STARMARIE 『 2021 spring tour - Fantasy Parade - 』 大阪 ROCKTOWN (2021/2/14)



【すごい(凄い)】
①ぞっとするほど恐ろしい。非常に気味が悪い。
②びっくりするほど程度がはなはだしい。並外れている。大層な。
③むをおおおお!

【やつら(奴等)】
①複数の人を卑しめていう語。
②三人称の人代名詞。同等以下の複数の人を卑しめたり、親しみを込めたりしていう語。あいつら。

【記念日】
①記念すべき出来事のあった日。
②そういえばヲタクって記念日とかマメに覚えてて凄いよね。デビューしてから○日とか推しと出会って○日とか。



オハヨウ!
STARMARIEによる、『Fantasy Parade』と冠された2021年春ツアーの初日、大阪・阿倍野ROCKTOWN公演に行ってきましたよぅ。
配信ではない、会場に足を運ぶライブは久しぶりになります。昨年10月24日のI.D.And Fly LooM解散ライブ、『未完の情景録』@新宿ReNY以来ですね。
つか、大阪に引っ越してからもうすぐ1年ですけど、初めて観光名所的な商業施設に来たかもしれん。普段の買い物は近所で済んじゃうし、プロの引きこもりストなもんですからマジ出かけてねぇス。


アイドル・タレントの以前のキャリアのことを指して、「前世」と言うことがあるようです。私個人はあんまり好きな表現ではありませんが。
「アイドルさんの前世はあまり積極的に触れるもんじゃない」
もしかしたらそんな傾向があるのかもしれません。でもウチは個人ブログなんで、触れちゃうのです。触れないとなぜ管理人がここにいるのか不明なので、触れちゃうのです。ベタベタ触りまくっちゃうのです。この日のショウの終わりのナレーションで、「今日起きたことは…内緒だ」って言ってたけど、内緒にするわけにはいかないのです。

ダイヤモンドルフィーの紺野なつきは、その継承ユニットであるI.D.And Fly LooM(以下、アイフラ)でnatsukiとして活躍し、前述のとおり昨年10月24日に行われた解散ライブでいったん活動を終了しました。ラストライブ『未完の情景録』とそこに至るまでの道程を見届けた身としては、「こりゃあ彼女が再びステージに立つことはないかもなぁ」と感じていましたし、周りの友人たちも似たような認識だったと思います。
だから彼女がツイッターでの最後の挨拶の際に、“次のステージ”があることを匂わせたのは、寝耳に水モンの出来事でした。
どんなカタチかわからないけど、また戻ってくるんだ…。

帰還は思ったよりもずっと早かったですね。
2020年も暮れに差し掛かった頃、渡辺楓の活動終了を経て4人体制になっていたSTARMARIEに、新メンバーの加入が発表されました。「麻弥」という名前の元natsuki()でした。写真で分かった。世の中には自分と似た人が3人いるなんていいますが、たぶん偽者じゃないです。偽natsukiじゃなくて本natsukiだと思います。もしくは真natsuki。

この発表には驚きました。なにがビックリって、語弊があるかもしれませんけど、STARMARIE(以下、スタマリ)という“格上”のグループへの加入だったから。スタマリといえば、限りなくメジャーに近く(事実メジャーからリリースした作品もある)、アイドル・グループの中でもミュージシャンズ・ミュージシャン的なポジションにいるイメージでしたから。すげえ。
これね、例えるならSUICIDAL TENDENCIESのRobert Trujillo(Ba)がMETALLICAに加入するような、FREEDOM CALLのSascha Gerstner(Gt)がHELLOWEENに加入するようなもんじゃないですか!(伝わらない)


管理人はこれまでに、スタマリのステージを2度観ています。いずれも下北沢で行われたサーキット・イベントで。
2019年3月に行われた、スタマリ主催の『FANTASY TOWN -The Dark Style-』のレポは→コチラコチラ。
同年10月に行われた『Wish the Witch!-魔女の願い-』のレポは→コチラ。
スタマリは両イベントとも、“トリ”を務めていました。

実はどちらのイベントにもアイフラが出演しているんですね。ドルフィー時代から共演しているんで不思議でもなんでもないんですが。このときのスタマリのパフォーマンスについて、アイフラと絡めて書いてある部分があるので、以下に引用してみます。

これは素晴らしいステージですね。徹底した美意識に貫かれた、スタマリの素晴らしいパフォーマンスを観ながら、「あー、これはI.D.And Fly LooMに吸収してほしいところだらけだわー」って思ってました。音楽的にはアイフラのほうがずっと激しくメタリックではありますけど、理想と掲げる地点は似ているような気がする。

『FANTASY TOWN』の初日レポでも書いたように、アイフラが目指す方向に進むにあたって、スタマリから吸収できるところがいっぱいあると思うんですよね。共通する要素がいっぱいある。特に“舞台”指向の強いnatsukiは、彼女たちのステージを観て憧れとジェラシーの入り混じったものを感じるんじゃないのかなー??


どうすか。
ワクワクするでしょう。
管理人の勝手な解釈に過ぎない記事ではありますけど、ヲイラは興奮しましたね。だから元natsukiのスタマリへの加入は驚いたと同時に、理想的だとも感じたんですよね。
この両者の組み合わせを見逃すわけにはいかない…ッ!

新メンバー・麻弥のお披露目は2021年春ツアー、『Fantasy Parade』にて。
このツアー、当初発表された日程では東京公演である新宿ReNYからスタートする予定でした。しかし、新型コロナウイルスと緊急事態宣言発出の影響により、東京公演が延期。結果、このバレンタインデーの大阪公演からスタートすることになりました。
アイフラ解散の地であるReNYから“次のステージ”が始まるってのも、それはそれでブレスト・ホット(胸熱)でしたけど、個人的には大阪公演が正真正銘のお披露目ステージになったことが嬉しかったです。


さて、前段が非ッ常~に長くなりましたけど、ようやく当日の感想になります。
感染防止対策が施されたROCKTOWNは、フロアに椅子が並べてある仕様です。ステージと最前列の間は広めに距離を確保。入場順にどこ座ってもいいよ、ライブ中はその場で立って観てもいいよ、という方式になります。

定刻過ぎ、『Fantasy Parade』のコンセプトに沿ったと思しき、やたら色っぽい声のナレーションからスタートです。この声、メンバーの誰かによるものかしら? 孫○空だったら「おめぇエッロいなぁ。オラぞくぞくすっぞ!」とか言いかねないタイプですね。これはASMRと言ってよいでしょう。直訳すると、自律感覚絶頂反応。
SEに導かれて順番に登場するメンバー、最後に出てきたシン・ナツキが…、おぉスタマリの衣装を着ている! 当たり前だけどアタリマエじゃない光景ッ!!←

スタマリといえば、MCなしのパフォーマンスです。また、Wikiなpediaには「ライブ中メンバーはほとんど笑顔を見せない」ってありますけど、別に不機嫌にぶすっとしているわけじゃないです。まぁフロアの隅から隅まで笑顔を届けちゃうぞ♡ってタイプでもありませんけど。
要は、演ってる曲がどういう曲かに依るんじゃないかなぁと思います。歌詞に登場するのが明るく朗らかな性格の人なら、それを演じるメンバーもニコニコしながら歌うでしょうし、ダークでシリアスな曲ならそれに即したムードを作り出す。そういった使い分けを可能にする実力があるってことですよね。
決して観ている側を突き放すようなパフォーマンスではありません。仕草で以って手拍子を誘ったりもしますし。

リフが目立つ激しめのロック・チューンも、ファンが一緒に振りコピするような曲も、ヴォーカル・グループのように歌をメインにじっくり聞かせるバラードもあります。予習ナシ・ぶっつけ本番の私にとっては、全て新曲みたいなもんです。
個人的にはどのタイプの曲でも、ワァァアアと盛り上がるよりもじっくりその世界に対峙したい、“沸く”というよりは彼女たちの表現を受け止めたい、そんな気にさせられました。

あんまりアイドルっぽくないんですよ。誤解を招きそうな言い回しになりますけど。
表現手法がアイドルというフォーマットに則っていないというか、アイドルという枠に収まっていないというか、ひとくちに「アイドル」と断じてしまうと、捉えきれないものがたくさん出てきちゃうというか。

例えば「落ちサビ」。
アイドルのライブといえば、とりわけ重要視されるのが落ちサビです。それを担当するメンバーにとっては最大の見せ場であるといっても過言ではないパートですよね。もしかしたらヲタクにとっても、一番熱くなる瞬間なのかもしれません(笑)

でもスタマリのステージを観ている間ずっと、管理人は落ちサビへと意識を向けることがありませんでした。落ちサビにあたるパートが存在しないわけでも、重要性が低いわけでもないんでしょうけど、そこにのみスポットを当てた演出や表現方法ではないんですよね。落ちサビに限らず、楽曲を構成するどのパートもストーリーの一部として機能しているから、等しく重要。そんな感じ。
歌唱者がステージ中央から身を乗り出すようにしてこれ見よがしにアピール!…なんてしませんし、落ちサビに相当するタイミングでファンが一斉に咲いたりしません。もしかしたらそういう曲もあるのかもしれんけど(笑)

楽曲はブレイクが多く、セクション毎に目まぐるしく感触を変えます。実に油断ならん。聴き応え、見応えが大きいです。
明るいメロディでも萌え萌えキュンキュン()しないし、奇妙奇天烈な振り付けが多いのにバカバカしく見えない。それどころか、えらくカッコイイ。なんつーか、ブラック・ユーモアを湛えた余裕が感じられるというかね。

ライブ・パフォーマンスのコンセプトは、明らかに「非日常の提供」を意識したものでしょう。MCなしのステージしかり、冒頭と締めくくりのナレーションしかり、舞台俳優を連想させるメンバーの所作しかり。
1曲目でスタマリ・ワールドに引き込まれたら、あとは本編終了までその世界に滞在する。パフォーマンスの拙さが原因で「日常」に連れ戻されることもない。浸れるわー。これは素晴らしい。

「本来自分の好みド真ん中じゃないなー」という曲でも、ステージでの表現が巧みなため、自然と惹きつけられるんですよね。この感想は自分でも意外でした。
正直言って、超絶ソロ・ヴォーカリストがいるわけじゃありません。でも、マイクの扱いや声の表情の付け方、曲が求めてる表現をサッと提示できる引き出しがあること、そういった諸々について総合的に巧い人たちが揃っている。そんな印象です。
メンバー個々の力量が半端ないわ。“個”でも魅せられるし、“集”でも魅せられる。


最もキャリアの長い木下望は、パワーのある歌唱、それとは反対に力の抜けたホワンホワンした喋り方(アンコールのトークタイムで判明したことですけど)のギャップがすんごい。ムードメーカーなのかなぁ。

高森紫乃はひとつひとつの動きがいちいち様になるんですよ。自然と視線が引きつけられるぅぅぅうう。顔の傾げ具合、憂いを帯びた表情、指先まで神経の行き届いた所作、踵を返すときの颯爽とした様子。完璧やんけ。
むをおおおお!むをおおおお!

中根もにゃはインパクトのある名前と貴公子然とした容姿から、一番最初に覚えたメンバーなんですけど、とにかくカッコイイのです。宝塚的な凛々しさ♡

リーダーを務める松崎博香は、柔らかく優しい雰囲気が魅力ですね。トーク・タイムでの落ち着いた語り口もめっちゃいい人そうだったっス。ぽに。



しかしこの溢れ出る気品は一体どういうことですかね。いや、気品があるというよりは、洗練されてるといったほうが良いですかね。
経験値の高さからくる余裕のおかげもあるでしょうし、また、衣装による効果も大きいはず。黒(濃紺?)に金の縁飾りが施された衣装は、メンバーそれぞれで造りが異なりつつも統一感があります。素敵だわー。ほんと衣装って大事よ。
あとですね、ウチは必要以上に髪型について言及するブログとして定評があります(ないです)からね、触れとかなきゃいけないでしょう。みんなパッと見で異なる髪の長さとヘアスタイルなので、個々の見分けが容易なんですよね。シルエットだけでもすぐ判別がつく。
みんなちがって みんないい。


そんなメンバーの中にシン・ナツキ 麻弥が交じるわけですよ。
随分とハードル高いでしょコレ。

でも。

お、、、馴染んでるぞ。
違和感がない。

「ベテラン4人+新人1人」という構図ではなかった。
パフォーマンスもしかり、与えられた歌割りもしかり。

2部構成の本編、後半1曲目はきこえないというバラード曲でしたが、その1番まるごとを麻弥が独唱。高音部の安定感と自信がもうすこしほしいとこでしたけど、否が応でも緊張張り詰めるこのシチェーションで、見事に抑えた歌唱を披露しました。
麻弥の紹介的な意味も込められていたんでしょうか、きこえないがいちばん彼女の目立つパートではありましたけど、他の曲においても歌唱が少ないわけでも、ひとりだけダンスが遅れることも、なかった。

後半のどっかの曲で、彼女がマイクを落とす場面があったんですね。ただ単に掴み損ねて落としたのか、誰か他の人とぶつかって落としたのか定かではなかったんですけど。
そのときの彼女、マイクを拾い上げるいなや、とっさに「あ~らやっちゃった!」的なお転婆娘っぽい表情を作ってみせたんですよね。あたかも曲中で展開されている物語の一部かのように。トラブルを振り付けや楽曲の演出の一部かのように見せた機転は、実に素晴らしかったです。経験の賜物だな←

「スタマリのメンバーとして違和感がない」ってのはすごいことだと思うんです。(麻弥は)スタマリ・メンバーとしては新人だけどアイドルとしては新人じゃないからそりゃあそうでしょ、って見方もあります。けど、13年続いてるグループの、長く一緒に活動してきたメンバーの中に後から入ってゆくのって、相当なプレッシャーだと思いますよ。


本編終了後、アンコールを求める拍手に迎えられ、再登場した5人。
追加の曲披露はありませんでしたが、貴重なトークを聞くことができました。スタマリのライブでは本編で喋ることがないので、もしかしてアンコールでまとめてメンバーの声を聞くというやり方なんでしょうか。

順番に感謝の言葉を述べてゆき、最後に麻弥の番になりました。
自身の加入が発表されてからこの日に至るまでの1ヶ月半。その間にファンから貰った言葉や反応に触れ、感謝を述べてから
「私そんなにすごいやつじゃないのに」と謙遜。
↓ ↓ ↓
間髪入れず、先輩メンバーからは口々に「すごいよ」「すごいやつだよ」との言葉が。
すると、感極まった麻弥はすこし涙ぐみながら、

「じゃあ今日は、すごいやつ記念日で」
(何を言ってるんだ、この人は?笑)


このお喋りタイムでもたらされた情報により明らかになったんですけど、ツアーの準備が大変だったのって、麻弥だけじゃなかったのね。
全曲でサビ以外の振り付けが変更になり、4人も覚え直さなきゃいけなかったそうな。メンバーが増えたことで、もちろんフォーメーションや歌割りも変わったでしょうしね。
そんなトークの流れから、麻弥だけじゃなくて全員が“すごい”って話になり、

「じゃあ、すごいやつら記念日で」
(何を言ってるんだ、この人たちは?笑)


正味1時間くらいの短いライブ本編だったんですけど、一本の舞台を観たような充足感に満たされました。
それと、麻弥が先輩から「入ってくれたのが麻弥ちゃんで良かった」と言ってもらえたのを聞いて、またマリスト(スタマリファンの愛称)さんたちに迎え入れてもらってる感じがあって、安心しました。同時に、ちょっとヘンなコだと思われていないか心配ですけど。←


“始まった”のを感じます。
旅の始まり。
すごいやつらの始まり。
ワクワクする。


<セットリスト>
01.DEAD
02.赤い帽子の化けモノ
03.パノプティコン (新曲)
04.ホシノテレカ
05.キミとヒトリ 月夜に歌う

06.きこえない
07.禁じられた遊び (新曲)
08.悪魔、はじめます。
09.三ツ星レストラン・ポールからの招待状
10.姫は乱気流☆御一行様
11.ホーム・ジ・アンセム

ENCORE
曲披露なし、メンバー・トーク・タイム


※セットリストはファンの方のツイートからいただきました。


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荻原浩『噂』

荻原浩_噂
荻原浩『噂』 (新潮文庫)

荻原浩の『噂』を読みました。

「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。

あまりミステリ畑の作家として認知されていないような気もするんですが、本書はがっつりミステリです。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓




TEARS OF TRAGEDY 『 Streaming Live “RGB” 』 (2021/1/31)



国産すぴめろ・バンド、TEARS OF TRAGEDYの配信ライブを観ましたそ。
無観客状態のライブハウスで事前収録したライブを、YouTubeで無料配信したものになります。

ウチのブログのライブレポは、基本的にお金を払って観(に行っ)た公演について書いてるんですけど、本ライブに関して「これは無料配信だから書くのやめよう」とかいう考えは、一切浮かばなかったんですよね。配信を観る前に既に下書き始めてたし。
なんでしょうこの無意識の行動は。ティアーズがライブやるってこと自体がレア、それこそ一大イベント的な趣があるからでしょうか? それとも「なんとしてもこの記録は残しておかねばならん」という、種の保存に対する使命感みたいなものが働いたのでしょうか? わからん。
まぁいいや。


あるミュージシャンのことを指して、「職人気質」なんて評することがあります。頑固で気難しい人について使ったりする言葉ですけど、アーティストの場合はわりと褒めようとする場面で登場する気がします。ティアーズの場合も、TORU(Gt)のギターワークだったりHAYATO(Key)の鍵盤アレンジだったりと、その巧みさを「職人気質」と表現したくなるケースはあります。

でも同時にこのバンド、やたら“お笑い”方面に長けていたり、身体を張ったネタを積極的に盛り込んできたりと、「芸人気質」とでも言えそうなとこもありまして。かつて、「ウチは手数よりも口数で勝負だから(by 詠み人しらず)」という迷言も生まれましたし。
そんなティアーズの、配信とはいえど久しぶりのワンマン公演ですからね、出してきますよね、そういうところ。芸人面。というか、出そうとしなくてもオモテに浮かび上がってきちゃうものなのかもしれませんが。

ライブ本編の30分前から、『おまけ』と説明されるコーナーが始まりました。収録日前日のホテル、深夜1時のクイズ・コーナーでございます。
お題に対して、フリップに書き出した全員の回答が揃ったらポイント・ゲット、それを○回達成したらクリア、という企画になります。要は、メンバー3人のチームワークを試そうということですね。早くクリアすれば寝ることができる、クリアできなきゃ睡眠時間が削られる、という。
身体張ってますね。芸人ですね。(語弊

『おまけ』配信を観た人はウンウンと頷いてくれる気がしてますが、これが面白いのです。正解(=ポイント・ゲット)しようが間違えようが、どっちにしろ面白いのです。受け手を笑わそうとしてないけど、自然と面白くなっちゃう。そんな感じなのね。ここらへんはメンバーの阿吽の呼吸なんだよなー。
ちなみに、最初は5問連続ポイント・ゲットでクリアという条件でしたが、余りにも揃わないため途中で難易度がググッと下がったりしてました。さもありなん。


さて、『おまけ』タイムは30分で終了。
この記事も前置き部分が長くなってしまいましたが、漢字と英語が書けないメンバーによるライブ、スタートでございます。

収録会場は(たぶん)今池 3STAR。パッと見、渋谷CYCLONEかと思いましたが、ステージが白黒の市松模様じゃないから違うなーって。東京の(関東の?)バンドがわざわざ名古屋まで出向いて収録したのは、3STARがライブ配信に一日の長があるハコだからでしょうね。配信のクオリティについては後述します。

ステージ上は、HARUKA(Vo)、TORU、HAYATOの正規メンバー3名に加え、サポートを加えた5名。リズム隊はHER NAME IN BLOODのMAKI(Dr)と、AFTERZEROHELLHOUND他の種子島洋二(Ba)です。超攻撃型メタル・リズム・セクションやんけ。

そしてこの編成/人選がピタリとハマります。
めっちゃ音が締まってる。過度に攻撃性を剥き出しにした出音やバランスではないですけど、キメるべきところが気持ちよくキマり、安定感に富んでいて乱れない。ティアーズの生命線であるメロディがしっかりと伝わってくることが大前提で、かつ、HR/HMとしての“圧”があります。あーこれは最高ですわ。特にMAKIのDrは良いですね。

そんな土台の上で、3人が生き生きとパフォーマンスする。
TORUのGtプレイのキレ、音の抜けはさすがです。音の粒がくっきりと揃ってる。当たり前のようにこんな高次元のプレイをしてくるもんだから、それが自分の中で「ティアーズでの普通」になってしまってる感もあるんですけどね。

なによりこの『Streaming Live “RGB”』は、HARUKAの 女優っぷり が際立っていたライブでした。
格好は女医さん(の白衣っぽい衣装着てた)だが、その表現は女優。新譜「TRINITY」には硬から軟、明から暗、冷から熱まで色んなキャラクターの楽曲が収められているわけですけど、それを見事に歌い分ける。演じ分ける。声音で、視線で、表情で、所作で。彼女がもつ最大最強の武器は「歌」ですけど、使う武器はそれだけじゃないんですよね。これはズルい。

No.05frost flowerを歌っていたおねいさんは、似てましたけどたぶん別人だと思います。だって前者はドロッドロで、後者はキラッキラしてましたから。あの真に迫った表現はとても同一人物のそれだとは思えない。
曲毎といわず、それこそ1曲の中でも登場人物を演じ分けます。時に鏡は嘘をつくで歌詞の二面性を表現していたのは、最たるところでしょう。

以前よりウチのブログでは「ティアーズの凄さ」というより、「HARUKA/吉川遼の凄さ」に着目した記事を書き続けてきたような気もします。ティアーズの稀少性を担っているのが彼女のVoスタイルだから。
彼女がHR/HMというフィールドで歌ってくれている事実に、改めて感謝したいですね。奇跡みたいなもんだよ、これは。


このライブ配信を素晴らしいものにしていた大きな要因が、カメラワークです。楽曲のキメとなるところで、映すべきメンバーを、美味しいアングルでフォーカス! 匠の技や!!
生配信ではないので、撮影後に編集された映像が流されていたわけですけど、チャンネルを切り替えるだけでなく、カメラマンが動きながら撮影していたことがデカいですね。目まぐるしく感じない程度に動き回ることで、まるでMVを見てるかのような躍動感が伝わってきました。おまけにヴォーカリストのおねいさんはなんてったって女優ですから、板についてる感がハンパないのです。これは…良いッ!
特にポップな曲での女優さぁんの生き生きとした様子に むをおおおお!むをおおおお! ってなりましたね。思わず私は、Innocent gramを歌っていたおねいさんと一緒に、真っ白な道を裸足で駆けて遠く揺らめく蜃気楼も追い越して果てしない旅に出かけたくなりました。


本編は、バラードafter songだけ除いて「TRINITY」を収録順にプレイ。アンコールは1stと3rdの冒頭を飾る2曲。
新譜リリース後に、レコ発ツアーができなかったということもあり、アルバム紹介的なセトリでした。キャラ立ちの良い「TRINITY」の楽曲が、既存曲とどう共存するか。これから楽しみな点です。
配信のコメント欄でバンドの公式アカウントがアンコールを煽るって手法はなかなか面白かったし、Silence Oceanでの締めは毎回ほんと幸せになります。


これ、無観客で、しかも目の前で観ることのできない配信ライブですけど、もしかしてこれまでで一番良いステージなんじゃない? そんな思いが幾度も去来しました。
バンドのパフォーマンスはもちろん、撮影クルーの仕事っぷりも最高。何より雰囲気が良かった。演者からの一方的な発信のはずなのに、なぜかそこには双方向に“思い”の行き来があるように感じられました。
素晴らしいものを見せていただきました。


<セットリスト>
01.Trinity ~ Nonsite
02.幽玄
03.Innocent gram
04.Anonymous
05.Outsider
06.No.05
07.frost flower
08.時に鏡は嘘をつく
09.クロノメトリー

ENCORE
10.Beyond The Chaos ~ Void Act
11.Silence Ocean


Chick Coreaが死去。

ジャズ・ピアニスト/作曲家のChick Coreaが癌により2月9日に亡くなったことが発表されました。79歳。

amassのニュース → コチラコチラ。

chickcorea_profile2021.jpg

このブログを始めるもっと前のことですけど、ガイド本を片手に、意図的にジャズ/フュージョン・シーンの作品を聴いてみた時期があります。というか、今でも引き続き掘り下げてみたいと思っているジャンルです。ジャズというよりは、どちらかというとフュージョンですけどね。
そんなジャンルの中でも、HR/HMリスナーとしてはテクニカルで(もっと言うと「テクニカルであることがストレートに伝わってくるもの」で)、かつロマンティックな旋律とドラマティックな展開をもつ曲/アーティスト/グループが好みに合いました。ジャズ・ロック的なやつ。

いくつか聴き漁ったなかでとりわけ響いてきたのが、RETURN TO FOREVER(以下、「RTF」)でした。言わずと知れた、Chick Corea(Key)とStanley Clarke(Ba)を中心にしたスーパー・バンドです。
RTFのことは島田荘司の『異邦の騎士』を読んだときから興味をもっていたし、そのさらに前からChick Coreaの名前は耳にしていたと思うんですが、CDを購入して聴いてみたのはこのタイミングだったように思います。
Chickのソロ作品も持っていますけど、私は強いて言えばChick CoreaファンというよりRTFファンなのでしょう。「名」だけで「実」が伴っていないスーパー・バンドの多いなか、RTFは真のスーパー・バンドでしたから。特にAl Di Meola(Gt)とLenny White(Dr)を擁する第2期ね。

RTFのライブを生で1度だけ観たことがあります。2011年の東京国際フォーラム ホールA。このときの来日もRTFとしては30年ぶりだったんですね。GtはDi Meolaじゃなくて、The Chick Corea Elektric Bandにも参加したスウィープ・ピッキングで有名なFrank Gambale。
そしてこのRTF公演が、私にとってChickのステージを観た唯一の機会になりました。もうDi Meolaとの共演は叶わないんだよね。


facebookにはChickが生前に残したメッセージが載っており、それを訳したものを各ニュースで読むことができます。
彼の作ってきた音楽を好きな人には、ぜひ読んでもらいたいです。

他者への感謝と敬意。
創作に携わる人たちへ向けた願い。
これらの言葉にChickのスタンス、音楽へのアプローチがよく現れていて、涙がこみ上げてくるのを我慢できんよ。

ああ悲しいなぁ。


心よりご冥福をお祈りいたします。


米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』

米澤穂信_儚い羊たちの祝宴
米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』 (新潮文庫)

米澤穂信の『儚い羊たちの祝宴』を読みました。装画が美しいですね。タイトルもかっこいい。
やたら評判が良いのを知ってはいたんですが、短編ってあまり得意ではないので、後回しにしていました。

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

実際は短編集というより連作集というべき作品なんですが。
こりゃあ凄いね。噂に違わぬ傑作だわ。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
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