッなこの方向性が最大限に生きています。特には好き。


客観性を全開にするとオススメ作。
自分の主観に素直になるとダートラにサヨナラを告げかねない大問題作。
「2016年、好きなタイプなのに何故かピンとこなかったシリーズ、パート1」ですね。
Martin Henriksson(Gt)が脱退したのはこの方向性がイヤだったんじゃないのかなぁ…とか勘ぐってしまいます…。

【お気に入り】
⑦The Pitiless
②Atoma
①Encircled
⑤Force Of Hand
ディスク2②Time Out Of Place


PURE ROCK JAPAN LIVE 2017、開催決定!

purerockjapanlive_logo.jpg

PURE ROCK JAPAN LIVE 2017の開催が決定しました。

『PURE ROCK JAPAN LIVE 2017』
日程:2017年5月28日(日)
会場:川崎CLUB CITTA'


PURE ROCK JAPAN のFacebook → コチラ。

『~EXTRA』じゃない本家はちょうど丸二年ぶりですね。前回2015は結局行かなかったんだよなぁ…。
いつも通り出演者およびチケット情報等は後日発表とのことですが、「どのような“四強対決”が繰り広げられるでしょうか?」とあるので、これまたいつも通り全4バンドの出演になるようです。

さてさてどうなるか。
半分は自分の好きなバンドで、もう半分は前から興味はあったけど観たことないバンドだと理想的なんだけどな(贅沢/笑)


兀突骨_兵ドモガ夢ノ跡
兀突骨「兵ドモガ夢ノ跡 -Where Warriors Once Dreamed a Dream」 (2016)

「川越の残虐王」こと、国産デスメタル/デスラッシュ・バンド、兀突骨(Gotsu-Totsu-Kotsu)の4thアルバム。
前作「因果応報」(2015)から引き続きの強力なメンバー編成、高畑治央(Ba&Vo)+円城寺慶一(Gt)+秋田浩樹(Dr)で制作されています。同じ布陣で2作続くのはバンドとして初めてのことだそうな。

同じメンバーで作られたゆえか、延長線上にある作風ですね。傑作だった前作と比べても甲乙付けがたい出来かと思います。
器楽的な面白さはさらに突き詰められています。トレードマークである高畑のスラップ・ベースのフィーチャー度合いはより大きくなり、円城寺と秋田の持ち味であるシャープでキレのあるプレイと一丸となった突進力は抜群。持ち前のリズムチェンジの巧さとドラマ性に満ちた曲作りの魅力はそのままに、メタル者ならストレートに熱くなれるフレーズが随所で派手にキマります。それによって攻撃性アップ、より激しく烈しい作風になっているように感じられます。
Shrapnel系の最高に派手で技巧的なGtプレイが炸裂する②争乱ノ死地ヘ③飢餓ノ恐怖⑧死中求活⑩武名⑪疾風ノ如クあたりは堪りません。って、それ以外の曲もほとんどそうですが。ギタースキーにとって、円城寺のギター・ヒーローっぷりはほんと眩しい。

反面、歌メロに関しては前作の方がキャッチーだったような気がしますね。「キャッチー」と言っても、全編歌詞が聴き取りにくいグロゥル/シャウト・スタイルだし、あくまでブルータルなデスメタルですので限度がありますが、それでもスッと耳に入ってくるフレーズが大きかったのが前作。そう感じるのは、本作に早口Voの曲が多いせいかもしれません。
最もキャッチーなのは⑦血塗ラレタ旅路でしょうか。ファストな曲が多い中、一際オールドスクールなノリの良さが映える曲で、オーオオーのコーラスや歌い上げるようなGtメロディも含めて、フックの塊ですね。

ベースによるインスト小曲⑥別レノ子守唄(アコギかと思った)を挟んでA面B面に分かれるような構成、そしてそれぞれがエピカルな大作で締めくくられるところも◎。兀突骨といえば大作というイメージもあるかもしれませんが(少なくともオイラにはあるんだ)、共に8分超えのその2曲がまた素晴らしい出来です。
⑤兵ドモガ夢ノ跡は途中5分過ぎからのメタリ感(=METALLICAっぽさ)全開なセクションにニヤリとさせられつつ、そこがフックになってますし、前作収録の是非ニ及バズに通じる総力戦の如き壮大なドラマ性を持つキラー・チューン⑫見果テヌ夢の展開美はもう完璧。


デスメタルの暴虐性、曲作りの巧さ、緊張感の醸成方法、ヒロイックな美旋律、“滅びゆく者への美学”を題に取ったことで生まれるリリシズム、そしてそれら組み合わせによる圧倒的個性を備えた傑作。
前作と同等か、それ以上かも。

【お気に入り】
⑫見果テヌ夢
⑪疾風ノ如ク
③飢餓ノ恐怖
⑤兵ドモガ夢ノ跡
⑧死中求活
⑦血塗ラレタ旅路
②争乱ノ死地ヘ MVは → コチラ。


パトリックデウィット_シスターズブラザーズ
パトリック・デウィット『シスターズ・ブラザーズ』 (茂木健 訳、創元推理文庫)

パトリック・デウィットの『シスターズ・ブラザーズ』を読みました。

粗野で狡い兄・チャーリー。普段は優しいが、キレると大変なことになる弟・イーライ。悪名とどろく凄腕の殺し屋シスターズ兄弟は、雇い主の“提督”に命じられ、ある山師を消しにサンフランシスコへと旅立つ。ゴールドラッシュに沸く狂乱のアメリカ西海岸で、兄弟は何に出遭い、何を得て、そして何か失うのか?世界の読者に衝撃を与えたブラッディ&ブラックな傑作、文庫化!

2013年の各ミステリ・ランキングで選ばれた作品ですけど、謎解きの面白さやアッと言わせる展開で読ませる小説ではないです。「凄腕の殺し屋」っぷりが際立つ描写もそれほどありません。最初の期待とは外れていましたし、特に自分が好む要素があるわけでもないんですけど、どこか魅かれるものがあって最後まで読んじゃう、という。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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