NHORHM「New Heritage Of Real Heavy Metal」


NHORHM「New Heritage Of Real Heavy Metal」 (2015)

ジャズ・ピアニスト西山瞳を擁するプロジェクト=NHORHMによる、HR/HMカヴァー・アルバム。第1弾。
第2弾は翌2016年に出ています。

裸ん坊ですね。ジャケ。
ノー知識な管理人はてっきり西山さん本人かと思っていましたが、どうやら藤崎ルキノさんという女優(とか諸々)さんだとのこと。
…ってWikipediってみたらこの方、聖飢魔Ⅱ「悪魔 NATIVITY」ヴァージョンのEL. DORADOのMVに出演してた人じゃないの!(MVは→コチラ) 御本人のツイートによると「当時30才だったのに女子高生役が来てびっくりした」と(笑)。このMVがね、マジで良いんですよー。音源としてもこのヴァーションのEL. DORADOがもしかしたら一番好きかもしれん。

あ、話が逸れました。
西山瞳推しの広告やインタビューのせいで、彼女一人によるプロジェクトだと思ってしまいがちですが、メンバーは以下の3人。

 西山瞳(Hitomi Nishiyama):Piano
 織原良次(Ryoji Orihara):Ba
 橋本学(Manabu Hashimoto):Dr


3名のイニシャルを並べたらNWOBHMに似ていたので、そこに英単語を当てはめていったらアルバム・タイトルの「New Heritage Of Real Heavy Metal」になったとのこと。
メンバー3人プラス、曲によってはゲストを迎えた編成による、(1曲を除いて)インスト・カヴァー・アルバムです。

曲目は、
01. In The Dead Of Night (U.K.)
02. Walk (PANTERA)
03. Man On The Silver Mountain (RAINBOW)
04. Skin O' My Teeth (MEGADETH)
05. Fear Of The Dark (IRON MAIDEN)
06. Upper Levels (ANGRA)
07. 悪夢の輪舞曲 (BABYMETAL)
08. Demon's Eye (DEEP PURPLE)
09. The Halfway to Babylon (オリジナル)
10. Green-Tinted Sixties Mind (MR.BIG)

リリース当時、ベビメタ⑦悪夢の輪舞曲の選曲が「あざとい!」と話題になっていた気がします(笑)。そのを除いて、収録されているのは世界的にも有名どころの曲ばかり。唯一、「Upper Levelsなんて曲、ANGRAにあったっけかな?」とか思いましたけど、「SECRET GARDEN」(2014/2015)に収録されているということで持ってなかったわこのアルバムナッハッハw


HR/HMの世界でカヴァー曲/カヴァー・アルバムというと、どれだけ精度が高く「完コピ」されているかという視点になりがちかもしれませんが、本作、完全にジャズ・サイドからのアプローチだと割り切って考えた方が、より楽しめると思います。要は、原曲の核となるフレーズを基にして、それを西山(もしくは3人)のセンスとジャズ的/即興的なアプローチで以って拡張した、との色合いが濃いものじゃないかと。曲のテーマのみ拝借した、肝となるエッセンスだけ掬い上げた、という感じもあるかな。
私は、「たまたま知っているフレーズが出てくるジャズ・インスト」みたいな認識で聴くことで、大いに楽しむことができました。既知の曲もやたら新鮮に響く。完コピじゃなきゃ原曲(アーティスト)に対して愛がないってわけではないでしょうしね。

メロディをそこそこ忠実になぞっている曲に関しては、パッと聴いただけで原曲に近いムードを感じ取ることができます。⑩Green-Tinted Sixties Mindはその最たるところでしょうか。も割とはっきりと面影があります。②Walk⑧Demon's Eyeもしかり。
原曲を知らなかった⑥Upper Levelsは、このラインナップの中でもとりわけ技巧的だなってのは伝わってくるし、事実聴き応えのある仕上がりになっていますね。

唯一ヴォーカルが入ってる曲が④Skin O' My Teethなんですが、これがかなり大胆に変貌しており面白いです。小田朋美のコケティッシュなVoは、Dave Mustaineと対極にあると言っても過言じゃないくらい別次元の哺乳類のそれですが、そのインパクトはなかなか大きく、原曲の持つリフの引っ掛かかる感じは残しつつも、お洒落なフレンチポップスみたいになってる。いいわこれ。(つーか原曲より好きだ)

一番のお気に入りは⑤Fear Of The Darkですね。原曲からしてこの中じゃ飛び抜けて好きだし、この曲がどうカヴァーされているのか知りたかったから本作を買ったってのもあります。元々持っている曲のメランコリックさが際立つ出来ですね。必殺のテーマ・メロディを(ゲストの)アコギがとったりピアノがとったりというアレンジも良いし、歌メロ部分もなぞるように演奏されるので、分かり易さもあります。


企画盤としてはなかなか面白い出来。かつ、瞬間風速的な一発だけじゃなくて、肩ひじ張らずに末永く楽しめそうな作品でもありますね。
ライブ観てみたいな。

【お気に入り】
⑤Fear Of The Dark
④Skin O' My Teeth
⑥Upper Levels
⑩Green-Tinted Sixties Mind


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戸梶圭太『牛乳アンタッチャブル』

戸梶圭太_牛乳アンタッチャブル
戸梶圭太『牛乳アンタッチャブル』 (双葉文庫)

戸梶圭太の『牛乳アンタッチャブル』を読みました。

雲印乳業西日本支社のお客様相談センターに一本の電話がかかってきた。低脂肪牛乳を飲んで食中毒をおこしたという。やがてその数は一気に増え対応に追われるセンターだが、会社の上層部は真剣に取り合わない。開いた記者会見では社長と工場長が真っ向から対立し大混乱に陥る。こんな会社に未来はあるのか? そのとき、無責任な俗物経営陣を倒すため、立ち上がった社員がいた! 痛快無比の企業エンターテインメント。

しばらく読み進めてから気づいたんですけど、これ読んだことありますね。再読だわ。
このブログを始める前だから、感想は載せてないけど。


以下、人によっては「ネタバレ」と感じる部分があると思いますので、ご注意ください。
 ↓


PAIN OF SALVATION「IN THE PASSING LIGHT OF DAY」


PAIN OF SALVATION「IN THE PASSING LIGHT OF DAY」 (2017)

スウェーデンのプログレッシヴ・ロック/メタル・バンド、PAIN OF SALVATIONの10枚目のスタジオ・アルバム。ただ前作「FALLING HOME」(2014)がアコースティックによる企画盤だったことを考えると、純粋な新譜としては「ROAD SALT TWO」(2011)以来の9枚目と捉えた方がよいのかしら。久しぶりですね。

本作は、バンドの中心人物であるDaniel Gildenlow(Vo, Gt&Keyとか諸々)が重篤な感染症に罹って死にかけた、という体験を投影させたコンセプト作とのことです。まぁ彼らの場合、コンセプト作であろうがなかろうがコンセプト作っぽい雰囲気を常に漂わせているので、その点ではいつも通りという感じですし、PoSイコールDanielなわけでして、彼の気分 考え次第で色んな方向に向かっちゃうのがこのバンドの性。
リリース前には初期の作風に回帰したなんていう評判も聞こえてきました。確かに北欧らしいメロウな旋律が顔を出します。ただ同時に、現代的なヘヴィさと暗く内省的な空気、オーガニックな楽器の響きが同居し、今までのキャリアをここで束ねてさらに前進させたとの感覚もあります。

プログレメタル的な感触が強めのアルバムでもありますが、リズムの多彩さがこの印象を強めているような気がします。元々複雑怪奇な拍子をごくごく自然に取り込んできたバンドですが、ここにきてさらに凄まじさを増しているんじゃないかという…。PoS全部入りのオープナー①On A Tuesday、このバンドらしい奇妙さが支配的な怪チューン⑤Full Throttle Tribe、それ以上に奇妙に捻じれる⑥Reasonsあたりの楽曲には、口あんぐり状態になります。全楽器一丸となって刻み倒したり、全く異なるリズムを平行稼働させたり、ついたり離れたり…、ヘンテコなフレーズ盛り沢山なんだけど、それらがごく当たり前の顔で楽曲展開の中に取り込まれてるってのがマジPoS。すげぇ。Djentバンドも真っ青ですわ。あとギター(特にリフ)の押し出し具合はかなりメタリックかも。
元々秀でていた、Danielの歌唱力・表現の幅の広さに加え、「REMEDY LANE RE:VISITED」(2016)でも感じたことですが、他のメンバーによる多重コーラスも今のPoSの強みかな、と。

パーツパーツに感嘆させられながらも、ジワジワとその凄みが伝わってくる曲が多く、じっくりと対峙するに相応しい作品に仕上がっています。メロディ派からすると、パッと聴きは、バラード④Silent Gold⑦Angels Of Broken ThingsのエモーショナルなGtソロ、⑧The Taming Of A Beastの終盤あたりがグッときますが、メロディのタイプが好みである/好みじゃないという、単純な二択では判断できない奥深さにズルズルと引きずり込まれますね。広がりのあるメロディと苛烈な演奏が交錯する⑩The Passing Light Of Dayが素晴らしいクロージング・ナンバーというのも嬉しい。


やはりこのバンドは恐るべし。
聴き応え抜群の傑作だと思います。

【お気に入り】
⑩The Passing Light Of Day
①On A Tuesday
④Silent Gold
⑨If This Is The End
⑦Angels Of Broken Things
⑤Full Throttle Tribe
③Meaningless


Junkers@荻窪Rooster NorthSide

『 ポプ協ミュージックフェア2017春 』 荻窪Rooster NorthSide (2017/3/25)



CDの感想をアップしたばかりの、Junkersのライブを観てきました。

といっても、通常の対バン・スタイルのライブではなく、『ポプ協ミュージックフェア2017春』というイベントの1コーナーでの出演。日本ポップ屋協同組合という組織が企画する、要は音楽制作者同士の交流の場みたいなところだと思うんですよねこれ。そこでミニライブやったりプレゼンやったり音楽を作る上でのノウハウを披露したり、みたいな。また、出演者(バンド)の楽曲を集めたコンピレーションCDを定期的に作成しており、この日も来場者には2017年上半期版のCD-Rがプレゼントされてました。というかチャージにオンされているんでしょうけど。CD付きチャージ、\2,000。
何が言いたいかというと、単なるいちリスナーである私が行くような場所ではないってことですよ。なんせ“供給”する側じゃないし楽器もやらないしそういう人脈を作りたいわけでもないし、と。でもライブ観たいんで、行く。そういうところでも我が物顔でズカズカと入ってゆくスタイルだから、行く。 ※ほんとはすげぇビビってる、ザ・人見知り (´ε`*)


Junkersの薫(Vo)はこの日はJunkersでの出演ですが(なんかヘンな文章だなw)、所属するもう一つのバンドであるLilith Abiはこのイベントの常連でもあります。リリスの頭脳である児島亮介(Ba, Key&諸々)が、リリス本隊とは別に楽曲/アレンジ提供を行ってゆく、「Lilith Abi Studio」という名義で参加していました。コンピレーションには、男性ヴォーカリスト・みつおをフィーチャーした1曲を提供。サンプリングの機械っぽさと歌唱&演奏の生っぽさが混ざり合った眠り姫という曲で、残念ながら生演奏はかないませんでしたが、曲を流した後に制作面での説明をするという流れでした。サビで一気に広がりをみせるのがなかなか鮮やかですね。へー、児島氏こういう曲も書くんだ。

この後、プロの方から作詞の方法についての講義みたいのがあったんですが、これがなかなか面白かったですね。お笑い芸人の“芸風”や、阿木燿子/康珍化/大江千里といった作詞家の“型”について分析して、そこからエッセンスを汲み取るようなものだったんですけど、ウチのブログのような駄文を書くうえでもまぁそれなりに参考になるところがあるな、等と。ほんとは私ももうちょっとカッチリと書き方をパターン化して、毎回書く内容だけ入れ替えれば、楽に仕上がるような気はしてるんですけどね。

はい、Junkersの出番です。
この日はGtの伊藤太一が不在のため、Vo+Key+Drの3人編成。このイベントの為にリーダーの柴崎裕斉(Key)が札幌から上京したのに、逆に伊藤氏は函館に社員旅行中だという、このすれ違いの純情(笑)
バンドの説明と、コンピレーションCDに収録されたCourserについての楽曲説明を経てライブへ。やるのは2曲だけなのだ。CourserWorld's End。というかWorld's Endを聴くためにここに来た。四谷LOTUSの再始動ライブではやらなかった曲だし、一番好きな曲だし。

まずはCourserから。本格的なライブハウスというよりは、演奏スペースのあるライブバーという造りのせいか、生ドラムの調整には苦慮してたかな。ちょっと音量が大きかった。ただ再始動ライブの時も感じましたが、新加入・大畠和希のDrが入ると一気にロック感が増しますね。曲毎の個性やライブでのアレンジによってでしょうけど、音源とはかなり印象が異なります。
続いて柴崎がピアノに場所を移ってWorld's End。うぉー、生ピアノで聴けるとはーッ!! 曲の哀感マシマシですがな。もう世界の終わりどころじゃなくって、世界始まっちゃうよ一晩で法隆寺建てられちゃうよってくらいの感激です。薫は自ら追い込んで表現を磨き上げる人なので、曲に合わせて、ハコの大きさや楽器編成等の演奏環境に合わせて、最適なパフォ-マンスを提示してきます。端的に言って、歌唱だけでなくて、マイクのコントロールがやたら巧い。聴いてると、込められた感情がだんだんと濃くなってゆくようなところは、リリスの時と良い意味で変わらないんだよなー。チケ代の元は取りまくった。もうあと3回くらい繰り返してWorld's Endしてほしい感がありましたが。

メンバーの住んでる地域がバラバラで気軽にリハもできないでしょうけど、ライブは(不?)定期的におこなっていくようなので、楽しみですね。次回は5/14渋谷GUILTYとのこと。


Junkers「Chrono Circle」


Junkers「Chrono Circle」 (2014)

「Crossover pops」バンド・Lilith AbiのVo、薫が在籍する別バンド・Junkers(ユンカース)の1stアルバム(というか、現時点での唯一作)。
audioleafのページ → コチラ。
ライブ映像を編集したバンド紹介映像 → コチラ(12:00~がJunkersです)。

もう完全に活動を休止したバンドだと思っていたところ、昨年の10月に再始動ライブを行って俺氏感激(その時のレポは→コチラ)、そしててっきりそれが単発ライブかと思いきや新曲を作るまでに至ってるという。世の中何が起こるか分からんぜよ。

この記事も、タイトルと曲目、あとはちょっとしたメモ程度の感想だけ打ち込んで→下書き保存して→そのまんま放置してあったデータを手直ししたものになります。Amazon等の通販で流通しているわけじゃないし、(言い方はアレですが)“先”の無いバンドの、手に入れることの出来ない作品について、記事をアップすることの妥当性を測りかねていたので、眠らせてあったんですよね。ただ、今後はライブ会場で購入することもできるようですし、それならアップしておこうかな、と。どれくらいの枚数が残っているのかは知らんですけど。※因みに数枚なら何故か私から購入することもできます(笑)


audioleafのページでは「EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)」となっていますが、EDMというよりは「エレクトロニカをベースにしたポップス」という感じの音。「踊らせる」というより「聴かせる」。
というかですね、中心人物である柴崎裕斉(Key)が自ら認めているように、コレ、TM NETWORKの女性ヴォーカル版とも言えそうな音楽性なんですね。ジャケからしてTMの「humansystem」(1987)ちっくですし、おまけに小室哲哉の飼い犬の名前から取って「ユンカース」というバンド名にしちゃうほどのフリークですしね。

一口にTM/小室哲哉といっても、色々な音楽的側面があります。TKってミーハーな人だと思ってますし(笑)、その結果TMの音楽性は、時期によっての紆余曲折はあれど、基本的には雑食の極みと化していますし。
アスファルトタイヤを切りつけながらの疾走感や、耳を突き破るビートフォース&地上をゆらすリズミックエナジーな早口言葉、カモンレッツデァ~ンス!!なバブリーさは控えめですね。いや、控えめってゆーか、そんな要素はほぼ無いか(笑)。TMの持つ、穏やかでロマンティックな面や、重く翳りのある面、フュージョンっぽい都会的な空気にスポットを当てたようなサウンド。そして、“歌”が前面に押し出されたつくり。

ほぼ全曲をKeyの柴崎が手掛けています。歌詞は柴崎が書いたり薫が書いたり。
曲のあちらこちらで小室哲哉のこと大好きなんだなーっていうのが伝わってくるメロディ使いとアレンジが見受けられますし(Saxを入れるタイミングなんて正に)、最もヘヴィな⑤Sleep Disorderでは途中からRHYTHM RED BEAT BLACKに移行しちゃうんじゃないかと思いましたが(笑)、個人的にはそんなTMっぽさがあんまり気にならないっていうのが実情ですね。TM NETWORK的なバックに乗るのが男性Voじゃなくて女性Voってだけでだいぶ感触は異なりますし、切れ味の良さとタイム感で勝負する宇都宮隆に対し、キュートさからねちっこさまで巧みに操る薫という、歌い手としてのタイプの違いが大きいので。

強く印象に残るのは、メロディの良さとヴォーカルの自由自在さですね。
煌びやかなオカズから重たいループまで、多彩なシンセ・サウンドが楽曲を形作り、そこにギターが効果音的に彩りを添える。そんな、ある意味冷たく淡々としたサウンド・スケープの中に、肉感的なグルーヴをぶっ込むのが薫のヴォーカル。
先に「エレクトロニカをベースにしたポップス」とは書いたものの、彼女が歌うとポップスでも実はあんまりポップには聞こえないという(笑)。なんというか、“軽く”ないんですよね。瞬発力はあるんだけど、濃密というか情念が強いというか。無視できない声。
ヴォーカルが自由自在ってのはLilith Abiとも共通だったりしますけど、Voが各楽器と一体となって融け込み、時に器楽的な役割も果たすリリスより、Junkersは歌を中心に据えている作風なので、薫の歌をよりガッツリと楽しむことができます。そして、感触や役割は(リリスと)違うんだけど、芯の部分では同じ。彼女の個性は強いから。無視できない声だから。

敢えて言うと、ひねくれたポップ感を持つ⑧Screen of the Dayが一番リリスっぽさを感じた曲ですかね。クイッて上がる歌メロ・ラインがそんな感じ。これ、歌うのめっちゃ難しいと思います。リリスっぽいとはいえ、この曲、作詞作曲共に柴崎作なんですけどね。
EDMときいてパッと思い浮かぶ、反復が生み出すノリやスピード感に最も近いのが⑨Escape Journeyかな。それでも単純な4つ打ちではないんですけどね。割とリズムからトリッキーに揺さぶってきてるのに、スピード感が維持できているというのが不思議。歌詞やタイトルも含めて、本作の中では比較的“軽やか”な部類でしょう。

キャッチーさが光る②Touch the World④Endless Eight、薫作詞作曲の情念ドロドロ・チューン⑦Riverあたりも気に入ってますが、群を抜いて好きなのがバラードの⑥World's End。薫の声、歌唱力・表現力の凄みを存分に味わえる曲で、この子守唄のような母性は一体なんなんだ、と。“動”のベストワークがリリスのthetaならば、“静”のベストワークはコレ、みたいなイメージですかね。ラスサビのあまりの切なさとピーンと張った緊張感には気が狂いそうになる(笑)。柴崎はよくぞこれだけ彼女の魅力を引き出す曲を書いてくれたな、と。ハグしてやりたいよ。それが嫌なら(笑)、酒奢ってやりたい。 ←
もう一つのバラードである⑩Snow Prisonも好きですけどね。


収録曲の個性を上手く散らして、バランスのとれたアルバムに仕上がっています。曲順やアレンジも丁寧に練ってあると思う。
同じ音源をあまり繰り返して聴くことのない私からしたら、異例なほど何度も楽しんでいる作品です。その度に自分にとって大事なアルバムだなー、って感じる。2014年中に聴いてたら、年間ベスト記事で選んでたな。アルバム、楽曲、共に。

【お気に入り】
⑥World's End
⑤Sleep Disorder
⑨Escape Journey
②Touch the World
④Endless Eight
⑦River
⑩Snow Prison

ほとんど全部お気に入りなんやぁ!

あとこのCD、Dragon Guardianや“桜牙”、様々な同人作品等々で歌っているヴォーカリスト・みーやが、3曲でコーラスに参加しているという。どうやら昔柴崎とバンド組んでいたようで。
これ豆知識な。


※2017/3/26追記
アルバムの曲順は、「春・夏・秋・冬」四季の曲を、春から順番に並べたものだそうな。
こういう仕掛けが、作品をより愛すべき存在に押し上げるのよね。いいね。
 ②Touch the World → 冷たい雪とけ春はすぐそこに
 ③Courser → 春風に乗り
 ④Endless Eight → 8月の暑い朝
 ⑤Sleep Disorder → 真夏の夜
 ⑨Escape Journey → 冷たい風 痛く コートの前を閉める
 ⑩Snow Prison → 雪が積もる咲き誇る 桜の花 見せて欲しいよ
あぁーやべーこういうのめっちゃ好きー。